どらです。
2018年3月2日午前4時35分、あんこがこの世を去りました。7歳と8ヶ月でした。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20180302/12/doralina/a0/ae/j/o2448326414141472776.jpg?caw=800)
今後少しでもどなたかの参考になればと思い、詳しい経緯を書かせていただきます。
長くてごめんなさい。
様子がおかしいことに気づいたのは10日前、2月20日の朝でした。
大きな毛玉を吐いた跡があったのはよくあることでしたが、その後何度もエグッエグッとしゃくりあげるような仕草と大量のよだれ。急いで近くの動物病院に連れて行くと「吐いた直後で胃が荒れたのでしょう」と吐きどめの注射をしてくださり、お薬を餌に混ぜて飲ませるよう言われました。でも餌も食べたがらない。スポイトで薬を飲ませましたが様子が変わらず、翌朝検査やワクチンでお世話になっている別の病院へ連れて行きました。そちらでも診断は「やはり胃炎だろう」ということでさらに強い点滴をしてもらい、家に帰ると少し回復した様子を見せてくれました。
しかし22日の夜からまたエグッエグッ、そしてつららのようなよだれを垂らすようになり、翌朝再度病院へ。動画でその様子を見せると「歯が原因かもしれない」とのことで、病院嫌いで暴れるあんこに鎮静剤を打ち、口の中を確認したところ何もない。念のため血液検査をしたところ、「大変な状況です。かなり重度の急性腎不全です。この3日が勝負だと思ってください」と言われました。
それまでに多飲多尿や血尿といった症状も一切無く、3ヶ月前に受けた血液検査でも何一つ悪いところはなかったのに、です。腎機能を示す値であるBUN、CRE、さらに心臓に影響を与えるカリウムまですでに致死レベルであると告げられました。ショック状態の我々に先生は「通常なら利尿剤の入った点滴を受けに通院してもらうのですが、どうも普通の腎不全じゃない可能性がある、原因次第では治療法を変えなくてはいけないかもしれないのでこれから救急センターに行ってはどうか」とアドバイスをくださり、我々はぐったりした状態のあんこを抱えてタクシーで向かいました。
救急センターは、MRIをはじめとした設備が整っておりたくさんのスタッフで24時間体制で動物のケアをしている施設です。主治医となったS先生が再度あんこの検査を行い、
* 非常に厳しい状態でいつ死んでもおかしくないこと
* ただの腎不全ではなく、尿路がなんらかの理由で塞がれていることで腎臓が膨らみきってしまい尿が体内に漏れ出していること
* 尿路結石が原因なら最終的には外科手術が必要であること
* 間違いなく「急性」なので乗り切ってくれれば回復の可能性が出てくること
* いずれにせよ今すぐにもドレーンを入れて腹膜透析を行わないと命を落としてしまうこと
を説明してくださり、すぐに処置を始めてくださいました。
何の症状もなかったため混乱している我々にS先生が、
「ノルウェージャンは時々こういうことがあります。もっと若い、1歳2歳のノルウェージャンの子が同じように来ることもあるんです。他の猫よりまず石が出来やすいし、先天的な異常を持っていることも少なくない。あんこちゃんの場合も画像で見ると左の心臓に少し欠陥がありそうなところがあって、ここが原因の急性腎不全の可能性があります」
とおっしゃいました。
ドレーンを入れられ、ICU(酸素濃度を管理できる大きなケージです)で寝るあんこを預け、落ち着かぬまま帰宅すると深夜にセンターから「タンパク質が下がりすぎているのでアルビリンを入れます」と連絡が入りました。その点滴によりまれに猫がショック状態になるらしいのですが、あんこは無事でした。
面会はいつ来てもよいと言われたので、翌日から毎日2人でセンターに通いました。あんこはぐったりとしていましたが、我々が来ると声に反応してくれました。名前を呼ぶと、必死に足を動かして立ち上がろうとする、でも力がなくて立ち上がれない。呼ばれるたびにそれを繰り返していました。
そして腎臓や心臓関連の値が3日目から落ち着き始め、最悪の状況は脱したと先生とともに少し安堵し、「明日には別の施設でCTを撮って、原因を確定し至急手術を行いましょう」と言われ準備をしていた翌朝、センターから電話が入りました。
「あんこちゃんの白血球が今朝から極端に下がり、危険な状態です」と。
検査どころではなく、あんこの腎不全で弱った体は今度は敗血症を発症し、多臓器不全になりかけていました。急いで駆けつけると肺炎と貧血状態のあんこはハァハァとものすごい速さで呼吸を繰り返していました。必死に名前を呼ぶとしっぽだけでしたが反応して振ってくれました。
