
<5月3日>
岩手県一関市の猊鼻渓 ( げいびけい )。
舟着場の端に腰をかけて、行き交う舟をしばらく眺めていました。聞こえるのは鳥の囀りと風の音ぐらい。
到着したした舟からも、笑い声や話し声がわずかに聞こえて来ます。

舟の最大収容人員は、61人 ( 旅客60人 )、48人 ( 旅客47人 ) と二段構えになっています。この違いは
分かりませんでした。「 1人 」 の違いは船頭さん。
せいぜい思いついたのは、川の水量によって、多いときは多く乗っても大丈夫だけど、少ないときはあまり
乗せられないのでは?ということぐらいです。もっと他に理由がありそうです。

ここの舟下りは、船頭さんが一人。舟を操るのは長い一本の棒です。
果たしてあの棒は何て言うんだろう・・・櫂?櫓?棹?

桟橋のたもと、私たちが腰をかけていた場所の近くに、その 「 棒 」 が立て掛けてありました。
先端は金属製で、槍のように尖がっています。

この棒が、遠目で見てるよりかなり長く、途中から色も変わっています。

長さも微妙に違っていて、一番長いのになると建物の3階あたりまでの長さ。
ひょっとすると10メートルもあるかも知れません。
さて、「 櫂 」 は舟の左右に付いていて水を漕いで進むもの。公園の池に浮かぶボートがそうです。
「 櫓 」 は舟尾に付いていて、くねくねくねらせて前に進むもの。渡し船なんかに多い形。
そして 「 棹 」 は、船頭さんが長い棒を操って水底を突いて進むもの。猊鼻渓の場合は 「 棹 」 に当たると思い
ます。
どれも難しいでしょうが、何となく一番難しそうなのは 「 棹 」 でしょうか?
ただ水を掻くのではなく、水の底の地形やその日の水量などがちゃんと頭に入っていないと、舟を動かすことが
できないはず・・・。常に川底までの 「 距離 」 を正確に読みながら、棹を差していることになります。
冗談を言って笑わせたり、「 げいび追分 」 を唄ったりしながらも、船頭さんの頭の中には常に川底の地形が
浮かんでいるはずです。