課題に提出したものばかりなのでサイズが大きめです。
こちらにはトレス絵はありませんが女装はありますのでご了承ください。

ジャンルは闇鍋です。































2月にはなりましたが、明けましておめでとうございました。

低速気味ではありますが新しく作品を書いている最中なので頑張りたいと思います。

今年もよろしくお願いします。


聖桜
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第8話「私だけの言葉」



昔々の、その昔。
とある一国は自動人形(オートマタ)の製造・売買によって繁栄したという。

「ふぅ…完成したぞ…」

国の一角、深い深い森の中の小さな民家。
少女の体についた汚れをタオルで念入りに拭き取りドライヤーで濡れた髪を乾かした老人は、一息ついてから椅子に腰掛けた。
目の前で瞳を閉じて動かない少女は人間にしか見えないが、精巧に造られた人形にすぎない。それでも老人は、孫娘の成長した姿を見たかのように満足そうな笑みを浮かべていた。

「さ、目覚めるんだ」

一声かけた途端、少女の身体はガチャガチャと機械音を立てて動き出す。
そして…、


~~~


「惨敗だ、俺たちの」

慶太から珍しく重苦しい一言が飛んだ。

白き概念神の強襲から約24時間が経過し、あの時違う場所でなにが起きたかを纏めれば、合流した狩也は傷だらけで慶太も怪我を負った、更に遊矢は意識が戻らない。
まさしく惨敗。リコードイミテーションを前に成す術はなく、結果的に判明したのは敵の頭目とも言えるヴァイスという仮面の男の素顔が托都だったという残酷すぎる事実だった。

「…俺たち…助けるはずのヒカルさんに、逆に助けられた」
「私たちがもっと強かったら…」
「気にするな、ヴァイスという男が規格外なだけ。お前たちにはなんの落ち度もない」

いまだに落ち込んでいる慶太とアミに励ましの言葉をかけるリンの表情は優しげな言葉とは違いどこか険しい。
それはヴァイスが使用したカードに理由があった。

未知の召喚法"ペンデュラム召喚"。

なお、問題があるのは召喚法ではない。
ヴァイスはそれを事象"ARC-V"から手にした、と言った。そんな事象は聞いたことがない。
つまりヴァイスはこの数多の平行世界が集束された一つの宇宙ではない、全く異なる宇宙に存在する平行世界に干渉することができることが予想される。
もしもそれが可能ならヴァイスは無限に未知の力を行使できるはず、そうなればどんな対抗策を用意しようが太刀打ちできない。

憶測ではあるが可能性は0でもなく、今までの経験上疑ってかかるべきだろう。
デュエルモンスターズが存在する平行世界にならば無限に干渉することもできるリンですら理解に辿り着けないほどだ、流石に手の施しようがない。

「そう、ヴァイスという奴に関しては、分かることはあるんだが…」
「えっ?それって托都さんとなにか関係が…?」
「なくはない、かな」

"平行世界に干渉する力"には分からないことが多いとしても、その能力を持つ人物なら特定は難しくない。
しかも名前や外面的特徴が判明している以上、あらゆる歴史を紐解けばいずれは結果にブチ当たる。

リンの言う"ヴァイス"の特徴は、確かに本人が語ったものやその僅かながら托都と不一致の部分を鑑みて間違いなかった。
"復讐"または"憎悪"といった感情によって魂に刻まれた概念そのものの冬眠状態(スリープ)が解除され、本来の人格を食い潰して成り代わる。その際、瞳は真っ白に染まる。

「数十年前に、クイーンエスペランザ号と呼ばれた大型客船が一夜に沈没する事件が起きた。原因は火災とされ、主犯と思われる男が逮捕され終身刑になる。その主犯は、最後に自らと違う名を名乗った」
「それがヴァイス…」
「あぁ。これがヴァイスに関する一番現代に近い事件だ。他にも遡ればいくらでもあるだろうよ」

"クイーンエスペランザ号沈没事件"
XXXX年冬に起きた事件だ。
資産家、社長、とにかく古くから金持ちの一族なら巻き込まれなかった者はいないとまで言われたこの事件の原因は、クイーンエスペランザ号を設計した男が引き起こした火災だった。
最終的な結末は男は終身刑となりこの世を去るというあまりに当然すぎるものだ。
しかし、この男にはある特徴があった。

それこそが、"白い瞳"。

古くから男を知る友人は男の瞳はターコイズブルーだったと後に語った。
そして、死ぬ間際名乗った名は「ヴァイス」。

ヴァイス自身が言った「転生の器」から連想するに、やはりヴァイスは何度も何度も概念として転生を繰り返し着実に此度のような計画を実行に移すべく動いていたのではないだろうか。

「奴は概念そのもの…、平行世界に干渉するのもそれが理由と見るべきか。対策の練りようがないのが苦しいところだ」
「…えっと、結局托都さんとの関係って…?」
「憶測は混じるが、覚醒のトリガーが全員同じなんだ。詳しく話せば長くなるからこの資料読め」
「あ、そ、そうッスか…」

長話にともないリンのご機嫌もだんだん斜めに低下して、テーブル上の資料がぐしゃりとしわくちゃにされてしまうほどにはイライラしているようだ。
だがいい加減に終わらせるわけにもいかない、話題を繋げようとアミが切り出した。

「托都さん自身は、どうなったんですか?」
「概念神の顕現は命を燃やし尽くしてしまうほど魂の消耗が激しい。まぁそれは常人に限る話、神の血を分ける奴なら大した影響はない」
「じゃあ無事なんですか!?」
「それとこれは別の話。前提として連中は魂食いだ、それに一つの個体に二つの魂は共存できない」

冬眠状態の場合、"無いもの"であるため概念神は感知できない。故に二つではなく一つだと肉体に認識されてしまう。

「それこそ遊城十代とユベルのように魂を融合したか、武藤遊戯と名も無きファラオのように別の場所に保管したならまた話が変わってくるけど」

九十九遊馬とアストラルの場合は元が一つの魂だからこそ共存し、実際二人が分かれていた間はゼアルの状態でなければ個体は二人分存在していた。
完全体のエクスゴッドアーマードとなった遊矢とヒカルも、遊矢の肉体にヒカルの精神が共存しただけで、魂や肉体を保管したのは装甲のコアの部分だ。
最近ならルクシアもそうだ。彼女は人工生命(ホムンクルス)故に魂は宿らないが、未完の聖杯を宿した本物のルクシアの魂が彼女の想いに呼応し融合した、ということであった。
結局のところ、そういった例外さえなければ托都は必然的に"死んだ扱い"になってしまう。

「未完の聖杯があったならな…」
「魂の器だから、無事ってことですか…」
「そ、まぁ無い物ねだりしても仕方がないか」

救いのなさに天を仰ぐ。
一体彼がなにをしたかと言うのか、どちらかと言えば不運の渦中を歩んできた側に神は味方しないのか。
よりにもよって彼自身も半神であることは皮肉としか言いようがない。

「さて、話は変わるが遊矢についてだ」
「まさかなにか分かったんですか!?」
「あぁ…」

もうひとつ問題がある。
それは遊矢のことだ。

ヴァイスの一撃を受け結界内に閉じ込められた遊矢は、衰弱し結界が破れた後に意識を失ってしまった。
一日が経とうとしているが全く目が覚める兆しがない。…それも問題だが無理矢理にでも起こす方法はある。
なによりも事態を狂わせたのは左腕に刻まれた刻印、托都が宿したものと同一と思われるものが遊矢に宿ってしまったということだ。

「まず、あれを引き剥がす手段がなかった」
「じゃあ托都さんみたいに左腕に触るだけで痛い思いをしなくちゃならないんですか…?」
「そうだ」

触れただけで全身に伴われる苦痛。常に托都が向き合ってきた己が"人ではない"という証。
だが遊矢は人間で、そもそもバリアンですらない。絶対にあり得ないことが起きてしまっている。

「例外によって引き起こされるロジックエラー…、もし現実に起きれば遊矢は…」
「遊矢は…?遊矢は、なんなんですか…!?」

詰め寄るアミに対し口を閉ざした。
これから伝えるべき事柄のあまりの絶望感に、リンすらも人目を憚らずに嘆いているのだ。

「リンさん…」
「…ヒカルのことは諦めろ」
「えっ?」

1分ほどの沈黙のあと、開かれた口が述べた言葉はそれが始まりだった。

「選択しなきゃならない」

「選択ってなんですか!なんで諦めろなんて!!」

「遊矢を殺すして世界を守るか、遊矢を守って世界を殺すか」

紅玉の眼が二人を見下ろす。
言葉の意味を理解できずに混乱した二人の頭を醒まさせるように。

「もし、遊矢がヴァイスと対峙することになれば遊矢は━━━、」

「…そんな…」

二人には、選択肢を選ぶことができなかった。


