
<2014年10月23日>
豊後から筑豊へ入り、福岡県飯塚市の旧伊藤伝右衛門邸。
本座敷に掛けられた扁額は 「 有一誠 」 という力強い書です。明治39 ( 1906 ) 年に東郷平八郎によるもの
とか。

床の間に飾られた掛け軸の方は、達筆な女文字。
伝右衛門の妻である歌人の柳原白蓮さんによるもので、
【 ももとせの 後また誰か ここに立ち 月を仰きて おもふやむかしを 白蓮 】

階段を登って二階座敷へ上がりました。
白蓮さんが居室として使った場所で、隅々まで数寄屋風に造ってあるのが特徴。

階段と居室の境目には、茶室の躙り口のような戸があります。
女中さんが食事の上げ下ろしをしたりするときに使ったそうで、直接部屋の中には足を踏み入れないように
工夫されています。
立ち上がった位置から女中さんを見下ろすとき、白蓮さんの目線はこんな感じだったかも知れません。

二階から窓越しに見下ろす庭の眺め。
これも 「 白蓮目線 」 で、こんな風に見えていたと思われます。

二階は二間あって、居室の隣りは次の間になります。
そこから見えるのは南側の 「 骨董蔵 」。ここの蔵も 「 白蓮目線 」 ではこんな風に見えていたはずです。