1969年、イギリスのアルバム・チャート1位を快調に突っ走っていたのは、
衝撃のイントロで始まる「Come Together」を1曲目に組み込んだ
BEATLES の「アビイ・ロード」。
この名アルバムを蹴落として第1位を奪ったのは、
当時無名のグループのデビュー・アルバムでした。
それが、キング・クリムゾンの「クリムゾン・キングの宮殿」。
私はリアル・タイムで聴いていた訳ではありませんが、
数年後にはこのアルバムを買うことになります。
街の小さなレコード・ショップで見つけたのはいいけど、
あまりにどぎつく衝撃的なジャケットで、
しばらくの間買うのをためらっていた記憶があります。
何となく、その真っ赤な変な顔のアルバムをレジに持っていくのが恥ずかしいというか、
勇気がいるというか…。
1曲目は「21st Century Schizoid Man Including Mirrors」、邦題は「21世紀の精神異常者」。
ジャケットといい、曲名といい、ぶっ飛ぶようなグループの出現でした。
プログレッシヴ・ロックというジャンルの先駆けとなった伝説のグループですが、
私はむしろエマーソン・レイク&パーマーの「展覧会の絵」から入ったクチなので、
クリムゾンに辿り着くまで少々時間がかかりました。
ある意味で、ロックの歴史を変えたともいえるアルバムだけあって、
聞き込むほどに味わいが出てきます。
狂ったような1曲目、語りかけるような3曲目「エピタフ(墓碑銘)」、
静謐に流れる4曲目、
最後の5曲目は心臓がバクバクするような余韻を残して終わる「クリムゾン・キングの宮殿」。
少ない小遣いを工面して買った安っぽいプレーヤーで食い入るように聴いていた私は、
このアルバムを初めて聴いたときに、プレーヤーの方の調子が悪いのではないかと、
カワイイ錯覚までしたくらいです。