~~~


熱を帯びた風が頬を掠める。
炎天下の空の下、高台から街を見つめる姿は痛々しく苦しげだった。

「……」

また勝てなかった。
フリューゲルアーツを握り締め唇を噛む。

瞼を閉じればまた蘇る、突き刺す刀剣のごとき金色の瞳が仇なす者を射殺さんとこちらを睨む姿が。
"そんな目で見るな!"
大声で叫びそうになる衝動を抑えて鉄柵に拳を叩きつけた。

「なにが言いたいんだ、アイツは…!」

デュエルの際に垣間見たあの男個人の感情に、狩也はまず困惑した。
たかが敵。突然現れて親友の大切な仲間を誘拐した敵が、わざわざ終わったことに首を突っ込んできて、あれほどの剣幕で罵詈雑言を放つとは思っているはずもなく。
相手のペースに呑まれた、というのは逃げだろう。
着いたはずの決着がまだ着いていない、それだけのことだ。

「…なんだってんだよ」

先のデュエルで負った傷に大事はなかったが、フリューゲルアーツの情報処理の後遺症はしばらく残ると言われてしまった。
今すぐにでも昨日の男ともう一度戦おうにも手段がない以前にデュエリストとしてフィールドに立つことも儘ならない。
なんて無力なのだろう。力を手に入れ漸く掴んだ勝利への希望は一瞬にして灰となって、風に乗って飛んで行く。
まるでそれは、狩也と遊矢の関係にも思えた。

「狩也!」

「…?」

後ろから走ってきたのは数日前と同じ人物。
ただ違うのは、どこか心配そうにしているところか。
彼に心配される筋合いはなかったはずが何年か友人やっていたらそんな関係にもなっていた、なんて狩也は思い出してみる。

「大丈夫か?なんか左目めっちゃ痛そうだぜ、それ…」
「別に痛くねえけど…ま、不便だよ」
「そっか」

包帯に分厚く覆われた片目を、右から金の長い髪を避けてチラチラ覗き込んでくる。
いつもなら邪魔だと言って払い除ける手を退ける気分にもならない。狩也はとりあえず慶太の気がすむまで放置することにした。

━━いつだったか、遊矢も同じことをしていた。

「昔の遊矢ソックリだぜ、今のお前って」
「へ?」
「ずっと前の話」

まだ彼に出会ったばかりの頃。
ちょうど今くらいの夏が終わり秋が来る、そろそろ枯れ葉が落ち始める季節に二人は出会った。


━━十数年前━━


なんて大きな家なんだろう。
目の前に建っていた建物は、まるでテレビで見る観光名所のようなものだった。

小さな小さな自分がもっと小さい存在だと思い込んでしまうほどに存在感を発する住居らしき屋敷は、これから暮らす新居のすぐ近く、いわゆる"ご近所さん"だ。

「さ、ご挨拶に行きましょうね」

そう言ってはにかんだ母親は幼い狩也の手を引いて階段を一段、また一段と上り、最上段に辿り着いた時には重々しく閉じていたはずの門が開いていた。

待っていたのは狩也の両親よりも年嵩のいった夫婦だ。

「どうも、近所に越してきた者です。此方はつまらないものですが…」
「ありがとうございます、わざわざご用意を…」
「たしか、望月のお嬢様でしたか。お隣はご子息ですかな?」
「はい。ほらご挨拶よ狩也」

そっぽ向いている狩也の肩に両手をぽんと乗せ、リラックスさせようと母親はにこりと笑う。
実際、当の狩也は緊張しているわけではなく、ただ目の前の男性の背丈が高すぎて怯えていただけなのだが。

「わー!!」

突然響く声。幼い印象を受けるその声の主は、これまた唐突に吹いた風と共に現れた。

「遊矢!明日の準備はできたの?」
「うん!!」

狩也と同じく、幼き日の風雅遊矢。
屈んで目線の高さを合わせた遊矢の母は頭を撫でながら問いかける。
応えるように元気に頷く中、遊矢はちらりと狩也を見た。

「ねえねえ!きみはだれ?」
「えっ!?…えぇぇ…」

両手をがっちり掴まれ挙動不審な狩也に対し、初めて会った同い年の少年に興味津々の遊矢。
二人の邂逅において、印象と行動はまさに対極だった。

「おれ、遊矢!よろしく!」
「え、っと…」

「こら遊矢、困ってるでしょう」
「あぁいえ…うちの子、人見知りする子なのでお構いなく…」

現在なら初対面相手だろうが容赦のない狩也だが、昔は人見知りが激しく内向的であった。

ここから数日間、奇妙な関係が始まる。

実質的に10年以上の仲ではあるが、この出会いから数日、狩也は遊矢から逃げる日々を送っていた。

「かりやー!!デュエルしよー!!」

「むり!できない!」

あらゆる方面でライバル関係を築いた二人はこの頃から足の速さで競い合えるレベルだったらしい。
そんな二人が園内、または街中を駆け抜けるのだ。
周りの人は微笑ましいなと笑い合い狩也の心中など知る由もなかった。

ところが、そんな毎日は唐突に幕を下ろすこととなる。

ある日の午後。
託児施設の園外活動で市街に出向いた時のことだ。
こんな性格が災いし、中々友達のできない狩也は毎回一人ベンチでデッキを捲るだけの暇潰しをしていた。
……もちろん、毎回遊矢が邪魔していたが。

「……じー」
「っ!わぁぁ!?」

あまりの気配遮断能力に一瞬気付くのが遅れたが、行動がまるでホラー映画。垂れた金の髪を払い除け、遊矢がじーっと狩也のデッキを見つめているのだ。
驚いて辺りにカードをぶちまけて尻餅をついてしまった。

「な、なっなにするんだよ!」
「えっ!?…ご、ごめんなさい」

ついに怒り心頭。
さすがに頭に来た、と遊矢の謝罪には耳を貸さずにカードを拾い上げる。
一体なんのつもりでしつこく構うのか、いい加減に放っておいてくれないか、イライラモヤモヤする中で遊矢に対する怒りだけが溜まっていく。
「次に同じことをされたら無視しよう」
そう心に決めて最後の一枚に手をかけた、その時だった。

「あ…?」
「あのさ、デュエルすき?」
「…きらいじゃない」
「じゃあデュエルしよ!」
「やだ!」
「なんで?」
「…かってもまけても、みんないうんだ」

"おまえはたにんにあわせられないやつ"

"じぶんばっかり"

"まけたがわ、かったがわのきもちになれよ"

一喜一憂するはずの友達は、そんな理由で離れていった。

「どーせおまえも…」
「なんだよそいつら!ひでーやつらだな!」
「は…?」

遊矢の反応は意外なものだった。
こんなにも頭の悪そうなのに、また逆鱗に触れるようなことを言い出しそうなのに、真っ先に彼らを非難したのだ。

「よくわかんないけど、デュエルってたのしくやるもんだろ?なんかー…えーと、うん!なかまはずれはだめだ!」
「は、はぁ…」
「それに、つよいならデュエルしてみたい!」

