
ブタペストの英雄広場。
「 大天使ガブリエル 」 が両手を拡げて立つ建国記念塔の台座には、マジャール人の7つの部族長たちが
勇壮な姿を見せています。
マジャール人は9世紀末頃には、ここハンガリー盆地に入ったといわれ、独自の国家を築きました。そのとき
に7つあった部族を率いたのは、大首長アールパート。真ん中に立っています。

建国記念塔を中心に、両側にアーチを描くように拡がっている列柱。柱と柱の間に14人の銅像があります。
いずれもハンガリーの歴史に名を残した人々で、左側には一番左の初代国王 「 聖イシュトヴァーン 」 から
7人。

右側には右端の 「 コシュート・ラヨシュ 」 まで7人。2人目 ( 左端から数えて通算9人目 ) が 「 マーチャー
シュ王 」。それぞれの像の下には、歴史上の出来事のレリーフが埋め込まれています。
歴史順に並んでいる14人ですが、実はこの 「 並び 」 にもハンガリーの深い歴史が隠されていました。
この記念碑が建てられたのは1896年、ハンガリー建国千年祭が行われた年に、万国博覧会会場への入口
として作られました。当時のハンガリーはオーストリア・ハンガリー帝国のもと、ハプスブルグ家のフランツ・
ヨーゼフが両国共通の国王として君臨していました。
完成したときですから、最後、14番目の像は、このフランツ・ヨーゼフだったんですね。
1948年、第二次大戦後にこの像は取り払われます。この年はハプスブルグ家からハンガリーが独立して
100周年にあたり、弾圧者だったフランツ・ヨーゼフに代わって独立戦争の指導者だったコシュート・ラヨシュの
像が建てられたそうです。
これで、ハプスブルグ家の人物は一掃され、ハンガリーの真の英雄たちが14人・・・揃いました。