古本屋でたまたま見つけた本ですが、

読後感は「やっぱり白洲正子さん」でした。

 

いつもながらのサッパリ感、素直感、

いい意味でのワガママ感満載の一冊で、

「古寺巡礼」と言いながら、案内書でも手引書でもなく、

自分の行ってみたい寺社に、自分で行ってみたいルートや方法で

行ってみたときに感じ、考えたままを淡々と綴っています。

 

紹介されている古寺は主に近畿地方にある古刹が主で、

私が行ったことがあるのはほんの数ヶ所程度。

殆どは行ったこともなければ、聞いたこともないような寺社です。

 

そんな見知らぬ場所の紹介を、白洲さんの知的な文体で読んでいると、

この方が女性であることを忘れて、男とか女とか、若いとか年寄りとか、

様々な要素を超越して「白洲正子の世界」に引きずり込まれて行く感じでした。

 

つまるところ、他の著書でもそうですが、

彼女の場合は何について書いても、

結局は「彼女の生きざま」を見せつけられていて、

それがどこか清涼感のようなものを漂わせているように思います。

 

【2021年5月19日 読了】