
<2011年9月9日>
信州、小布施の街歩き。
「 北斎館 」 の中でひときわ目を惹いたのは、「 祭屋台 」 の天井絵です。東町祭屋台の 「 龍 」 と 「 鳳凰 」、
上町祭屋台の 「 怒涛 ( 男浪 )」 と 「 怒涛 ( 女浪 )」 の図。思っていた以上に屋台が大きく、つまり天井絵も
“ ええっ!こんなに大きいんだ!” と驚かされ、その迫力に圧倒されました。これが葛飾北斎の肉筆画です。
北斎館を出て、メタセコイアの大木の下を通り、傘風楼テラスを右に、宿泊施設の桝一客殿を左に眺めながら
細い小路を抜けると、「 桝一市村酒造場本店 」 があります。

栗菓子屋を営む市村家が、江戸時代から営んで来た造り酒屋の直売所。
構えはさほど大きくありませんが、風情があります。

ここが正門。
天保13年、初めて小布施を訪れた葛飾北斎もくぐったと思われる門です。

正門を挟んで、左側が 「 小布施堂本店 」。
栗菓子、食事、喫茶が併設されています。

訪ねたのが9月ですから、次の酒造りが始まる直前の頃。
秋の定番 「 ひやおろし 」 の酒が出る時期ですから、酒林 ( 杉玉 ) はすっかり茶色に変わっています。冬に
仕込んで春を迎え、夏の熟成期を経て、秋に呑みごろになる。仕込みの時に新調した、鮮やかな緑色の酒林も
お酒の熟成と共に色が変わって、「 呑みごろ 」 サインの色になりました。

店の入り口に、ドーーーン!と置かれている木桶。これも、桝一酒造のシンボルです。
今ではほとんど使われなくなった木桶を復活させ、とことん昔ながらの手づくりに拘った酒造りをしていることで
全国的に有名になりました。その象徴ともいえるのが、木桶の復活です。
もうひとつ、ここの蔵元は、迎えた嫁が外国人、セーラ・カミングスさんというのも話題になりました。数年前に
私の地元で講演したセーラさんの話を聞いたときも、木桶復活の話題がメインだったと記憶しています。
伝統を守りながら、小布施の街を変貌させて行くときに先頭に立って引っ張った一人が 「 桝一市村酒造 」
です。