裏になにかを孕んだ様子もない、純粋な笑顔だった。
幼くとも、その気持ちを知らなくとも、その時に狩也は惹かれたのかもしれない。

"風雅遊矢"の生き方に。

「ね、ねえ?」
「ん?」
「おれ、狩也…よろしく…」
「━━よろしくな!!」

むぎゅっと抱きついた遊矢を足蹴にはできなかった。


━━━━それが9月12日、狩也の誕生日の出来事だったそうだ。


「…懐かしいな」
「俺には一種の惚気話にしか聞こえなかったんだけど。つか、似てる?俺、遊矢似!?」
「うるっせえ」

あの頃の遊矢は、まだズカズカ他人の事情に首を突っ込まなかった。
なにがあっても最終的にはデュエルに結論付ける根っからの"デュエル頭"だったな、と付け加えた。…慶太はデュエル頭ではないが。

「やっぱ昔は仲良かったんだな、二人ともさ」
「昔はなー」
「いつからそんな険悪ムードになっちまったんだ、よ?」

思っていたことを言葉に出した途端、狩也の目付きが変わった。
どうやら地雷だったらしい。

「あれ?俺、地雷踏んだ?」

いつ爆発するかわからない地雷にわなわなと震える慶太の予想は意外にも外れ、狩也はそこから怒ることもなかった。
代わりに先程までやたら饒舌だったのが急に無口になってしまったが。

「わ、悪かった!さすがに今のは言っちゃマズかったよな…」
「気にしてねーし、大したことじゃ…?」

ふと高台から下の公園を見た時、駆けていくツインテールの姿が目に写った。

「アミ、か?」
「あちゃー…リンさんやっちまったなー」
「やっちまったってなんだよ」
「あー、それがさぁ…」


~~~


白亜の城の片隅にある小さな庭園。
ティーカップを片手に咲き誇る色とりどりの花を眺める少女の目は、花を見ているのか別のものを写しているのかはたまたなにも見えていないのか分からない。不思議な色と虚ろな輝きを放っている。

「あー、ヒマ。退屈も退屈だわ…」
「やることがないってだけなら、掃除でもすりゃいいだろ駄メイド」
「あぁん?あたしは今ティータイムなの、埃纏わせてお茶会なんて馬鹿げてる」
「ンだよハッキリしねーヤツ」

少女の正面に腰かけた少年は、甘いスイーツのようなロリータ風のメイド服に身を包む少女とは対照的に、かつての日本人を思わせる和装だ。

奇特な白い城に歪な二人。説明する必要もないが、彼等もイヴやアダムと同じくリコードイミテーションに属する者達だ。

「なんかいい暇潰し…ないかなぁ…」

「退屈を持て余しているのね、ルルン」

「んあ?」

突如現れたイヴに対して倦怠感丸出しの少女━━改めルルン。
彼女に対し、イヴは二つの水晶玉を差し出した。

「ナニコレ?」
「デュエルの弱い貴方に私からの贈り物よ」
「ふーん…」

一見なんの変哲もない水晶。その輝きは太陽によって更に眩しく反射する。

「搦め手で行け、ってコト?」
「そういうことよ」
「なぁるほど…」

両者の妖しい笑みが口許からこぼれ落ちる。
その間に挟まれた少年、コタロウは気分悪さにそそくさと退散しようと━━、

「コタロウ、貴方もよ」

「えっ!?」

「ヴァイス神は相手にしていないとはいえ、ジョーカーを手元に残させるのはハンデにもならない。虫は早めに潰してしまわないと」

「…わぁりましたぁ!いきゃいいんでしょ!」

二つの影が庭園内からスッと消えた。
一人で取り残された女は止まらない笑いを隠そうと顔を覆う。

ヴァイス神は顕れ、未完の聖杯は手に堕ちた。
最大の驚異とも一時は考えられた風雅遊矢すら最早敵ではない。

となれば不穏な分子はあと一つ。

「もう一つの未完の聖杯…次はアナタよ」


~~~


孤鈴アミは駆けた。
街(ハートランド)の、なるべく遊矢から遠く離れた場所に行くために。

━━あれは呪いだ。人の命を喰らう呪い。

━━托都のように生まれ持ったものじゃない。

━━外部からその影響を受ければ肉体は徐々に蝕まれる。

━━もっと単純に表すなら、

"デュエルをするだけで、遊矢には死の危険性がまとわりつく"

デュエルを愛し、一人のデュエリストとして実力を高める遊矢にとってこれほどの苦痛はないだろう。
非情な現実にアミは思わず目を背けた。

きっと遊矢は敵に襲われればデュエルをする。そうでなくともヒカルや托都のために敵陣に乗り込むことだってするはずだ。

となればどうなるか。
最悪の場合、彼らを救えたとしても遊矢は命を落とすだろう。
知り合いに呪いに詳しい者がいるリンの"諦めろ"とは、その結末を回避する唯一の方法だと言って差し支えない。

しかし問題はここからだ。
遅かれ早かれ遊矢は目を覚ます。ヴァイスの狙い通りなら目覚めないはずがないとリンは言っていた。
そうなったら遊矢にそれらを伝えなければならない。
一体彼はどんな反応をするだろうか。
考えるのが恐ろしくなり、アミは病室を出てしまったのだった。

きっと遊矢は絶望してしまう。そんな顔は見たくない。
いつだってヒーロー的存在の遊矢が誰かを守るためであったとしても、自身の破滅に向かう姿を見たくはない。

「嫌だよ…遊矢…」

泣きそうになって足を止めた。
空はそんなこと知ったこっちゃないと言いたげなほどの晴天に恵まれている。

「大丈夫ですか?」

「…レッカ、ちゃん…?」

たまたまそこにいたのか、レッカがハンカチを持ってベンチに座っていた。
とても不安げな表情でアミを見ている。
アミもハッとして溢れそうになった涙を無理矢理拭い、隣に腰かけた。

「大丈夫ですか?」
「なにが…?」
「今のアミには元気がありません!あの性悪女になにかされたなら、私から文句を言いに行きます!なのでなにがあったか教えてもらえませんか?」

捲し立てるレッカに押され気味になり苦笑いを浮かべたがそれも一瞬。すぐにまた落ち込んだ様子に戻ってしまい、目の前の彼女はオロオロし出した。

「あのね…遊矢が…」

アミはレッカにこれまでの話を順番にした。
最初こそ笑顔で耳を傾けていたレッカも、次第に険しい表情へ変化し、話が終わる頃にはリンに対し明確に敵意と殺意をむき出しにしていた。
真っ昼間の公園でここまで嫌な顔をされたら喧嘩でもしているのかと思われそうだが。

「やはりあの人は嫌いです。今すぐカチコミに行きましょう」
「物騒なことしたらダメだよ!?」
「そうかもしれませんが!現実を突きつけるのは覚悟のある者に限りますッ!アミは一般人、わざわざすべてを伝える必要はありません!」

思っていた以上の剣幕で話すレッカは止められそうにもない。
……正直止める気にもなれない。

「遊矢さんが危険な状態なのは私もわかっていました。でも、貴方は…」
「うん…遊矢のことが、好きだよ」
「そう、貴方が遊矢さんに対し好意を抱いてることは明確です。だから伝えませんでした。…なんで、聞いてしまったんですか…」

元はと言えばアミがリンを問い詰めたのが理由だった。
レッカの言い分としては、
「あんな人に聞いたら全部話すに決まっている。辛いことも聞かなきゃならない。分かっていたはずなのに」
ということらしい。
今のアミを見る限り尤もな意見だ。

「遊矢が心配で、どうしても知りたくて、おかしいね…絶対こうなるって自分でも分かってたのにね…」
「アミ…」
「いつでもみんなのヒーローだもの、遊矢はきっとなにを言われてもヴァイスって人を倒しに行っちゃう。…でも」

地面に水滴がぽつりぽつりと滲んで消える。
レッカはなにも言わない、静かな公園で隠していた弱音を邪魔をするものはなかった。

「怖いの…っ!遊矢がどこか遠くに行っちゃうのが嫌なのに、応援することしかできなくて…!頑張れしか言えない自分が嫌いになりそうで…私どうすればいいかわからないの…っ!」

あらゆる敵と対峙した遊矢はいつもアミに対しては笑顔か、本心を隠した悩み事を語り出すかの二択で、まるで思春期の少年そのものの彼が、本当に命懸けのデュエルに身を投じているとはとても思えなかった。
今リアルに感じている死の境界は、生々しく現実に突き刺さったナイフのように冷たかった。

