
鬱蒼と生い茂った木立ちの中を、澄み切った水が流れています。
ところどころ窪んだようになって流れが変わるあたりでは、水面がザワザワと波立ち、スワッ!カッパが・・・!
と思わせるような雰囲気を漂わせていました。

後ろを振り返れば、「 河童淵 秋色秋声 流しをり 」 の句碑。
『 遠野物語 』 は本編の他に 「 拾遺集 」 というのがあって、そこにも河童の話が出て来ます。
五郎兵衛淵という深い淵に棲んでいた河童が、淵の近くの大家が連れて来た馬を淵の中に引き込もうと
しますが、逆に馬に引きずられて厩に入ってしまい家人に見つかってしまう。河童は詫び状をしたためて淵へ
戻してもらいますが、その証文が今でも大家の家にあるそうな・・・という話。
この話は有名ですね。不思議なのは、カッパの表記が、本編では 「 川童 」、拾遺では 「 河童 」 になって
います。違いは何?理由は?
そんな 『 遠野物語 』 は、今から100年前に発刊されたもの。ということは、多少の変化はあれ、このカッパ淵
の佇まいは、100年間変わっていないのかも知れません。

淵のほとりには、カッパ神を祀った小さな祠があります。
乳呑み児のいる女性が、お乳が出るようにと願ををかけるとかなうといわれているそうです。