昔あんたが若くていい服を着ていたとき
乞食に銭を放ってやっていたね
みんながあんたに言っていた
「気をつけろ、落っこっちまうぞ」
でもあんたはからかってるだけだと思っていただろう?
よく笑いものにしたね
うろついている奴らを
今、あんたは大声でしゃべらない
今、あんたは自慢話もしない
ただ考える
次の食事をどうやってごまかそうかってね
どんな気がする?
どんな気がする?
家もないってことを
誰にも知られないってことを
転がる石のような自分を
何もない時は
失うものは何もないのだから
あんたはいま透明だ
あんたにはいま秘密がなく
隠す必要もない