「そんなわけないやん!!」って叫んでしまった by 須見華
「色々」 by 須見華
私は最大の悩みを打ち明けられた。ある日突然、テストの終了日に。一番奥のトイレの前で、朝から蒸し暑い日だった・・・それは中学1年の頃。私に、「トイレの前に来てね」と言ったその子は、手首に切り傷があった。それも、4本。その傷をトイレに入り、私に見せた。「切っちゃったぁ」と言いながら。「どうして?」って聞くと、「理由はない」と言った。「そんなわけないやん!!」って叫んでしまった。そうしたら、「自分はおらんほうがいい。疲れたなぁーと思ったら、切っとった」って言った。私は、顔を叩いてしまった。ごめんね。叩くことしかできんかった。
温かく包む言葉も、ぎゅーって手を握ってあげることもできんかったね。
ただ笑い合うこともできんでずっとおったね。
けど、色が変わった。私しか思わんやったかもしれんけど、私に手傷を見せた時は、黒やったと思う。闇と孤独に巻き込まれた深い深い黒やった。けど、私が叩いた後、表情がやわらかくなった。ほんの少し。ほんの少し、白が混ざって、灰色に変わった。
これから、限りなく白になっていくと思う。もう、二度と手は切らんと思う。白が笑顔を増やすから。