初めての奥多摩へ…静かな山を探して高水三山へ

 

最近、少し疲れが抜けない日が続いている。
人の多い場所は好きじゃない。
静かな山の道を歩いてみたくなった。

 

ハイキングを本格的に始めて半年。
奥多摩の山にはじめて足を踏み入れる。

 

選んだ山は高水三山。

「初心者でも楽しめる」
「駅から駅へ歩ける」

 

そんな言葉に背中を押されながら、
自分でも登れるのだろうか、確かめたい気持ちがあった。

 

 

登山口のある軍畑駅に降り立つと、
梅雨の名残を含んだ空気がまとわりつく。

 

登山口へ向かうだけで、汗がぽたぽた落ちる。

「あついなァ」

蝉の声が、さらに温度を押し上げる気がした。

 

けれど、山に一歩入ると、
すっと空気が変わる。

杉の木がまっすぐ並ぶ森の中、
風がさらりと身体を通り抜けた。

 

町の音は消え、
代わりに蝉の声だけが、濃く残る。

空気は、わずかにひんやりしていた。

 

ああ、山に入ったのだなと、
そんな実感だけが静かに残った。

 

 

軍畑駅から高水三山へ、歩道を歩きます
 
 
 

高水三山、登山口 ここから本格的な山歩きが始まる
 

 

 
 

 

 

 

 

 

 

帰りたいけど、引き返せない

 

空が開けたと思った次の瞬間、
つづら折りの急登がはじまった。

 

さっきまでの涼しさは消え、
空気は重く、熱を帯びて身体にまとわりつく。

 

息が上がる。
鼓動は早い。

 

一歩進んでは止まり、
また一歩進んでは立ち止まる。

 

「もう帰りたい」

まだ、登りはじめて一時間も経っていない。

 

正直、後悔していた。

——それでも、なぜか引き返す気にはならなかった。

 

やめる理由はいくつもある

「まだ、体力がついていない」

「初めての山は不安だから」

 

だけど、やめる決定打だけが見つからない。

 

そんな曖昧な気持ちを胸に、
ただ足だけを前に出す。

 

やがて道は、再び杉林に続いた。

ぽつりと置かれたベンチに目が止まる。

 

「助かった」

腰を下ろした、その瞬間——
涼風が、頬をなでた。

 

さらりと通り抜ける風は、ひんやりとして、
火照った身体をやさしくほどいていく。

 

思わず息を呑む。

山の中の風は、
こんなにも静かで、やわらかいのか。

 

「風に助けられた」

「もう少し、いけるかもしれない」

 

何の根拠もないが、
また歩き出していた。

 

実際に休憩をしたベンチ 優しい風を感じます

 

 

 

落葉した登山道 この写真は初冬になります

 

 

 

失敗したラーメンが、なぜかおいしい

 

高水山を越え、
岩茸石山にたどり着いた。

 

開けた山頂には、
思い思いに過ごす人たちの姿があった。

 

ひと息つき、
はじめての山メシに挑戦する。

 

メスティンで、袋麺を作る。
それだけで、少し気持ちが弾む。

 

ここまでの苦しさが、
きっと報われる。

 

——けれど、

「入らない…」

必要な水の量が、メスティンに収まらない。
明らかな容量不足である。

 

出来上がったのは、
スープのほとんどないラーメン。

麺はやわらかくなりすぎ、
味はやたらと濃い。

 

ひと口食べて、苦笑。

「失敗したな」

 

——それなのに、不思議と箸は止まらなかった。

汗をかいた身体に、
その濃い味が、妙にしみてくる。

うまくいかなかったはずなのに、
嫌ではない。

 

むしろ、これが今の自分なのだと、
どこか納得している自分がいた。

 

不格好なラーメンをすすりながら、
少しだけ肩の力が抜けた気がした。

 

顔を上げると、
青く澄んだ空が広がっている。

その下で、もう一口すする。

 

さっきよりも、
味が身体の奥に残る気がした。

 

 

 

岩茸石山山頂はいつも混雑 コーヒーでほっと一息

 

 

 

 

 

はじめての岩場で足が止まる

 

惣岳山の手前に、現れた岩場。

 

はじめて見たとき、
思わず足が止まった。

 

「これ、本当に登るのか」

岩に絡みつく木の根が、
その険しさを強調している。

 

周りを見ると、
自分より年配の人たちが、当たり前のように登っていく。

 

怖い。

でも、ここで止まるわけにもいかない。

 

胸の奥がざわつく、
一歩、足を出す。

 

手をかけ、足場を探す、
ゆっくりと身体を持ち上げていく。

 

そして、少し先の岩場に手をかけ、

足場を探す。

 

気がつけば、登りきっていた。

ほんの少しだけ、
自分が成長した気がした。

 

たいしたことではないのかもしれない。

それでも、
あの一歩の重さは、

はっきりと覚えている。

 

 

惣岳山手前の岩場 初めての時は怖かった

 

 

 

惣岳山手前には伐採地があり、景色が開けます

 

 

 

 

 

ひぐらしの声、足を止めた夕方

 

最後の山、惣岳山からの下り道。

杉林の中を、ゆっくりと下る。

 

夕方の光が、
木々の隙間からやわらかく差し込んでいた。

 

七月のはずなのに、
どこか夏の終わりのような空気がある。

 

その違和感が、
なぜか心に残った。

 

歩いてきた道に、
少しずつ何かを置いていくような感覚。

 

そのとき、
森の中に広がるひぐらしの声。

 

カナカナカナ……

ひとつ、またひとつと重なっていく。

 

湿り気を帯びた空気が、
ぬめりと身体にまとわりつく。

 

心臓の音が、やけに近い。

理由はわからない。

 

揺らめく西日、土の香り

幼き時間に触れた、感覚が残る。

 

高水三山は、
奥多摩のはじまりの山だった。

つらくて、苦しくて、怖くて——

 

それでも、
あの風だけは、今も身体のどこかに残っている。

 

もうすぐ登山が終了 虫の声が響き渡ります

 

 

 

 

 

 

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