呉駅行きのリムジンバスは、中国山地の中を疾走します。
広島空港から山陽自動車道に入り、西条ICで降りて国道375号線へ。
西条市内を縦断していると、ところどころに大きな煙突が聳えています。酒蔵です。
広島県は意外に知られていませんが「酒処」。№1は灘を抱える兵庫、№2は伏見を抱える京都、
№3は新潟、№4が愛知、№5が秋田、たぶんその次あたりには出てくるはずです。
そんな西条の街を象徴するような建物が、次々に車窓から見えてきました。

だいだい色と言えばいいんでしょうか?瓦の色に特徴があります。そして白壁の塀。
最初のうちは“ 結構立派な家があるもんだなぁー ” と思って眺めていると、次から次へと同じ
ような造りの「お屋敷」が出現します。西条周辺の家はほとんど「この形」の造りだと言っても過言
ではないくらい。
建築費は相当かかるはずです。屋根が折り重なるように複雑に入り組んだ構造、いわば「お城」にも
通ずるような外観。田んぼや畑の真ん中に、どーーんと白壁の塀を廻した「御殿」、また「御殿」の
連続でした。
たぶん、昔から豊かな土地柄だったんでしょうね。酒造りが盛んだったのも「豊かさ」と「親方衆」
のなせる業だったんだろうと思います。広島を代表する 『 賀茂鶴 』 『 賀茂泉 』 などの銘柄は
この街の代表銘柄です。
国道375号線は黒瀬川沿いに南下して行って、瀬戸内海を目指します。
途中に目立つのが「大学」と「ゴルフ場」。「広島大学」「広島国際大学」「呉大学」などの標識
がありました。ゴルフ場の看板は数知れず・・・。空港といい大学といい、中心部ではなく郊外に造った
ということなんでしょうが、何故・・・?

瀬戸内海が見えたあたりは「阿賀港」、ほどなく「呉駅」に到着しました。
駅前は狭いながらもロータリーになっており、バスやタクシーがグルグル回っています。
いささか古めかしい建物が多いようですが、活気があります。

駅前にあるモニュメントは「金色のスクリュー」。さすが港町です。
「海色の歴史回廊 くれ」というキャッチフレーズがありました。スクリューの後ろ側では若い娘
がくわえ煙草で男をアゴで使っていましたが・・・。
同じ港町とはいっても、漁師町という雰囲気ではなく、かといってシャレた洋風でもありません。
一種独特の雰囲気&空気を湛えた港町・・・それが旧日本軍が世界に誇る「軍港」という特殊な事情に
あることが、次第に見えて来ます。