『 DRESDEN 』という題名に魅かれて、何気なくレンタルして来ました、GEOから・・・。
先ほど観終わって、予想外の大作、予想外の関係者の思い、予想外の深さを感じさせる秀作でした。

《 美しいその街は 一夜で崩壊した 》
第二次世界大戦の末期、連合国の勝利が確定的になっていた時期のこと。
“ エルベのフィレンツェ ” と讃えられ、ドイツ№1の歴史と文化を誇っていた美しい街ドレスデン
がイギリス空軍の絨毯爆撃にさらされ、一夜にして廃墟になってしまいます。
その「運命の日」を迎えるドレスデンの、とある病院を舞台に話が進んで行きます。
婚約を控えたドレスデンの病院の看護師、その父、母、妹、婚約相手の青年医師、それに絡んで来る
のが、撃墜されて生き残ったイギリス軍のパイロットです。
ストーリー立ては少々無理があるような気がしますが、爆撃に至る経緯や当時のドイツ国内の事情は
リアリティがあります。CGも駆使して、ドレスデンの街並みが迫力で迫って来ます。

ドレスデンは3月の「中欧の旅」で訪れた街。日本に例えれば「京都」のような街です。
爆撃で壊滅的被害を被り、それを60年もかけて市民達が中心になって復元した話を、現地のガイド
縷々から聞いて来ました。今日はそれを、まさに映像で確認することができました。
京都は爆撃を免れましたが、ドレスデンはやられました。
1945年2月13日がドレスデンの「運命の日」。東京大空襲の約1ヶ月前のことです。
東から「赤軍」と呼ばれたソ連軍が迫り、ナチスは末期症状、それでもホロ・コーストは行われ、
ゲシュタポは恐怖レベルを増していました。
ソ連軍より先んじるために行われた・・・という解釈のドレスデン爆撃。あながちフィクションでは
なさそうです。広島や長崎の原爆とどこか通じるところがあります。国内の状況も、日本の憲兵隊
の末期症状と似ています。
ただ違いは、ドイツの場合は「国内事情」として「ユダヤ人迫害」という、もう一つの史実があり
それが歴史を一層複雑にしていること。この映画でも、ドイツ敗戦時の問題の深さが分かります。
それとこの映画のDVD、「メイキング」映像が入っていますが、これが「必見」です。
本編も2時間以上の大作ですが、メイキングも大作。作品にかけるスタッフの「思い」のような
ものが、ヒシヒシと伝わって来ます。
3月に実物の前に佇んでいた『 君主の行列 』(5月2日付け「旅大好き」書庫 up )も、メイキング
映像に登場します。もちろん映画の主役のひとつになっている『 聖母教会 』は全編に・・・。
重いテーマを真正面から扱った、ある意味ドイツらしさ溢れる映画でした。