「アミ、貴方は…彼にどうしてほしいのですか?」
「…遊矢に…?」
「死は恐ろしい、それは私も分かります。━━かつて兄を亡くしましたから」

レッカが語る兄は、とても大らかで純粋な人だったことが推察された。
しかし彼は人の手によって殺された、らしい。

「私にはどうしようもありませんでした。ですが、貴方には今ここで選ぶことができる。彼を止めることもできれば見送ることもできます」
「━━遊矢は、きっと行くよ。あの人と戦いに」
「では…貴方には信じることしかできません」
「…うん」
「でも、本心。貴方自身は彼にどうしてほしいのです?」
「もちろん、行ってほしくない」

どう止めても遊矢は無理をこじ開けて立ち向かう。
分かる、でもやめてほしい。
それは伝えられない想いが入り交じった"アミの本心"だ。

「…伝えてください、貴方自身の言葉を」
「私の…?」
「"頑張れ、待っている"ではなく、貴方が想う風雅遊矢への言葉を」

立ち止まるかもしれない。それを励みに奇跡を起こすかもしれない。
風雅遊矢はどんなミラクルも起こしてしまう人だから、アミの言葉はガツンと胸に残るはず、とレッカはそう言った。

「今の涙を、彼にぶつけてみてください」
「…いいの?」
「きっとなんとかします!だから、戻りましょう!」
「レッカちゃん…」

立ち上がって手を伸ばす彼女はなんだか眩しくて、まだ使命感なんてない"あの頃"を思い出した。

レッカの言う通りかもしれない。
遊矢に想いをぶつけるまでは、まだまだ弱音は吐いていられないとアミはレッカが伸ばした手を取った。


「じれったい。ダルい。なんなのあんたら」


公園を包み込むような、甘い少女の香りが鼻腔をくすぐる。

「誰だ!!」

レッカの声色が変わる。
和やかな空気は一変、異質な甘い匂いと不穏が漂う異質な空間へ様変わりした。

「あらやだ、裏切ったアンタにそれ言われちゃたまったもんじゃないわ」

「!貴方は!」
「知ってるの?」
「ええ…。リコードイミテーション内最弱のデュエリスト…ルルン!!」

「イラッ…」

思わぬ方向から飛んだ罵倒に不快感を隠さないルルンは水晶玉をカチカチ鳴らしながら二人と距離を詰めていく。
逆にレッカはアミを背に隠して後方にゆっくり下がる。

敵と遭遇したというのにデュエルがなければ進展すらない、どういうことか。

「流石は最弱です。一向に仕掛けてこないとは、なにを企んでいるのですか?」

「さぁ?自分に聞いてみたらぁ?」

「自分に…?」

どことなく違和感のする空気だなとレッカは感じていたが、ここにきて異変が起きたのはアミの方だ。
咳き込みながら地べたに座り込んでしまったのだ。

「アミ!?」
「っ…なんだか…気分が…」

「イヴが用意したの毒はよく効くでしょ。あたしは"こういう"テの方が得意なの」

「まさか、ヒュドラの毒ですか…!?」

ヒュドラとは、ギリシャ神話においてテュポーンとエキドナの間に産まれた怪物。体内に強力な猛毒を持ち、更には再生能力や不死性まで持ち合わせる大蛇だ。
これが神話だけの話だなんて言えない、何故ならイヴは「レーヴァテイン」を所有していた。

つまり、最弱デュエリストが敵を嵌めるための罠として用意されていないわけがない。

「くっ…!その水晶、結界ですね…」

「よく分かってんじゃない。で、どうするの?」

「もちろん、デュエルですッ!!貴方は最弱、負ける要素はありません!」

自信に満ちた宣言を聞いたルルンは首をかしげて悩むポーズをし始め、数秒後に再び目線を合わせた。

「たしかにそーだけどぉ?お断りぃッ!!」

「なッ!?」

ルルンが投げつけた水晶玉はレッカの足元で砕け、そこから展開したのは鳥籠のような結界。
気付いた時にはもう遅い。完全に閉じ込められ、どこにも出入り口になるような場所はない。
逃げ場はなく、後ろには毒を吸ってしまったアミがいる。塞がれた退路を睨むことしかできないレッカの余裕は失せていく。

「これだけすれば、風雅遊矢は誘き出せるんじゃあないの?ま、誰でも良いけどね」

「あなたの、狙い…は…遊矢、なの…?」

「さぁ?教えてあーげなーい!」

状況は絶体絶命。まさに命懸けの展開。
レッカが"その気になれば"こんなものはブチ壊せる。だが、それをしてしまえば"次がない"。

「(私が、助けを待たなければならない…!?)」

自身の無力さが染みる。
レッカに毒は効かない、だが後ろのアミには凶悪ぶりを発揮している。
檻なんて結界も壊せる、しかしその後に繋がるものが残せない。

どうする、どうする、どうする━━!!

焦りが思考を乗っ取り、本来考えなければならないこと以外を浮かべてしまう。

「誰、か…ッ!!」

━━アミだけでも助けてほしいッ!!

震えた声からその言葉が世界に響くことはなかった。

何故ならば、

「ッいったぁい!!」

「えっ!?」

声を上げる間もなかった。

ルルンは視界外から飛んできたカードに指を切り裂かれ、もう1つの水晶玉を落としてしまった。
砕けた水晶は浄化作用でももたらすかのように毒素の混じったの空気をかき消し、蝕む害は一瞬にして消え失せる。

助かった?ではあのカードは一体?

振り返ると"彼ら"はそこにいた。

「こういう時に出てきちゃうって、俺たち正義のヒーローかな?」
「バカ。そういうこと言う奴はヒーローなんて呼ばねえんだよ」

軽口に容赦なく叩き込まれる突っ込みは、二人の関係を表すような会話の形。

緑と紫の力強い助っ人はまさにヒーローのごときタイミングで現れた。

「さて、やりますかッ!!」
「あぁ、行くぞッ!!」

岸岬狩也━━━━イヴが言ったジョーカー。
彼が相棒に据えたのは彼らの親友、高山慶太。


風と星が散ろうとも、もうひとつ、手と手を重ねた絆が此処にある。








Next→

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【あとがき】

今回の一言「主人公なんていなかった」。
遊矢の出番が少なすぎてそろそろ慶太辺りが主人公なんじゃないか疑い始めてきたそこの君はLS本編の鏡編を見るんだ!アッやっぱり見ないで!(黒歴史)

遊矢をメインにしながらも遊矢本人が出てこないという高度なプレイングに絶句。い、一応回想シーンに出てきたから…(必死)
更にはヴァイスすら登場しない始末。貴様本当にラスボスか!!ヴェリタスもトラヴィスも登場しようとする自己主張の激しさ凄かったのに!!さすが元が托都なだけあってホント自己顕示欲が見当たらねえ!!
狩也さんデュエル止められてますよ!!なにデュエルしようとしてるんですか!!!やっぱり遊矢と似た者同士だよねーって痛感させられました、ホントバカしかいないぞぉ…。
回想では遊矢がちゃらんぽらん破天荒ボーイだったことが明かされながらどうでもいい新情報が明かされたり忙しい。狩也は昔からかわいい、きっとかわいいはず。
なんの落ち度もないけどリンは無能である。いつになったらアドルインに頼んだ調査が終わるんですかねぇ…?
レッカちゃんにまで睨まれてるとかやはりリンは無能というか余計なことしかしないというか、厄介なひとなのは間違いないけどね!!

次回!!コタロウの霊圧は別に消えてないよ!!タッグデュエル開幕ッ!!
アミとレッカを襲ったリコードイミテーションの最弱デュエリスト・ルルンとアイツの弟子・コタロウが狩也と慶太に立ち塞がる!
ところで、ヴァイスはなにをしに行ったんだい?

【予告】
太陽が黒く滲む。赤は白に染まる。
始まる終焉を知る者はたった一人━━結末を追い求めるもたったの一人。
重なる手に無限の力、共に駆けるは互いの魂(きずな)。二つを合わせ、今見せようその可能性。
花舞い星煌めく空の下で、風吹かぬ世界に立った時、反撃の狼煙は上がる。
第9話「絆、熱く束ねて重ね合い」


===


最近はデュエルが中断するか閉じ込められるか寝てるかの三択…。

いい加減動かねえと体が重くて仕方ないぜ…。

ハッ!!もしかして、体が重い理由ってそれだけじゃなくて、アイスの食べ過ぎか!?

