一見「薦かぶり」のような風貌に魅かれ、ネーミングも怪しく、手にとってみました。

 陳列棚の中でも、ひときわ目立っていました。

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 一昨日の晩酌。来客があり、二人で「空けた」お酒です。

 秋田県由利本荘市、由利正宗の齋彌酒造店『純米 古酒 隠し酒』。ネーミングがいいですね。

買う側にしてみると、あたかも「あなたのために、隠しておきました・・・」みたいな錯覚に陥ります。

 別に「隠して」いたわけではなく、この商品用に造っただけなんでしょうが、消費者心理を上手に

突いています。

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 『隠し酒』の曰く因縁が書かれています。

  -長期の安定した冷蔵管理により、古酒本来の滑らかで、まるみのある味を追求した商品です。

   日光の紫外線による影響を防ぎ、外気に触れることもないこの酒は、蔵の中で静かな年月を

   重ね、ゆっくりゆっくりと成熟されたものです。-

 精米歩合;60%、アルコール度数;15度以上16度未満、500ml。

 表示はこれだけなので、原料米や寝かせた年数など、他の詳しい情報は分かりません。

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 何と言っても特徴は「色」です。

 日本酒は、もともと少々薄い黄色か茶色の色が付いているのが本来の姿ですが、この酒の色は、

もっと濃い。ガラスのグラスに注いでみると、はっきりと色が分かります。

 安いパックや普通酒では、この色が付いていると「劣化」で酸っぱくなっているはずです。

 この酒は「わざと」こうしている。古酒とはいえ「何年古酒」なのかは、表示がなくて分かりません。

 色の付き具合からして、想像では「三年」またはそれ以上ではないかと思われます。そのためには

相当しっかりとした「造り」をしなければ、もたないはず・・・。


 「濃さ」は味にも現れていました。

 ひと口含んでみると、舌にまとわりつくような「濃さ」があります、香りも「濃い」感じ、喉越し

も「重い」感じです。なかなか個性的な酒でした。

 古酒は年代が進めば進むほど「琥珀色」が強く、味も香りも一層濃くなりますが、この酒は「その

一歩手前」の呑みやすさとの境目ギリギリにしてあるような印象でした。

 好き嫌いがはっきり出る酒だと思います。

 でも、こういう個性を主張する酒があってもいい、というのが素直な感想。

 綺麗で呑みやすくて「みんなに受け入れられる」「若者も取っ付きやすい」という時代の流れには

逆行していますが、「いいぞ!頑張れ!」と声を掛けたくなるようなお酒でした。

 来客の方と共に、特徴のある酒を前に酒談義に花が咲き、ほどなく「空き」ました。