「シン・ウルトラマン」を鑑賞してきました。
「ウルトラマン」と聞いて見に行きたくなりそうな小学生にとって面白いのは半分にも満たない部分くらいまでで
残りは退屈になるかもしれないのでお子様連れは中座を覚悟した方がいいかもしれません。
鑑賞後に偶然、小学校高学年くらいの女の子がお母さんらしき人に「最後の話からさかのぼって見たんだけど」と
テレビ版の「ウルトラマン」について語っていたのを見かけたのですべての子どもに退屈だとは言い切れませんが。
テレビ版の「ウルトラマン」全39話を楽しく予習出来た子どもには向いてるかもしれません。
前作ともいえる「シン・ゴジラ」と比べて深いメッセージ性のようなものはなりを潜め
(東日本大震災と福島原発事故の暗喩にも解釈できるシン・ゴジラのようなメッセージ性を求めるのが無理でしょう)
とてもエンターテイメント的な作品に仕上がっているなという印象でした。
あえて最新のVFXではなく昭和のテレビ番組を模した光線表現や当時の「ウルトラマン」で使用された効果音、劇中曲にこだわるなど
あの当時の子どもだったおとな達に向けての作品と言い切っていいように思います。
映画館のグッズ売り場に並ぶ商品を見ても同時期に上映されている「ドラゴンボール超」と比べて
高額なフィギュアやリュックなどメインターゲット層の年齢が高めなのは見て取れます。
笑わせようというネタについても、あの当時の「ウルトラマン」に出てくる感覚の「笑い」で
今の子どもや若い人にはぴんとこないんじゃないかなという気がします。
「シン・ゴジラ」と比べてしまえば明らかに観客の層が狭くなってる「シン・ウルトラマン」ですが
そのターゲットに当てはまる人達にとっては間違いなく素晴らしい作品でオススメです。
ネタバレはしたくないので書くことは出来ませんが、非常に展開が早いのが気になる人はいるかもしれません。
作中の時間経過がよくわからないので、仲間(禍特対メンバー)の信頼関係構築など
急に感じる場面がいくつもあるのはテレビ版で約20時間あったエピソードを2時間足らずにまとめた弊害だと思います。
とはいえ、連続ドラマ化したり前後編・三部作にするなどエピソードを追加したとしても
物語が間延びしただけかもしれないのでこれでよかったとも言えるかもしれません。
イデ隊員の役割を担った滝明久を演じた有岡大貴さんはしっかり仕事をしていますし、
人間離れした雰囲気のウルトラマンと同化した神永新二を演じた斎藤工さんも良い感じでした。
誰よりキャラクターが立っていたのはメフィラスを演じた山本耕史さんだと思いますが。
時間があるならばテレビ版の「ウルトラマン」を一度予習してからの鑑賞をオススメしたい映画でした。
ちなみに、本編前の予告編には「シン・仮面ライダー」のものがあったのですが
今、公開されている映像では「シン・ウルトラマン」以上に昭和のテレビに寄せたチープ感のある映像でした。
あそこからどんな予想外の展開を見せてくれるのか楽しみです。