
『 仮想講演集 二足のわらじ 元銀行員の逆説的人生論!』、宮 健著、文芸社。
読み応えのある本ですね。内容は幅広く、奥も深い。
原敬、齋藤実、米内光政、鈴木善幸、以上首相。
後藤新平、新渡戸稲造、金田一京助、野村胡堂、三船久蔵、石川啄木、宮沢賢治、と多士済々の顔ぶれ。
このほかにも多くの先人達が出て来ますが、これらすべて 「 岩手県人 」 です。
第一講 わたしのモットー
第二講 人生は「自分さがし」の旅
第三講 わがふるさとは「小岩井農場」
第四講 軍靴の響きを聞きながら
第五講 少年時代の思い出
第六講 旧制中学校、そして新制高校へ
第七講 あの戦争はなんだったのか
第八講 早稲田大学時代は「人脈づくり」
第九講 人生を二倍に生きる
第十講 「二足のわらじ」のすすめ
著者は、昭和8年岩手県生まれの経営コンサルタント。盛岡一高、早稲田大学を出て岩手銀行に入行、昭和
40年に中小企業診断士資格を取得して、平成5年事務所を設立して独立、平成13年からは社団法人中小
企業診断協会岩手県支部長を務めています。
その経歴からして、経済、経営、金融といった分野は専門でしょうが、著者の興味や見識はとどまるところを
知らず、自らのルーツや生い立ち、これまでの人生の中で接して来た数多くの人々、地元岩手の生んだ偉人・
先人たちの話、政治、経済、文化、芸術、そして戦争論・・・etc、無限の拡がりを見せます。
今日は8月15日。本書、第七講で太平洋戦争に関する著者のスタンスが明示されています。いろいろな立場
でいろいろなことを言う人がいますが、この宮さんの 「 立ち位置 」 が公平で客観的な位置のような気がします。
66年前の今日、12歳で 「 あの日 」 を迎えた著者の偽らざる心境が、素直に綴られていて、戦争を知らない
私の世代にも淡々と迫って来るようです。
読み終えると、表題の 「 二足のわらじ 」 という意味がよく分かります。それより何より、著者は一体 「 何足 」
のわらじを履いているのか、あるいは、どれだけ多くの抽斗を持っているのか、と驚かされます。
「 仮想 」 講演集という形式をとり、語り口調でまとめられているためでしょうか、重いテーマでも意外に
スルッ!と入って来ます。
こんな風に自分の来し方行く末を語ることができたら、最高だなぁーと思わせてくれました。
【 2011年8月12日 読了 】