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俺は 自分にウソをついてた。
俺は本当は次郎が嫌いだった。
俺は本当は太郎が好きだった。
もうこの頃は、私の持っているモラルハラスメント関係の書籍なども読み、知識を取り入れ、自分とモラ美の関係をそこに当てはめて、自分たちの歪んだ夫婦像がわかりかけてきていた虎キチ。
バックボーンは十分整っていました。
私の言葉を事実として認め、受け入れてから虎キチは、その想いが堰を切ったように噴出し、彼の中で持て余すようになりました。
そんな虎キチの気持ちの変化なんぞ知るよしもないモラ美。
彼女にとっては虎キチは相変わらず自分の所有物です。
そして彼女は彼女で、やっぱり次郎なんかなーんも大切ではないのです。
愛玩犬とかオモチャの人形とかと同じです。
前回の脱水症うんぬんで虎キチに激怒してきたのだって、本当に次郎が大切だから怒ったのではないのです。
虎キチに突っかかっていける理由いっこデキた♡
って例のアレくらいのものなのです。
(その証拠に、彼女は自分がムカついたときに次郎が手近にいれば、容赦なく次郎に八つ当たりしてキレます)
なのでモラ美は、
気分の赴くまま、猛烈ディスりメールに差し挟んで、
太郎が暴れて家庭内暴力をふるい、殺されそうだ、警察沙汰にしようかと悩んでいる、などと、相変わらずの100パーセントウソだらけのメールなど書き送ってきます。
(賢明な皆さまにはもうおわかりでしょうけど、哀れでか弱いモラ美姫を守るために虎キチ王子に駆けつけてほしい!ってヤツだよ!)
「モラ美からこんなメール来たけど、おまえなにか暴力振るったの?」
(虎キチ送信)
「なんかうるさいから強めに言い返したけど。
暴れてテレビのリモコンの角で殴られたりとか、どっちかというと暴力振るわれたの俺なんだが(笑)」
(太郎返信)
思えば、
太郎がこんなことした、太郎があんなことした、
今までモラ美の言ったことを真に受けて、俺はいきなり太郎を殴ったりした。
太郎、キョトンとしてたよな……。
俺は、太郎の言い分を聞いたことはなかった……。
本当、よくよく考えればわかることばっかりだったのに。
太郎、そんな悪い子じゃなかったじゃないか。
一方のモラ美はいつも、俺の悩みを増やすだけだったのに。
俺は、馬鹿だった。
太郎には、悪いことをしてしまった……。
いっぱいの想いでパンクしそうな虎キチ。
よく言えば純粋で一本気。
悪く言えば直情で単純。
私とは正反対のタイプの彼は、私のように想いを黙っているなどという芸当ができる人ではありませんでした。
インプットがあればアウトプットしないとダメな体質の人でした。
今までおまえにはひどいことをしてきた。
本当に自分は間違っていた。
あんな女(モラ美)のせいで、おまえを傷つけてしまっていた。
ごめんなさい。
これだけは真実だよ。
俺はおまえを愛してるから。
俺は、正直言って次郎のことは大切じゃない。
でも、おまえには償いたいと思ってる。
こういう内容の長文メールを太郎に書き送りました。
もちろん、このメールは誰にも見せるなと、念を押しておきました。
太郎は、見せなかったでしょう。
しかし、
他人の携帯盗み見常習者、
モラ美の目にこれが入らないはずはありませんでした。
嵐到来。
戦闘の火蓋は切って落とされました。