
ドナウ川の源流は、ドイツ、シュヴァルツヴァルトの森。
その源流から流れ出て、「ゲルマン」の世界をとうとうと流れて来ましたが、ここブラチスラヴァ
から先、黒海までのドナウはまた違った顔を見せてくれます。
川の流れは変わらないのに、流域に住む民族が異なれば、川の色や空気まで変わったように見える
から不思議ですね。

スロヴァキアから黒海までは、様々な民族が複雑に入り組む世界。
諸民族の興亡の歴史がそこにありました。
征服と隷属
栄光と屈辱
妥協と共存
愛と憎しみ
そんな様々な過去 ( 現在も ) が交錯しています。

ブラチスラヴァの象徴がブラチスラヴァ城。
ゲルマンとスラブと、そしてハンガリーのマジャールという3つの民族の接点にあるこの地は、
古くから守りを固めなければならない要衝になっていました。
四隅に巨大な塔が立ち、碁盤をひっくり返したような威容を誇るユニークな城の外観は、そんな
ブラチスラヴァの街の運命を背負って出来上がったようなもの。
波瀾万丈で悲喜こもごもの歴史が、ぎっしり詰まっています。