夜になって、ハタと気づいた。

明日のクリスマスケーキは、今晩のうちに

買っておかなければならない!


近所で1番美味しいケーキ店では

昼の間、私の苦手な店員さんが働いている。

客が店内に入ると、まばたき1つせず無表情のまま

ジーーーっと客を見つめ続けるのだ。ロックオン。


ケーキを物色して、私がショーウィンドーの前を右へ左へ移動すれば

彼女の視線も右へ左へ移動する。

いっそのこと、試しにビョンビョン飛び跳ねてみようか。

必ずや彼女の視線も一緒に上下するはずだ。きっと面白いだろう。


とはいえ、そもそもロックオンされるのは気分が悪いので

私は他のケーキ店へ行くべく、そっと家から出かけていく。

夫は、祝日バンザイとばかりに、昼からソファで眠っている。


で、私はケーキを買うついでに、近所のスーパーにも寄ることにする。

牛乳を買う。キャベツ1玉と、白菜1/2玉も買う。

クリスマスなので、特別に大好きなコーラ1.5Lボトルも買う。

あれも買う。これも買う。


私は、ずっしり重たいレジ袋を両手に下げて、ヨタヨタと帰宅の途につく。

冷たい雨が降り始めていた。


電線から、大きな雨粒が、ボタっと私の髪に落ちてくる。

うわ、汚い。

と見上げたら、今度はその電線から私の顔にもボタっと落ちる。

うわわわ、汚いっっ。


汚すぎるだろ、これ。だんだん、泣きたくなってきた。

汚いし、重いし、寒いし、冷たいし、夫は家で寝ているし。


ついでに、

受精しないし、分割しないし、陽性でないし、医療費が沢山かかったし。


さらには、

年始には「子供作らないの?かわいいよ~」の年賀状が送られてくるだろうし。

嫌々帰省する義実家では、自分の子供が皆の注目の的である事に

すっかり舞い上がった義妹が、ここは私のテリトリーよ!とばかりに

私にマウンティングしてくるだろうし。

義兄は「子供作らないの?」と毎年お決まりの質問をしてくるだろうし。


どいつもこいつも、私が本心の笑顔だと思っているあたり、イタすぎる。


「子供はかわいいよ」ってアンタの年賀状で顔面どアップの子、ブサイクじゃん。

結婚して子供が産まれる前は低学歴ニートだった義妹が、何をエラソーに。

毎年同じ質問を繰り返す義兄は、記憶力が悪いのか察しが悪いのか。

・・・なんて顔はしないで、私はにこやかに微笑み続ける。


私だって、売り場で子供と一緒にぼったくりなクリスマスケーキを選びたい。

私だって、子供と一緒に部屋にツリーなんかを飾りつけしたい。

私だって、親戚の集まりで自分の子供に目を細めたい。


もしも流産していなかったら、さっき店内で見かけた子と同じくらいの歳

になっていたはずなのに。


はぁ・・・。泣きたい。


電線から落ちてきた雨水2滴で、押さえていたもの一気にあふれ出てしまった。

私は、家に帰り玄関のドアを後ろ手に閉めた途端、堰を切ったように泣き始めた。

何年ぶりだろう。


夫がソファから飛び起きて、慌てて乾いたタオルを持ってくる。

雨に濡れた私の髪を拭こうとする。

私は泣きながら、「もーぅ!!」とキレてその手を振り払う。


あんたが、車も出さずにずっと寝てばかりなのが悪いんじゃないか。

あんたが、だらだら同棲を続けたがって結婚が遅れたのが悪いんじゃないか。

あんたが、あんたが、あんたガーーーーーー!!


・・・って、これじゃ、言いがかりだ。

八つ当たりだ。


私は、もう何が原因で自分が泣いているのかすら分からないまま

顔もただただ泣き続ける。

40を過ぎた女の泣き顔は、さぞかし見苦しいであろう。

だが、手で顔を覆ったりはしない。

目をこすったら、翌日の目が腫れてしまうではないか。←この辺は冷静。


とりあえず、気が済むまで泣き続けた。


とてもスッキリした。

って、子供か。


ところで、年末年始は、晴れが続くそうですね。・・・って、なんのこっちゃ。

夫ごめん。


夫がもしも読んだら私のブログとバレるので、アメンバー限定公開にしてみたりして。

アメンバーさん誰もいないけど。ぷ。


(後日、アメンバー限定を解除しました)