むかしむかしのお話でございます。
この国から遠く離れた異国の地。スコットランドに、ある一人の男がいました。
その男は、粗暴と言わざるを得ない人物で、人をだまし、暴力に頼り、自分のことしか考えない。その上に、お酒が大好きで、毎晩浴びるように飲むという人間だったのです。
ある日の夜。男がいつものように酒場でお酒を飲んでいたときのことです。男は、異形なるモノと遭遇しました。男でも女でもない。ましてこの世のものでもないその存在は、男にこう言いました。
「うまそうな魂のにおいがすると思ってきたんだが……お前がそうか?」
男は驚きました。なんと男の前に現れたのは、地獄からの遣い――つまり、悪魔だったのです。
実は、この日はこの世とあの世の境がなくなり、邪ま[よこしま]なものがこの世へと入ってくる日だったのです。そうとは知らずブラブラと外を出歩き夜になっても酒場でお酒を飲んだくれていた男は、悪魔にとってまさに格好の標的だったのです。
悪魔はさっそく男の魂を取ろうとしました。が、男はただの乱暴者ではありませんでした。男はよっぱらっていたにも関わらず、言葉を巧みに操り、なんと悪魔をだましてしまったのです。
その男は、とても機転が利いたのです。悪魔を見事にだました男は「10年後まで俺の前に現れるな」と約束をさせると、何事もなかったかのようにお酒の続きを始めました。
10年後。男の前に再び悪魔が現れました。悪魔は今度こそ男の魂を取ろうとしましたが、結果は以前と同じ。このときも男にだまされてしまい、あろうことか「今後二度と俺の魂を取りに来るな」と固く約束させられて地獄へと追い返されてしまいました。
そこから数十年後。その男の命も尽きるときがやってきました。
男は口笛を吹きながら天国への道を歩いていました。しかし、天国の門にたどり着くやいなや、門番に突き返されてしまいました。
生前で悪行を重ねた男が、天国へと行けるでしょうか。男は必死に門番の説得を試みしましたが、どれだけ言葉でつくろってみせても生前の行いを隠すことはできません。
男はしぶしぶと来た道を戻り、地獄へと向かいました。
次第に暗くなる道の先に、地獄の門が見えてきました。天国の門のように門番はいなく、門の両脇に松明が立てられているだけでした。
男は疲れた様子で門をたたきましたが、ぴくりとも反応がありません。再び門をたたこうとすると、太くにぶい音とともに門が開きました。男ははっとしました。門から出てきたのは、生前に男の魂を取ろうとしたあの悪魔だったのです。
「オマエか……何の用だ?」
悪魔が言いました。
「地獄に入れてくれ。俺は天国には行けない」
「……だろうな。オマエが天国に行けたなら、地獄にいる魂どもはみんなそろって文句を言うだろうよ」
「さあ、入れてくれ。俺はもう歩き疲れたんだ」
男が言いました。
「……どうした? 俺が進んでお前のいる地獄に行こうとしてやってるんだ。早く入れてくれ」
男が悪魔を急かしても、悪魔は、くっくっくと不気味な笑みを浮かべるばかりで、門の中へ案内しようとしません。
「オマエは賢い。認めてやる。悪魔のオレを二回もだましたんだからな。だが、何か忘れていないか?」
男は何のことだかわからず、首をかしげました。
「オマエはあのとき、オレに何て言った? え? 『二度と俺の魂を取りに来るな』と約束させたよな?」
悪魔のその言葉に、男は一瞬にして過去のあの場面を思い出しました。背中に冷たいものが流れるのを見透かしたように、悪魔はいやらしく告げました。
「生前にオマエがオレに誓わせた約束がある以上、オマエの魂は地獄じゃ引き取れない」
「そ、そんな!」
男は、わめきました。悪魔のわきを抜けて門をくぐろうともしましたが、見えない壁のようなものにはばまれて中へ入ることができません。
「ああ……俺は……俺は、どこへ向かえばいいんだ……?」
男は、困り果てました。
「『元いたところ』へ帰るんだな」
悪魔に冷たく言い放たれて、男は来た道を引き返そうとしました。しかし、足を踏み出すことができません。なぜなら、道はすでに暗く、風すらも強く吹き始めていたのです。
男は振り返り、悪魔に言いました。
「最後の頼みがある。灯りをくれないか?」
弱々しい物言い。男の最後の頼みを悪魔は聞き入れ、松明の炎を男にほんの少し分けて上げました。男は道端に転がっていたカブをくり抜き、その中に炎を入れてランタンを作ると、それを手に旅に出ました。
その男は、天国にも地獄にも行けず、あの世の狭間の世界を永遠にさまよい続けることになったのです。
――――
