虎キチ、大好きな泥棒猫との電話が当たり前になり始めると、アレを蒸し返し始めます。
そう、アレです。
猫ちゃんの写メくれ。
メールのやり取りメインだった頃はスルーもしやすかったのですが、これが直デンだとなかなかそうはいきません。
はぐらかしたり、そのうちね~などと言ってごまかしたり、いきなり話題を変えたりしていましたが、虎キチは自分の写メをガンガン送りつけ、私への要求もどんどんしつこくなっていきました。
「ねー、ホントさー、写メちょうだいよ、なんで~?欲しいよ写メ、どうして送ってくんないの~?」
「そういえば虎キチくんは~」
「いやいやいや、写メ欲しいよ~、ねえ、なんで?なんでくんないの?」
ウザい、
イヤがってんだろ、
察しろ!
しかし虎キチ、私の都合なんかどうでもよく、もうひたすら写メが欲しくてたまらないらしく、しつこさ全開で食い下がります。
仕方ねえ。
言いたくなかった。
私は、虎キチに渋々言いました。
「………………写真うつり…………悪いねん」
「なーんだ!そんなの気にしないから送ってよ~!」
ピグッ。
そんなのだと!?
お前、オトメが羞恥心MAXで答えてんぞ!
その意見尊重せんかい!!
「……。
……。
……。
……。
虎キチくん、好みのタイプって、どんな顔?」
「ん?俺の好みはね~」
虎キチの好みの話を聞きながら、私は苦悩の真っ盛りです。
だって、
私、
世界一ブサイクな女だから!
↑醜形恐怖症からくる思い込み発動中
これが、ただのお友達でもツラいのに、虎キチは、
泥棒猫が生まれて初めて好きになった男。
です。
写メ送って逃げられたら一生トラウマ間違いなしです!
ここまでの人生で、
向こうから私に近づいてきた男たちはかまわない、
私のウルトラブスを知りながら来たんだから自己責任。
きっとブス専、
あるいは気の迷い、
またはここまでのブスならいっそ話のネタになると思って、
それとか男が勇者で私が魔王に見えてるとか、
(ここまでチキンの私ですから、当然自分から男に近づいたことなんかありません。ブス身をわきまえてます。迷惑だって知ってます。でもより好みは激しかったです。ブスの分際で勝手です)
でも、
写メ送って虎キチが態度変えたら私の運命ナイトメアモード突入だろ。
とも、思いますし、
気の毒にも思うのです。
こんなドブスと知らずにときめいてる。
(この頃彼がどんな家庭か知らない)大切な家庭がある人が、
きっとステキで可愛い女性を想像してるに違いない。
これ詐欺でしょ、
教えた方が彼のためだよ、
もうこれ以上幻想抱かせるなよ、
私が彼を好きなのは勝手だけど、彼だって、美女と恋愛する権利あるはず!
と、思った次の瞬間には、こんな風に思うのです。
私耐えられる?
欠陥人間でコミュ障の私が初めて好きになった男が、
私の写メを見て圧倒的大絶望、
全身全霊でリバース、
こんな女追っかけ回したと思ったら軽く死にたくなる、
おはらいのために写メ受けたパソコン燃やす、
とか!!!
うわぁ……。
いかんいかん。
私の方が吐き気してきた。
まるきり耐えられる気がしなくて首吊りたくなった。
こんな、マイナス思考すぎてほとんどファンタジーな、けどヘビーすぎる悩みを抱えて無限ループに落ち込んでる私に、虎キチの写メくれコールは日ごとに勢いを増していくのでした。