
<1月7日>
アルハンブラ宮殿の最深部ヘネラリーフェの、そのまた一番奥の位置にあるのが、水と緑の美しい中庭です。
「 アセキアの中庭 ( Patio de la Acequia )」 と呼ばれる庭で、アセキアは水路のこと。

端にある円形の水盤のような噴水から見ると、一直線の水路が50メートルほど続き、そこへ向かって両側から
アーチ型に噴水が降り注いでいます。
刈り込まれた植栽の緑と、花々の赤や白、水の流れと噴水、それらを包み込むように取り囲む瀟洒な建物の
絶妙のバランス。

「 アセキアの中庭 」 に隣接するのは 「 スルタナの糸杉の中庭 」。スルタナは王妃のことで、この庭で王妃が
若者と密会していたとか・・・。

それぞれの中庭を取り囲む建物は回廊のようになっています。
中庭 ( パティオ ) は 「 内向き 」 の景色、外側にはアルハンブラの優美な建物群の向こうに市街地が見渡せ
ます。窓が、遠景を切り取るように造られているのも特徴。

ヘネラリーフェはアルハンブラ宮殿の中では 「 離れ 」 のようなもの。
別名 「 水の宮殿 」 と呼ばれているだけあって、遠くネバダ山脈から引き込まれた水が、水路を通り、庭園を
流れ、噴水となり、草木や花々を潤し、美しい眺めと動きで見る人を魅了してくれます。

アンダルシア地方は、典型的な地中海性気候。
雨は冬に集中し、夏は空気が乾燥します。その昔 ( レコンキスタ前 ) 北アフリカの乾燥した大地からやって
きて、この地方に君臨したイスラム教徒たちにとって、水は大切な資源であり、水の景観をこよなく愛したことが
今でも伝わって来るようです。