「 オス 」「 メス 」というルビが振ってあります。
二人の対談集ですが、内容はまさに「 オスメス 」の話。ルビの意味が良く分かります。
阿川さんが、頼みに頼み込んで養老さんとの対談を実現させた、とのことですが、何と言ってもこの
二人、“ よくぞまぁ、オス&メスの話だけで、こんなにしゃべることがあるものだ。” と感心させられ
ます。それで、本が一冊できるのですから・・・。
章立ての標題だけ見ても、中身が想像できて面白いです。
1.恋愛は病気、結婚は契約?
2.なぜ女は男より強くてたくましいのか
3.男はどうしてデリケートで口下手なのか
4.ヒトがポルノに興奮する理由
5.男の乳房は何の役に立つのか
6.「愛」という言葉と無思想の思想
7.日本人の個性はいらない
といった具合。
ユニークで、あちこち迷走しながらの「 男女論 」になっています。
養老先生の博学には、読む方もなかなかついて行けません。阿川さんも「 あとがき 」にそんなこと
を書いています。
「 養老さんの話は底なし沼のように深く、養老さんの興味は、大海のごとく広い。そしてその論理の
転換と飛躍は、スーパーマンだって負けるであろうスピードだ。」
そして、そんな養老節を集めて整理しなければならない彼女の結論は・・・
「 私は決心した。あとは読者諸氏の脳みそに判断をまかせよう。」
丸投げされた読者の立場としては、イマイチ理解に苦しむ養老さんの論理展開や知識を、もう一度
読み直してみるしかなくなります。
読後感は、「 けだし、男と女は、摩訶不思議なものよ・・・ 」 でしょうか。