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<9月27日>
 
 八戸市の被災企業 「 北日本鍍金 ( メッキ )」 の現場視察は、「 電解研磨工場 」「 電気鍍金工場 」 に続いて
 
3棟目へ。ひっきりなしに大型のコンテナトラックが行き来する道路を挟んだ向かい側にある、「 溶融亜鉛鍍金 」
 
の工場です。
 
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 この工場は動いていました。
 
 作業する溶融炉の巨大な長方形の箱が、地面より一段高い所 ( たぶん1.5mほど ) にあります。この工場も
 
津波に襲われましたが、この 「 一段高かった 」 ことが幸いして、箱が浮き上がったりひっくり返ったりすることが
 
なく、いち早く再稼働できました。
 
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 大きな空間が拡がる工場内の壁際に設けられた階段を登り、もうもうと蒸気が上がる工場全体を見渡しながら
 
クレーンを操作しているオペレーター室に通されました。
 
 鼻を突く独特の臭い。初めてメッキが施される現場を見ました。
 
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 全面ガラス張りのオペレーター室で、作業員の方が天井クレーンを操作しています。
 
 トランシーバーは、窓越しの現場で作業している人との間で、微調整するためのもの。
 
 “ もうちょっと右!” “ 了解!右へ動きます!”
 
 “ ゆっくり!ゆっくり!” “ 了解!スピード落とします!”
 
 てな会話で、天井クレーンに吊るされた物体を溶融液に浸けるために巧みに動かして行きます。要は、巨大な
 
「 クレーンゲーム 」 をやっているようなもの。
 
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 長方形の箱に溜まった、湯気の立ちあがる液に浸けられた物体が、メッキ処理を終えてクレーンで引き上げ
 
られる瞬間。
 
 メッキ処理自体は一瞬jで終わります。鉄を錆びから守るメッキ処理。ピカピカに光り輝く姿になって、お化粧を
 
施したような感じ。
 
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 床の上に立って作業を見ると、こんな目線になります。
 
 このちょっとした高さで、3つの工場が全滅することは免れ、北日本鍍金は 「 溶融亜鉛鍍金 」 処理のみで
 
かろうじて経営を維持しています。
 
 この工場だけでも、津波浸水;役1.6メートル、設備被害;簿価ベース約3百万円 ( 取得価額ベース33百万
 
円 )、復旧費用;約43百万円という多額のコストが掛かっています。
 
 未稼働の2つの工場と共通部門等々の復旧には、なお2億円ちかい資金が必要で、大志民社長曰く
 
 “ 旧債を背負いながら、新しい債務をさらに上乗せするには、リスクが大きすぎて決断できない・・・”
 
 経営者の悩みは深刻で、復旧から復興へと向かう道筋は、まだまだ苦難が続くことを痛感させられました。