なんか肉も付いてきたし…あー!!どうしよう!??
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===
【目次とアテンション】

その1:風雅遊矢
その2:朽祈ヒカル
その3:堰櫂托都
その4:岸岬狩也

※内容は小説ではありません。本編でもありません。
※本編の一部ネタバレを含みます。
※本編公開までの繋ぎ企画です。
※キャラが二人一組になり、互いに10個の質問を投げ合う企画になっております。

【質問内容】

1:自己紹介
2:誕生日、星座と年齢
3:血液型
4:身長
5:好きなもの
6:嫌いなもの
7:使用デッキ
8:質問者との思い出話
9:質問者から質問
10:最後に一言


===
その1:風雅遊矢




「遊矢に俺から10の質問!よろしく、遊矢!」
「おう!任せたぜ!」

1:自己紹介

「まずは自己紹介だな…。今更感が拭えないけど、ま、頼む」
「風雅遊矢!高校1年生だ!」
「まだ受験すらしてないだろ、嘘つくな」
「意外と辛辣…ッ!?」

2:誕生日、星座と年齢

「じゃあ次は誕生日、星座、年齢」
「誕生日は9月29日生まれの天秤座!今は15歳だけどもうすぐ16歳になるんだ~!やったー!」
「くっ…!かわいい…!」
「なんか言ったか?」
「なんでもない…」

3:血液型

「血液型は?」
「O型!」
「すげえそれっぽい」

4:身長

「今の身長は?」
「この前アミに計ってもらった時は174cm!へへっ!なんで突然こんなに伸びるようになったんだろうな?…ヒカル?」
「信じられない…!遊矢が、…あの遊矢が俺と同等レベル…!?なんで俺は背が伸びなくなったんだよ…!!」
「えー…その見た目でその図体なんだからもういいじゃん…」
「よくない!!遊矢に追い付かれるなんてありえない!」
「理不尽…」

5:好きなもの

「わ、悪い…ちょっと興奮して…」
「おう…」
「じゃあ、好きなものは…」
「デュエルと友達と、アミの手料理と、あと走ることかな?」

6:嫌いなもの

「流れで嫌いなものは?」
「ニンジンと座学」
「真顔かよ。あと食べ物の好き嫌いはよくないぞ」
「ははっ…分かってる分かってる…」

7:使用デッキ

「使ってるデッキ…まぁ聞くまでもないけどな」
「スカイソニッカー!ゼアルソニッカーもな!」
「その場の対応でデッキを切り替えられるチートっぷりに笑いが止まらねえ」
「な、なんだよ!俺だって自分で自由自在じゃないから慌てるんだからな!
「そうなのか…」

8:質問者との思い出話

「えっ、と次は…お、思い出話…?俺との…!?」
「そりゃあヒカルと初めて会った時の話だな!いや~あの頃のヒカルは尖って━━━」
「いーやーッ!!それを言ったらさすがの遊矢でも許さないからな!!」
「言わなきゃ答えられないだろ?」
「せめて他の話はないのか!他の!」
「他…そうだ!やっぱあの時は忘れらんねえよな!」
「なんの話だよ…」
「ヒカルとの最後のデュエル、あんなに時間が短く感じたの生まれて初めてだったんだ!」
「そう…か」
「ありがとな!今更だけど、あのデュエルすげえ楽しかった!」
「…こっちこそ」

9:質問者から質問

「次、…俺が遊矢に質問かぁ…」
「わくわく…!」
「━━━遊矢、聞いていいか?」
「なになに?なんでも答えるぜ!」
「お前、好きな人とかいるのか?」
「…はい?」
「だから、意中の人」
「いません!!!!!」
「即答!?」
「い、いないいない!いるわけないじゃん!ありえねーよ!!」
「(アミだな…)」

10:最後に一言

「お疲れさん、じゃ最後に一言だ」
「え、ええ!?なんて言えばいいんだ!?」
「俺にじゃないか?」
「じゃあヒカル!とりあえずありがとう!」
「うん」
「あとプリン食べてごめん!!」
「うんうん。…………はぁぁ!?」
「ホントにごめん!!托都がくれたモンだと思って!!マジでごめん!!」
「…分かった」
「ヒカル…!!」
「あとであそこの限定スイーツ自腹で買ってこい」
「目がマジだ━━━!!!」


===
その2:朽祈ヒカル




「んじゃっ俺からヒカルに質問するぜ!」
「大した返事はできないけどな…」

1:自己紹介

「まず、自己紹介から!」
「朽祈ヒカル。今期ヨーロッパプロデュエルリーグのトップ5入り予定」
「マジでプロデュエリストしてるよなぁ」
「ま、普通にデュエルしてるだけだからなんとも言えないけど」

2:誕生日、星座と年齢

「誕生日と星座と年齢を教えてください!」
「5月24日、双子座、17歳」
「ホントに1個上なのか…」
「は?
「托都と同年代くらいかなって思うんだよな、時々さ」
「…分からなくはないかも」

3:血液型

「血液型!!」
「AB型」
「A型だって思ってた…」
「自分でもそう思う」

4:身長

「身長…あー…」
「175だよ!!悪いか!!」
「悪くなんかねえよ!純粋にヒカルがそれ以上デカくなったら違和感がするだけだって!」
「チクショウ…!!この容姿が、この見た目が悪いのか…!!」

5:好きなもの

「はい!好きなもの!!」
「コーンポタージュだな」
「即答!!」
「あとはスイーツ類とかゆ…」
「ゆ?」
「なんでもねえ」

6:嫌いなもの

「ヒカルって…嫌いなものあんのか?」
「あるに決まってんだろ。炭酸飲料は全面的に許せない」
「あんなウマイのに!?」
「なんで飲み物なのに飲みづらいんだよ…おかしいだろ、喉通らない…」
「しゅわしゅわが苦手なんだな…」

7:使用デッキ

「次はヒカルの使用デッキ!」
「カオスパージ、光と闇の属性混成が特徴のテーマだ。あとギャラクシー」
「後付け…」
「しょうがないだろ、本当に後付けなんだから」

8:質問者との思い出話

「俺との思い出なんてあるか?」
「さっきの俺と同じこと言ってるな…。ま、特に挙げるなら…うん」
「ヒカル?」
「なんだかんだと言っても、鏡の世界で戦った時のことが忘れられないんだ」
「…それって」
「分かってる、遊矢にとっては思い出したくもないだろうさ。…でも、あの事件があったから自分を変えるきっかけになったんだと思ってる」
「鏡に、ありがとうって言える…?」
「感謝なんてするか。一生残る傷が残ってるんだこっちは
「だよな…」
「でも、変えるきっかけになった遊矢には感謝しないとな。ありがとう」
「…おう!」

9:質問者から質問

「ヒカルって好きな人いんの?」
「仕返ししてきたか…いないし、女に興味ないし」
「やっぱソッチノケがあんの…?」
「違うって言ってるだろ!!」

10:最後に一言

「じゃあ一言!」
「遊矢、あのな…」
「なに?」
「今日やってた数学プリント、全部外れてたぞ」
「へ?」
「あそこ昨日教えたばっかりだよな?記憶力大丈夫か?」
「…大丈夫、大丈夫…へへ……へへへ……」


===
その3:堰櫂托都




「………」
「………」
「……いや、喋れよ」
「質問者はお前だろう」
「ッつーか!なんで俺がテメーの個人情報聞き出さなきゃならねえんだ!」
「なら考えてみろ」
「なにをだよ」
「もし俺が、アミと組むことになっていたら、ということを」
「…あぁ…」

1:自己紹介

「しょうがねえ…手早く済ませるから。自己紹介、さっさと」
「堰櫂托都。以上」
「他にないのか!?」
「手早くと言ったのはどこの誰だ」
「…お前、ヴァイスじゃないだろうな…」
「まさか」

