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日々折々  
    「寿餅諷経 (じゅびょうふぎん)」

 これも正月三が日の行事です。三朝祈祷は檀信徒に新春の祈祷札を配布する為に必ず行わなければならない行事です。寺の年間行事の中でも、極めて大切な極めて公的な行事です。それに比べると、寿餅諷経(じゅびょうふぎん)はカジュアルな行事であると言えます。

 寿餅とは、「お師匠様の健康長寿仏道精進をの祈りを込めたお餅」のことです。正月3が日、床の間に「龍天軸」と呼ばれる掛け軸(仏法の守り神を祀る掛け軸)を飾り、その前に重ね餅を置き、お師匠様の法体堅固福寿無量を祈願して読経焼香します。三日間読経してから、その餅を持参してお師匠様に年賀の挨拶に行きます。

 曹洞宗の場合、お師匠様と言っても、大きく3つに分かれます。

   1、受業師(じゅごうし) - 得度の時のお師匠様
   2、法幢師(ほうどうし) - 立職の時のお師匠様
   3、本師 (ほんし)   - 伝法の時のお師匠様

尚、この他に「参学師」と言って、修行していく上でお世話になった老師(例えば、修行道場の指導者)に寿餅を贈る場合もあります。

 これらのお師匠様と言っても、全部同じ方という場合も多いです。副住職のお師匠様は住職であり、同居している実父でもあるというケースが実際のところ多いと思います。一緒に住んでいる親子となるとお互い照れくさくて、省略してしまう場合も多いと思います。
 
 私の場合、これら三人の師匠は皆別です。受業師と本師には直接持参し、年賀の挨拶をしておりました。法幢師はちょっと遠方だったので、郵送させていただいておりました。郵送する場合は、切り餅を包装し熨斗を架け、賀状を添えて送ります。受業師と法幢師は遷化されましたので、現在は本師にだけ寿餅を贈っております。毎年一月三日に挨拶に伺っております。

曹洞宗の教えを示す言葉に「威儀即仏法、作法是宗旨」という言葉があります。寿餅を贈るというのは教えを頂いたお師匠様への礼儀作法の一つではありますが、この言葉に通じるものがあると思います。
 
 今の時代、伝統とかしきたりを軽んずる人が多くなってきているように感じますが、その伝統やしきたりによって育てていただいて部分も大いに有ると思います。受業師と法幢師が遷化した今、ご存命の時日頃は無礼しておりましたが、寿餅だけは毎年お贈りできて良かったなあと思っております。

 他の宗派の方で、これに類した行事や挨拶の方法がありましたら、お教え下さい。


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