
<11月5日>
石巻市全体を見渡せる高台 「 日和山公園 」 から、大津波で壊滅的被害を受けた市街地を見下ろし、言葉が
出ませんでした。
登って来た道とは反対側、狭く急な坂道を下って、中心市街地方面へ向かいました。
右手下に旧北上川が流れ、中州 ( 中瀬 ) になった島の部分の先端に白い楕円形の建物が見えて来ます。
これが、石ノ森章太郎さんの記念美術館 「 石ノ森萬画館 」。建物は無事のようです。

建物の姿を見て、ホッ!したのも束の間、目の前まで行ってみると、残っているのは外側だけで、内部は見るも
無残にやられていました。
「 石ノ森●画館 」 「 萬 」 の字が流されて、なくなっています。
3年前のゴールデンウィークに、ここを訪ねたことがあります。そのときの画像と比較してみると・・・、

よくよく見ると、「 萬 」 の字だけではありませんね、下の小さなアルファベット文字、館内レイアウトの金属製
プレートも無くなっています。波の強さと、瓦礫がぶつかったことで、壊れたものと思われます。

エントランスは、ベニヤ板やコンパネで応急措置がしてあり、もちろん中には入れません。
少なくとも1階部分は完全に津波に飲まれたと思われ、周辺の破壊具合を見れば、建物が残っただけでも
奇跡的なのかも知れません。
これも3年前の画像と比較してみます・・・、

同じアングルで撮った画像はないので、分かりにくいとは思いますが、3年前は青空に映える、宇宙船を
イメージした真っ白な球体。
訪ねたのは4月29日でしたので、鯉のぼりが泳いでいました。

入り口を封鎖したコンパネにあった貼り紙。
幸いにも、建物が無事だったため、ここでの犠牲者はなかったようです。ただ、3階にある図書館からは、津波
に飲み込まれて行く街の姿が見えていたはず・・・。
かつての、3階図書館の画像です・・・、

こんなふうに、親も子供も、老いも若きも、男も女も、夢中になって漫画に没頭できた 「 石ノ森萬画館 」。
再建に向けて動き始めているとはいえ、この姿を見ることができるのは、まだまだ先になりそうです。

入り口には、貼り紙の周りに、応援メッセージがびっしり・・・。
如何に多くのファンがここを訪れ、数々の想いを記して行ったかが分かります。

仮面ライダーのイラストを描いて行った人もいるようです。
私自身 「 サイボーグ009 」 に憧れ、「 009ごっこ 」 で遊んだ世代、石ノ森章太郎さんの描く世界は、ファン
タジーでありながら、哲学的要素を含んでいて、奥の深い作品が多いと思います。
関係者の方々のご尽力と全国のファンの皆さんの支援で、一日も早い復旧復興を祈るばかりです。