2:誕生日、星座と年齢

「誕生日と星座と年齢…はい」
「9月の28日生まれ、天秤座。今年で二十歳だ」
「嘘だろ…」
「何が」
「今年で、二十歳…?」
「肉体年齢にケチを付けるな」

3:血液型

「血液型は?」
「…?」
「おい、なんなんだよ」
「その、…分からん」
「はぁ!?」
「大昔、親父に聞いたことがあったが…"わからない"と」
「(ダメだ、コイツ闇が深すぎる…)」

4:身長

「ま、なんとなく分かる気はするけど身長は?」
「185cm」
「でけえ…」
「食ったものは全てこちらに消えたな」
「女子が聞いたら羨ましいって叫ぶような体質だな…」
「おかげさまでなにを食っても腹が膨れん。これはさすがに参っている」
「常に腹ペコかよ」

5:好きなもの

「どうせないだろうけど好きなもの」
「コーヒーとモンブラン」
「食うことしかすることねえのかテメー」
「ただしコーヒーはブラックに限る」
「変なところで気が合うな」
「モンブランはコンビニが一番旨い」
「サラリーマンかよ」
「あとは睡眠だ」
「穀潰しじゃねえか!!」

6:嫌いなもの

「嫌いなもの…ねー…」
「特にない」
「えっ!?」
「悪いのか」
「別に…聖人君子とは程遠いくせに…」
「…そう。特にない、…ないはず」
「…?」

7: 使用デッキ

「はいはい、使用デッキね
「ネクロスフィア、付属として機械堕天使。世界に二つとないカードだ」
「趣味悪そうに見えて機械堕天使自体はカッコいいのがムカつく…」
「なにか?」
「ンでもねえ

8:質問者との思い出話

「質問者との思い出話…?あるわけないだろ!!」
「あぁ、なくはない」
「マジか!?」
「忘れるものか。初対面で、"被ってる"と言ってきたことを」
「髪色が被ってるのは事実だろうが!!」
「それを気にしてどうする。大体、生きた年数はこちらの方が長い、どう言おうが被ったのはお前だ」
「ガキか!!」

9:質問者から質問

「この際だ、一度聞いておきたかったんだ」
「なんだ」
「その喋り方なんとかなんねえのか?なんか…カッコつけてるだろ」
「……確かに」
「その反応って、もしかして自覚してなかった…!?」
「周りに紛れたらめんどくせえからいっつもあぁなんだ、言わせるな恥ずかしい」
「なっ!?」
「つか…自己変革しようと努力して、形から入ろうとするのがよくない。疲れる
「…あのー、おい?」
「すまんがこれが素だ、遊矢たちには黙ってろ」
「本当に同一人物か!?三重人格じゃないだろうな!?」
「それはさすがにドン引き…」
「テメーのことだ!!」

10:最後に一言

「はー疲れた…で、最後に一言か、なんかあるか」
「ない。俺は疲れた」
「お前が言うな…お前だけは言うな…!!」
「誰のせいだ」
「こっちの台詞だ!!」


===
その4:岸岬狩也




「では、俺から質問しよう」
「やっぱこの口調が落ち着くな…」

1:自己紹介

「まず自己紹介」
「岸岬狩也、高校1年生。彼女います」
「バレンタインにその彼女とやらからもらったチョコレートは」
「やめろ、本気でキレるからな」

2:誕生日、星座と年齢

「誕生日に星座、それと年齢か…」
「9月12日、乙女座。15…16だ!!」
「乙女座…」
「なにか言いたそうだな…?」
「ヒカルと誕生日を代わってもらえ」
「うるせえ!!」

3:血液型

「血液型か、…普通は分かるものか?」
「当たり前だろ。俺はO型!」
「…なるほど、O型の特徴と合致しているな」
「特徴?」
「計画性がなく大雑把、負けず嫌い」
「地味に否定できない…!」

4:身長

「身長…、ヒカルと同じか」
「なんで分かった!?」
「二人が並んだ際に差がない、更に付け加えるなら…遊矢に対しどこか見下している節がある」
「ま、まぁ?俺は遊矢に勝ってるから全く問題にはならないな!
「ここでヒントをやろう」
「なんの」
「遊矢は父親からの遺伝が強い」
「………」

5:好きなもの

「好きなものはあるか」
「雪那に決まってるだろ」
「ものではなく人だが、まぁ模範解答か」

6:嫌いなもの

「なら嫌いなものはなんだ」
「遊矢、あとアンタもだな」
「参った…嫌われるようなことをした記憶はないのだが…」
「覚えはなくても俺は嫌いだ」
「…残念だ」

7:使用デッキ

「使用するデッキ…か、随分と乗り換えが激しいようだが?」
「乗り換えって、失礼な奴だな…。今はコスモ・メイカー使い。自分でやらかしたことの清算はちゃんとする」
「…清算か。あぁ、それがいい」
「なんか後味悪い奴だな」

8:質問者との思い出話

「ない!!」
「まだ質問すらしていないが…」
「強いて挙げるならさっきのが衝撃だった…」
「別に隠しているわけではない」
「じゃあなんでさっき秘密だって言ったんだ」
「当時の話を遊矢に言われて思い出すのがイラつく、それだけだ」
「…そうかよ」
「ないならいい、過去を蒸し返す必要がないのはいいことだからな」

9:質問者から質問

「あれだけ散々喋ればないはずだ、あぁないよな…!」
「そのバツ印の服は俺から見てもセンスがないと思うが」
「エックス模様だって言ってるだろ!!どいつもこいつもッ!!」
「絶妙にダサいな」
「テメーにだけは言われたくねえ!!」

10:最後に一言

「はぁ…漸く終わるか…」
「これ以上死ぬ…」
「最後に一言、まだあるか?」
「とりあえず…どうしてもお前が嫌いだ」
「だろうな。友好関係を持つのはもう諦めている、安心しろ」
「それと…」
「?」
「次はブン殴るから覚悟しろよ」
「…それは俺ではなくあの莫迦に言え」




【続く】


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===





【Introduction】

二次創作ジャンル「オリジナル遊戯王」。
その先駆けとなったLightning skyシリーズは今年━━2017年7月、ついに5周年を迎えます。
描かれてきた数々の物語、そして5周年を祝う新たな物語

シリーズ第4作目「遊戯王Lightning sky-Re:code」

テーマは「原点回帰」
遊矢と托都、二人の出会いは確かに物語の始まり。
全てが終わった3年後の未来に語られる新たな戦いが始まります。
勿論「LS」「A.Vision」「C.C」に登場したキャラクターたちも健在、更なる活躍が待っています。

全ての物語に触れてくださった読者の皆様、これから物語に触れてくださる新しい読者の皆様。
全く守りに入っていない、挑戦的かつ驚くべき展開にどうぞご期待ください。




遊戯王Lightning sky:全145話
遊戯王Lightning sky-A.Vision:全25話
遊戯王Lightning sky-C.C:全25話
遊戯王Lightning sky-Re:code:全25話(予定)


