2024年4月初旬、夜の高円寺にて
とある個室で20代後半、彼女なし、フリーカメラマンと会う。髪型がマンバン(ロン毛のひっつめ)でカメラマンぽい。
ふつうにモテそうで、とくだん女装が好きというわけでもなさそうなのに、なんでわたしなんか相手にするんだろう。
推測するに、カメラマンや物書きといったクリエイターという生き物は、いかに人と違う人生を送るかが全て、人と違ければ違うほどいい人種で、それが作品に投影されるため、わたしのような存在に寛容なのではないか。
などと考えてみるが、わたしはわたしに優しくしてくれて、えっちなことが出来ればなんでもいいので気にしない。
気に入ってくれたのか、より自分の人生を奇天烈にしたいのかわからないが、このカメラマンとはその後も何度か会っている。
2回目からはわたしの家で会っているが、キスをしてちょっとえっちなことをした後は、会うまでに起こったことや、お互いの仕事の話など、ふつうの友人?恋人?のような会話をしている。
ひとつ友人と違うところがあるとすれば、わたしが女装をしていることくらいだ。
次回は辛ラーメンをつくっていっしょに食べる約束をしているので、女装でキッチンに立たねばならない。
女装で湯を沸かし麺を湯がき、場合によっては卵やチーズを振りかけ、箸やお茶の準備をしなくてはならない。
日常に女装がどんどん入り込んでくる。
女装と日常との食い合わせの悪さにくらくらする。
ドリアンとビールをいっしょに食すと死ぬこともあると聞いたことがあるが、女装と日常も相当食い合わせが悪そうだ。
いつかぶっ倒れるのを覚悟で、わたしは食べ進める。