その日からは強い抗生剤を使っての治療が始まりました。腎臓の数値は一旦落ち着いたためドレーンは抜き、「右の腎臓はもう機能してないようですが、左の腎臓がなんとか動き始めたようです」とのことで少量ずつ尿も出ていました。でも敗血症がなかなか抑えられず、あんこは24時間全身の炎症や痛みと戦い続けてビクビクと体をひきつらせていました。毎日センターに通い、名前を呼び続け、少し触らせてもらっては話しかけることくらいしか我々に出来ることはありませんでした。それでも我々の声には反応を見せてくれるので、そばにいると伝えることが少しでも力になればと願っていました。これを乗り切ればまだ元気になれる可能性があるということで一縷の望みを持ち続けていました。
28日、センターに行くとあんこが自力で頭を支えていたので驚きました。先生から白血球の値が上がって来たこと、敗血症の症状は一旦収まったと聞かされ喜びました。しかし、全身症状の余波として今度は脳浮腫を起こし発作を起こすようになっていました。名前を呼びかけると耳を少し動かして一生懸命こちらを見ようとしますが体が自由にならないようでした。「どれほど脳に障害が残ったかわかりませんが、一時的なものの可能性もあります」とのことでした。貧血、さらに肝臓の値が悪くそれを改善するために一日も早く自力で飲食ができるようにしてあげたいとS先生はおっしゃり、そのタイミングを計っていました。
3月1日、発作はやはり起きていました。でもスポイトで少しずつ餌をあげると食べるようになったとのことで、誤嚥しないよう頭に枕をあてられていました。呼びかけると、一生懸命目だけではありますがこちらに向けてきてくれます。我々の目の前でも餌を与えてくれて、その時あんこは確かに餌を欲しがって介助されながらも自分から口を動かしていました。血液検査の数値は改善しているしこのまま食事が摂れるようになれば元気になる可能性が高くなる、S先生と希望を持って治療を続けましょうと話していました。
S先生はいつも理路整然と病状を説明してくださる本当に聡明で優しい方で、ひとつひとつの治療法のメリットデメリットを把握し最短の時間で最善策を選ぶことに長けていて信頼できました。スタッフの方も皆さん親切で「あんちゃん」と呼んで細やかに世話をしてくださり、「最近はゴロゴロ喉を鳴らしてくれるんですよ」と話してくれました。病院嫌いのあんこでしたが、とても可愛がっていただいていました。
「食べられるようになったらきっと一気に元気になるね」と話しながら帰宅し眠っていた明け方4時過ぎ、センターから電話がありました。
「あんこちゃんの心拍と呼吸が止まってしまいました。処置をして心拍は取り戻せましたが、急いでお越しになったほうがよいかと思います」と。
慌てて支度をしていた7分後、再度電話があり「心拍が完全に止まってしまいました。治療をここで中止いたします。申し訳ありません」と言われました。
すぐタクシーで向かいました。あんこはもう白い箱の中にいましたが、すぐ呼んでいただいたのでまだ体は温かく柔らかいままで、もう息をしていないなんて信じられませんでした。今にも起き上がって走り出しそうに見えました。
最期は発作ではなかったそうです。
「まるで力尽きたように、すっと息を引き取りました。苦しんでませんでしたよ」
と言われました。
丁寧なケアをしていただいたセンターの先生方には感謝しかありません。
家に連れて帰り、今は一緒にのんびりと過ごしています。明日、お別れをする予定です。
正直もっと長く一緒にいられると信じていました。
多くの猫が亡くなってしまう原因である腎不全に対する特効薬が開発され2年後に使用できる見込みというニュースを聞いて、ちょすけと「よかった、あんこは間に合うね」と喜んでいたのに。これまで風邪は引いたことがあっても大きな病気ひとつしたことのないあんこが。まだ気持ちの整理がつきません。
7年8カ月、その間我が家には色んなことがあり、大変な時期もありました。ちょすけが起き上がれなかった時、私が病気になった時、何も言わずただそばにいてくれるその存在に、どれほど慰められ、癒され、救われたことか。我々はあんこに助けてもらうばかりで、何もしてあげられなかったのではないかとさえ思います。
せめてもう少し早く気づいてあげられたら。せめて死に際に間に合ってあげられていたら。せめて家で看取ってあげられていたら。
自分達の力が及ばないことがあるのはわかっていても、悔しくて腹立たしくて悲しくてたまりません。
唯一救いなのは、あんこはもう高熱や痛みに苦しむことがないということ。
あんこ、よく頑張ったね。本当に本当にしんどかったろうから、ゆっくり休んでほしい。そしていつかは我々もそちらに行くから、その時はどこにいても必ず探し出して見つけるから、そしたらいつものように走ってきてね。また思い切り一緒に遊ぼうね。
人間が大好きで、甘えたれで寂しがり、ビビリで食いしん坊で、いつも舌をしまい忘れてて、ヘソ天で寝そべっていた可愛いあんこ。「ペットはペットでしょ」と言われるかもしれない、笑われてもいい、あんこは間違いなく我々の大切な家族でした。
ありがとう。ずっと大好きだよ。忘れない。
本当にたくさんの皆様に、リアルはもちろんネット上でもあんこをたくさん可愛がっていただきました。
ありがとうございました。
心からお礼申し上げます。
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