【Story】

かつて、少年だった彼が描いた物語。
全てが始まったあの日、少年は運命と出逢いそして想いは潰えて燃え尽きた。

「なにも間違っていなかった、そう信じていた」

3年後。
最愛の弟、大切な両親、守るべき友を手にした孤独な少年はいつしか大人へ…一人の人間として自立していた。

━━━はずだった。

~~~

錬金術師、教団との戦いから1ヶ月、半月と夏休みは過ぎてゆく。

遊矢の前に立ち塞がる新たな課題は高校への編入試験

一方、ヒカルと托都はそんな遊矢をおいてとある施設へと足を運んでいた。
待っていたのは托都の本当の家族。

暖かな空間に訪れた平穏を感じる二人。
「ずっと平和でいたらいいのに」と微笑むヒカルに少しだけ安心を覚えた。
だがそんな一時の夢は流星によって砕かれる。

突如として現れた驚異が狙うは白き概念の化身

全てが終わった夏の終わり、目醒めるはずのなかった者が姿を顕す。

これは━━━起きるはずのなかったifの物語




【Character】

◆風雅 遊矢 Yuya Kazemiya


9月29日 15歳/O型/174cm
このシリーズの主人公。
陽気で明るく元気、更には仲間を思う気持ちは誰にも負けない。
3年前の出逢いを通じ、あらゆる過酷な運命に立ち向かってきたが、その明るさを損なわず暖かな包容力を持ちながら風のように飄々としている。
使用するデッキは「Ss(スカイソニッカー)」、エースモンスターは《希望騎士 ホープ・オブ・ソード》。

「みんなが頑張ってるんだ!俺も、頑張らなくっちゃな!」


◆朽祈 ヒカル Hikaru Kuchiki


5月24日 17歳/AB型/175cm
ロンドンで活動するプロのデュエリスト、クールな性格と優しさを併せ持つ。
誰もが認める天賦の才は他者から嫉妬や憧れの目で見られることも少なくはなく、常に辛い現実と戦い続けている。
使用するデッキは「カオス・パージ」と「ギャラクシー」の混成。エースモンスターは《ギャラクシー・カオス・ダークネスドラゴン》。

「ずっと平和であってほしい、なんて今日が来るまでは思えなかったから」


◆岸岬 狩也 Kariya Kishimisaki


9月12日 15歳/O型/175cm
遊矢の幼馴染にしてライバル、常識外れの仲間達の中ではある種最も人間らしい。
教団との一件以来己の強さを追い求め続けてきたが、とある事件をきっかけに自分らしくあることを決め、更に強くなっていく。
使用するデッキは「コスモ・メイカー」。エースモンスターは《コスモ・メイカー ネヴラスカイ・ドラゴン》。

「弱くてもいい、肝心なのは誰にも負けない心だ!」


◆堰櫂 托都 Takuto Sekikai


9月28日 19歳/185cm
遊矢の兄でありバリアンの半神でもある紅い世界をいつか束ねる者。
過去に悩み苦しみ、その感情を隠し続けている。
が、それがきっかけとなって失踪し、未曾有の事件を引き起こす。
使用するデッキは「ネクロスフィア」。エースモンスターは《機械堕天使 シャドウ・ハルシオン》。

「あの日、認めてしまった罪は━━いつまでも


◆孤鈴 アミ Ami Korin


6月9日 16歳/A型/159cm
いつも遊矢を見守る幼馴染。
家事全般と勉強を得意分野としていて、私生活が雑極まっている遊矢を影から支えている。

「いい加減料理ができないとダメだからね!


◆高山 慶太 Keita Takayama


5月4日 16歳/B型/177cm
遊矢の幼馴染にして親友。
一目では軽薄な男と思われてしまうが、実際は友を想い正義を信じる優しさを持つ青年。

「俺はみんな友達だと思ってるぜ!みんな、な!」


◆刹那川 雪那 Yukina Setsunagawa


12月1日 15歳/A型/158cm
遊矢と狩也の古くからの幼馴染。
おしとやかでお嬢様系。常にのんびりとしており、二人の話を楽しげに聞いてくれる。

「狩也くんが変わらずにいてくれるなら、それでいいの」


◆レッカ


?月?日 自称19歳/?型/155cm
遊矢たちの前に現れたリコードイミテーションの少女。事態の終息のため遊矢に協力姿勢を見せる。
敬語で話してはいるが何故か小馬鹿にしているような感覚が否めない。また名前も偽名のため本名不明。
使用するデッキは「機械堕天使」。エースモンスターは《機械堕天使 ローゼン・ルシフェル》。

「なーにを偉そうに!私はあの施設の古参ですから!はい、論破!」





◆アダム
謎の敵対集団「リコードイミテーション」に名を連ねるデュエリスト。
愛人のイヴと共に現代にて、とある目的を遂行するため「白い概念神」を蘇らせようと暗躍する。

「貴様に理解できるものかッ!!」

◆イヴ
謎の敵対集団「リコードイミテーション」に名を連ねるデュエリスト。
アダムと共に「白い概念神」を蘇らせるため暗躍し、己が目的のため未完の聖杯を狙う。

「その穢れ、薄汚れた罪を裁く剣」

◆ムサシ
謎の敵対集団「リコードイミテーション」に名を連ねるデュエリスト。
卑劣な騙し討ちを嫌い正々堂々の戦いを好しとする武士。無口だが恐らく最もまともな人間。

「我が決闘は一撃必殺、受けて立つか━━!」

◆ルルン
謎の敵対集団「リコードイミテーション」に名を連ねるデュエリスト。
「組織最弱」を自称し、それに違わぬ弱さを見せる。しかし内面は驚くほど狡猾で残忍。

「あたし、デュエル弱いの。だからアンタとデュエルはしないわ」

◆コタロウ
謎の敵対集団「リコードイミテーション」に名を連ねるデュエリスト。
ムサシの弟子、一見したら生意気な小坊主。デュエリストとしてはまだまだ未熟。

「いつか師匠みたいなデュエリストになるんだ!」


◆ヴァイス

?月?日 推定20代/?型/185cm
アダムとイヴが追う"白き概念の化身"。
「復讐」と呼ばれる行為の概念を司り、あらゆる憎悪や怨讐が世界に蔓延る限り死ぬことのない、不死性を持った概念そのもの。
姿かたちは堰櫂托都そのものだが、その中身は全く異なる存在であることが伺い知れる他、使用デッキには未知のモンスターが潜んでいる。

「我が名はヴァイス、世界に蔓延る"復讐"の概念神だ」



【Keyword】

◆世界樹病 《セフィロト・パンデミック》
Lightning sky-A.Visionのメインストーリー。
娘を異端狩りで喪った錬金術師ヴェリタスとの、未完の聖杯を巡る戦い。
偽界樹と呼ばれる世界を滅ぼす大樹、そして魔城ニヴルヘイムによって世界中の人々を疑心暗鬼の中に堕とし、人間同士を争わせ、世界を壊したその戦いは、再び宿りし装甲の輝きによって阻止されたが、現在でも深い爪痕を残し復興が急がれている。
また、この戦いに勝利した彼らのことを覚えている者はいない━━━。


◆C.C 《クロノス・クライシス》
Lightning sky-C.Cのメインストーリー。
旧世界を滅し新世界創造を目指す黒き教団、それを束ねる時を操りし者トラヴィスと弟クロス、そして強さと弱さの物語。
狩也が欲した強さは此処には存在しなかった。たとえ遊矢を倒せたとしても、それは彼の強さではない。
未完の聖杯を巡る新たな戦いの中で、傷つき傷つけ合った果てに見つけたものはあったのだろうか?
今はただ、その胸の内に輝く翼に問い掛けることしかできない。


◆フリューゲルアーツ
遊矢たちが手にした翼の力。
3つの決戦用技法からなるその力は強大だが、それ故に弱き者には諸刃の剣となり襲い掛かる。
元々はルクシアから3つが遊矢、ヒカル、托都のみに預けられていた。
━━が、この事件直前のとある事象の際、錬金術師と再会した狩也は残されていたもう1つの翼の力の覚醒に成功し、計4つ全てが遊矢たちの元へと揃った。
▼#7
フリューゲルアーツ解放時に対面する心の闇による精神的負荷はこれまでの戦いでも垣間見ることができた。
しかしそれだけではない。常人にフリューゲルアーツが使えないとされる理由は、「脳へ流し込まれるとてつもない情報量による情報過多」。
脳に深刻なダメージを及ぼし細胞や血管、神経を傷付けてしまう。
遊矢、ヒカル、托都の三人はこれらの情報量を全て自分たちの持つ能力でセーブしているが、その手段がない狩也は毎回肉体面でも負荷を負わねばならないデメリットが存在する。


