引き続き「手話の知恵(大原省三著)」から抜粋。
明日、図書館に本を返却するので、ひとまず今日でおしまい。
まず、「古い」という手話。
これは、曲げた右手人差指を花にあてて左下におろす動作で表します。
まるで指文字の「ぬ」の形で、鼻のさきっぽをもぎ取るようなしぐさとなります。
本では3つの説を紹介していますが、もっともしっくりきたのが、エジプトのピラミッドにある「スフィンクスの鼻かけ」です。なお、スフィンクスの鼻が欠けていることについては諸説があるようですね。
次は、「仕方がない(仕方無い)」。
これは、右手の小指側を左胸にあて、右脇腹に向けて斜めに引きおろすしぐさで表します。
武士が刀剣で肩から斜めに袈裟切りするようなイメージです。手話では自分の胸から腹に向けて斜めに手を刀に置き換えて切るようなイメージとなることから、自分も多少の犠牲を払いながら、相手により深い傷を与えることを指すとのこと。「この身を切られるような痛みは耐える……」といった意味あいのようです。私は、普段は「しょうがないな~」といった感じで使います。
最後はめでたい感じで、「おめでそう」。
指を上に向けてつまんだ両手5指を上へ上げながら開くしぐさで表します。上に向けて両手を「ぱっ」と上に向けて開けるので、「花火」説など諸説があるようです。
この本の説明では、「門松」説が有力のようです。「門松の横に広がる松の葉や、上にまっすぐに伸びる竹が、ともにめでたい姿を表し手話になった」とのこと。おめでたいという意味を考えると、なんとなく納得できそうです。
手話は「見ることば」で、見えるものをそのまま手話におき換えて表す場合が少なくありませんが、由来や意味あいを含めて考え、そして伝えられてきたものなのだと改めて感じさせられました。