物語が語り継がれていくうちに、男はどんな形であれ悪魔を追い払ったとたたえられるようになり、その象徴としてあるものがつくられました。悪霊を追い払うための魔除けとして使われているそれは、男の名と、男が作ったランタンからこう名付けられました。
『ジャックのランタン』
〝ジャック・オー・ランタン〟と。
どうも、エイトです(・∀・)ノ
朝晩はかなり冷え込んでまいりましたが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。僕は例の年末に控えるスゴイヤツの支払いを済ませた後、リラックスもかねて遠くへドライブへ行ったのですが、なんとのその先で打ち上げ花火に遭遇しました
「おおーっ、マジかマジか」
と、独り興奮して急きょ車を止めて、慌てて車外へ(※駐車違反はしていません)。どうも始まったばかりだったようで、最後まで見ることができました
「これはもう年末に控えるスゴイヤツの購入祝いやな」と勝手に思い込んで、高額出費の精神的負荷を少しでも和らげようとする今日この頃です(^_-)-
●覚えがあれば幸いです
さて、今回の話、覚えがある方もいらっしゃたのではないかなーと思います。なぜなら、過去に一度しているから。といっても、それをブログで投稿したのは2014年で、8年も前になってしまいますけど
今はもう閲覧できなくなってしまったのですが、せっかく活動再開したこのタイミングなので、もう一度〝あの話〟をやろうと思い立ったわけです。
この冒頭は、なんとはるか遠方の国より始まったわけですが、何のことだかさっぱりだった方もいれば、この記事が10月31日更新という点ですでに察しがついていた方もおられたと思います。
そう。今回の内容は、ハロウィーン
そのシンボルともいえる〝ジャック・オー・ランタン〟の由来についてのお話でした
この長文……
いやー、調子が戻ってきましたね笑
調べたモノをレポートのように淡々と載せてもよかったのですが「それじゃ面白くない」と思い、諸説さまざまにあるうちの一つを基にして、想像を駆使し、物語にしてお送りしてみました。多少、僕のアレンジが入っていますがそこはご了承願います
それはさておき
ハロウィーンと耳にしてぱっと思いつくのが〝かぼちゃのオバケ〟ですよね どなたでもご存知かと思います。オレンジ色のかぼちゃの中身をごそっとくり抜き、その側面に二つの三角△の目とギザギザの口をくり抜き、その中にロウソク等の灯りを入れているアレ
実際に本物のカボチャを使って作っているのはあまり見たことがないですが、イラストや風船ならばちょっと買い物に出かけるだけでもたくさん見かけます。ハロウィーンになれば絶対に見かけますが、現在ではカボチャを使ってこのランタンを作るのが主流となっていますが、始まりはそうではなかったそうです。
このカブがカボチャへと変わったのは、この物話がアメリカに伝わってから。この物語の舞台であるスコットランドでは今でもカブでランタンを作っているそうですが、アメリカではカボチャの生産数が多かったため、カブよりもカボチャをランタンにすることが定着し、そのアメリカ式が世界へと広まったそうです。
当たり前のようにハロウィーンに登場するジャック・オー・ランタンですが、こんな由来があったわけです。
そもそも、ハロウィーンの起源は、魔除けの儀式にあると言われているそうです。ハロウィーンに異世界からやってきた魔物に狙われないよう自分も魔物に仮装して身を守ったり、アメリカではジャック・オー・ランタンを玄関口に飾って魔物が家の中に近付かないようにしたりなど。後者は完全に魔除けとして使われていますね。
日本では、ハロウィーンのかわいいオバケとしてすっかりイメージがついていますが、彼にはそんな意味があったのです。いや~、何でも調べてみるものですね(*^^)
このジャック・オー・ランタンは今日かぎりですが、このような由来があるのだと知ることができれば、また別の視点からハロウィーンを楽しめるかもしれませんね
そういう僕は、特に何もしませんが笑
●投稿予定は11月1日
この記事をご覧になった方は思うかもしれません……
「え、動画は」
と。
はい、すみません。
でも、せっかくのハロウィーンなのでこの話をどうしてもやっておきたかったのですどうかお許しください
動画に関しては、本当にお待たせしております
でも、ようやく完成しました
投稿日は、11月1日(火)21:00に予定しています。ブログも同時刻に投稿予定です
『今、現在』持ち得る渾身の力を込めましたので、ご覧になっていただければ幸いです。
それでは、今回はここまで
また次回お会いしましょう(^_^)/
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