◆装甲の力 《アーマード》
遊矢とヒカルが持つ人を越えた奇跡の形。
失ったはずの力は新たな驚異に対抗すべく蘇り、二つの輝きとなって顕現した。
フリューゲルアーツによって立場を奪われてはいるものの、未完の聖杯を持つヒカルにとっては必要なものである。
また、その奇跡を体現する遊矢はこの力を仲間を守る最大の力とし、再び失うことを恐れている。


◆未完の聖杯
あらゆる願いを叶える代わり、あらゆる破滅をもたらす人造兵器。
人が必ず持つ魂の器が強い想いや魂の響きに反応し変貌したものこそが未完の聖杯であり、共鳴したその強さによって叶う願いや代償には差が生じる。
一度失った魂、確立した個のない魂には未完の聖杯が宿ることはない。
現在確認されているのはヒカル、狩也、そしてルクシアのみ。


◆混沌の刻印
托都の左腕に刻まれたバリアンの証であり存在証明。
デュエルディスクの起動やその他戦闘において欠かすことができず、常にバリアン世界からエネルギー供給を受けなければならない彼にとってはなくてはならないもの。
…なのだが、左腕のこの部分に触れると全身に激痛が走るらしく、普段これの存在を語ることはしない。
托都曰く「父親からの嫌がらせ」だとか。


◆リコードイミテーション
今作「Re:code」において遊矢たちと敵対する謎の組織。
アダムとイヴの二人、更に三人の従者達。そしてその頂点を白き概念神に定めているが、その神も物語開始時点では未だ目覚めてはいない。
目的は明らかになっていないが、リンに「これが始まればもう手の施しようはない」と言わせるほどのなにかを始めようとしている。
▼#2
黒き教団は後ろ楯としてリコードイミテーションからあらゆる支援を受けた。
その際事象秘匿のため、姿を現すことはなかった。
▼#7
リコードイミテーションの一員として数えられるヴァイスではあるが、彼らに対し仲間意識は持ち合わせていない。
自身が存在するために籍を置いているだけに過ぎないのだろう。


◆ヴァイスの正体
不明。
その仮面の下が明らかになる日は来るのだろうか。
▼#5
仮面の奥に秘めた正体は紛れもない、堰櫂托都。
たった一つの復讐の為全てを失った彼が往く未来の結末にはなにが待つのか。
しかし残る疑問はある。
托都の姿をしてはいるが、あくまで表面上。口調やその他能力は托都のものとは異なっている。
つまり…。


◆錬金術と分解現象
錬金術とは遥か昔より伝わる異端の技術。
理解・分解・再構築の三行程からなるあらゆる創造と破壊は、現代では知り得ることのできない神秘として世界の裏側に隠されている。
フリューゲルアーツもこの三行程による力の変換を行っており、心の闇を理解し分解、戦う力へ再構築という形で遊矢達の力となる。
だがこのタイミングで分解現象は人間にも牙を剥く兵器と化す。


◆マジカル♡エンジェル パッションラブリー☆
毎週土曜日深夜25時に放送されたオリジナルアニメーション作品。
人気女児向けアニメと同じキャラクターデザイン担当や濃厚なストーリー展開で人気を博し、すでに続編である「sweet」「milk」が放送され現在は第4期「bitter」が放送中。
第1期ストーリーは、普通の中学生・桃添飛鳥(ももぞえあすか)がひょんなことから異世界の魔法使い・パッションラブリーと合体してしまい、異世界からやってきた悪い怪物・クサラセールを退治する。
という王道少女漫画。
━━━だが、そんな少女らしい夢いっぱいのストーリーは第3話まで。
第4話で飛鳥の両親がクサラセールに殺されて以降、方向性が一変。愛らしいキャラクターとは裏腹のシリアスな展開やゴア描写、次々と死んでいく仲間たちの姿にネット上では賛否両論当たり前、加えてゴア描写の多さから某団体に苦情が寄せられる事態となる。
更にパッションラブリーの相棒・ブルーベリーダイヤが死亡した第11話は、現在でも話題に上がれば論争が巻き起こり、みんなのトラウマとして扱われる。
しかし最終回までのその展開を経て強く成長していく飛鳥に胸を打たれた視聴者は多く、賛否はあるものの高評価を得たまま放送は終了。
次いだ続編2作も評価が分かれているもののファンによる根強い人気があり、5周年イベントの際にはアニメ映画化と"実写化"が発表されネット上に阿鼻叫喚の地獄絵図を作り出した。


◆真実の石剣
錬金術師が求める万能の力「賢者の石」を砕いて剣に変換したもの。
万能が示す性質を「真実」とし、心臓に突き刺すことにより、あらゆるものの真実と虚偽を見せる力を持つ。
また当然ではあるが、刺された場合単なる刃物や凶器と同じく致死レベルの傷を負うことになるため、それすら耐えきる存在にしか発動できない面倒な万能アイテム。
賢者の石を生成する能力から、錬金術を用いる理由が未だ不明であるが、イヴが高純度の膨大な魔力を持つことを意味している。


◆機械堕天使
托都が使用するモンスターエクシーズのカテゴリ。
世界に二つとないモンスターはほぼ全てが托都自身が持つ力で創り出され、一部はフリューゲルアーツによる浄化変換などがある。
幼少にバリアンの能力を覚醒させて以降はこの高ランクのモンスターを手足のように扱うようになり、本人もどんなカードより馴染み深いと言うほど。
しかしある少女が本来ならありえないはずの「機械堕天使」を使用。彼女はその薔薇の堕天使を切り札と呼んだ。
そして事実か嘘か、告げられたその言葉により、白き神がこのカテゴリを使用する可能性はなくはない。


◆概念神
この世に存在する「概念」が形となり、魂を得た存在。
「寝る時に見る夢」という存在を司るマーリンや「人が叶えられない夢」を叶える未完の聖杯などが概念神として挙げられる。
彼らは魂そのものは不死性を持った存在であり、ある「条件」が満たされた場合死亡する。
上記で挙げた未完の聖杯の場合は人類が滅亡した場合に概念が失われるため、同時に自身も消滅する。
本来身体を持たない彼らは「転生(リンカーネイト)」によって選ばれた人間の魂に寄生することで世の変化を見守ってきた。
選ばれた人間は普通であれば概念神に魂を食い破られ人格が死亡する。


◆ヒカルの贈り物
ヒカルが托都に贈ったおそろいのブレスレット。
錬金術師との戦いの最中に誓った約束を永久に残すため、その手を離すまいと握り締めるため。
消えた彼の右手を掴むために。


◆秘密の特訓
狩也が仲間たちに秘密で行っているトレーニング及び特訓メニュー。
詳しい事情は割愛するが、狩也は自力での遊矢打倒に向けて一番近く一番強い人を師匠とした。
それが現役プロデュエリストにして先輩である朽祈ヒカルである。
偉大な先輩に弟子入りし心身共に強くなろうと頑張る狩也と、わりとマイペースにそれを支えるヒカル。
意外にも噛み合った師弟関係が今後どうなるのかは必見かもしれない。


◆レーヴァテイン
北欧神話においてロキが鍛え、女巨人シンモラが管理していたとされる剣。
「害をなす杖」「裏切りにみてる枝」の意を持ち、錬金術において錬成された場合には裏切りを促す力を持つ。
レーヴァテインの欠片を用いて、錬金術師・ヴェリタスが造り出した髪飾りは身に付けた人物の精神や心に干渉し、破壊していくものとなった。
誰彼問わず触れた者の心を壊す代物だが、心を持たない者には効力がない。また、レーヴァテインの欠片が破損すれば効力を完全に失う。
▼#7
ここまでが約1ヶ月前、世界樹病事件の際に起動したレーヴァテインの性質、能力である。
ヴェリタスと同じく錬金術を駆使するイヴはヴェリタスに渡したレーヴァテインの欠片の大本を砕き、それを対象に飲ませることで効力の喪失を実質無効化することを発見した。
こうした経緯があり、後ろからヒカルを襲ったイヴは欠片を飲ませることに成功。
装甲の力がもたらす瞬間的な治癒による抵抗は内側からの侵食に間に合わずヒカルの意識はブラックアウトしてしまった。


◆遊矢と狩也の過去
天之御崎で生まれた二人は幼馴染として幼少を共に過ごしてきた。
━━━が、それに至るまでの思い出話をするためには、まず狩也の必死の逃亡劇とあまりにもしつこすぎる遊矢の破天荒さを垣間見ることになる。
当時はまさに追う側追われる側と言うべき関係なのだが、そんな日々を過ごしていく中で二人はある出来事をきっかけに距離を縮めていく。