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 『 近頃の若者はなぜダメなのか -携帯世代と「新村社会」- 』 原田曜平著、光文社新書。
 
 コンテンツはこんな感じ・・・
 
  第1章 “ 読空術 ” を駆使する若者たち ―― KY復活現象の謎
  第2章 知りあい増えすぎ現象 ―― “ 新村社会 ” の誕生-
  第3章 村八分にならないためのルール ―― 新村社会の掟と罰
  第4章 半径5キロメートルの生活 ―― 若者を覆う 「 既視感 」 の正体
  第5章 ちぢこまるケータイネイティブ ―― 若者はなぜ安定を望むのか?
  第6章 つながりに目覚めた若者ネットワーカー ―― 新村社会の勝ち組とは
  第7章 近頃の若者をなぜダメだと思ってしまうのか? ―― 世代論を超えて
 
 評論家の山本七平の著書に 『 空気の研究 』 というのがありました。日本人を語るうえでは画期的な論理の
 
展開で、ナルホド!ナルホド!と思いながら読んだ記憶があります。
 
 あれから30年という月日が経過して、いまの若者たちの間に、再び 「 空気を読む 」 ことが 「 KY 」 という
 
言い方で重視されてきています。そんな若者たちのことが、多くの事例をもとに語られています。
 
 「ケータイはポケットにむきだしの刃物を入れている気分」
 「平均して、現在の10代は14歳頃、20代は17歳頃から携帯電話を持っていた」
 
 人と人とのつながりというのは、昔の姿とは様変わりしています。携帯メール、SNS、プロフ・・・etcで
 
つながっている若者たちは、四六時中、年がら年中、永遠につながっていることになります。昔は、小学校の
 
同級生など、よほど親しい間柄以外は進級・進学とともに大部分が疎遠になっていきました。せいぜい、忘れた
 
頃に開かれる同級会なんかで、久しぶりに再会する程度。それが、いまは、どちらかが 「 絶縁宣言 」 しない
 
限り、ずっと続いて行きます。
 
 ある大学教授の話も面白い。レポートを出させたら、40人全員がほぼ同じ内容になった・・・という話です。
 
 全員が、レポートのテーマをネット検索して、上位5番目ぐらいになったものの内容を、コピー&ペーストした
 
結果、たまたま内容が同じになっただけ・・・。
 
 
 著者の目線は、あくまでも若者たちと同じ高さで、優しさに溢れた目線で貫かれています。ただ、読んでいる
 
側にしてみると、淡々と語られる若者たちのナマの姿がよく判ってくるとともに、背筋が寒くなって来るような感覚
 
に陥ります。
 
 “ これから、一体どうなって行くんだろう・・・? ”  “ でも、どうにかしなければ・・・! ”
 
 そんな気持ちにさせられる本です。
 
                                            【 2010年(平成22年)4月5日 読了 】