タクシーに乗って、そこそこ走ったような気がしました。浅野川を渡ったことは確か。

タクシーで案内してくれたYさんに、
“ ハイ!こちらです!” と促されて、入った店は、入口がこんな雰囲気。まるで別世界です。
格子戸を開けると、下足番をしていたのは 「 相当高齢の 」 おばあちゃん。年を聞いても最後まで教えて
くれませんでした。おそらく80歳代、もしかすると90歳代かも知れませんが、チャキチャキの金沢弁で客を
さばく様子は・・・“ 粋だねぇ・・・!” 。
ひがし茶屋街にある 「 藤とし 」 というお茶屋さんです。
出迎えてくれた女将さんも、そこそこの年齢。たぶん60歳代半ば。この人は、もう立ち居振る舞いすべてが
“ 粋 ” のかたまりみたいなもので、見ていて惚れ惚れするような雰囲気を持っていました。そんな女将にMさん
“ 遠くからのお客様だから、少し案内して差し上げて!” ということで通されたのが・・・、

「 何コレ珍百景 」 ではありませんが、案内された2階の座敷の床の間を、生木が貫いています。
ビックリですね。触ってみると本物の松の木(だと思います)が1階から伸びて、2階では床の間の 「 一部 」 と
なり、さらに天井を突き抜けて上に伸びています。
一見、あまりにも座敷に同化していて、生木であることが分からないほど。
お願いして、この床の間の前で、女将さんを入れて記念写真を撮らせてもらいました。
“ 「 藤とし 」 の女将と写真に納まるのはめったにできないねぇ・・・!” などとMさんに冷やかされながら、
バッチリ写真を撮らせていただきました。
こうして見ていると、どうしても 「 その先 」 を確かめたくなるのは、私の性。

屋根裏部屋のようなところへ上がって、窓を開けてもらい、屋根を貫いた姿を見せてもらいました。
漆黒の闇で、肉眼では何も見えませんでしたが、フラッシュをたくと・・・この通り。
しとしと雨の降る金沢ひがし茶屋街の一角に、知る人ぞ知る 「 松の木 」 が浮かび上がりました。