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「人狼城の恐怖 第三部 探偵編」二階堂黎人著









二階堂蘭子シリーズの長編第5作目の3部に当たる作品。第一部のドイツ編と第二部のフランス編に全く登場しなかった主人公の蘭子が遂に登場します。






大まかなあらすじ



ある日蘭子は新聞に気になる記事を発見した。それはドイツである企業が企画したツアーに参加した旅行客が全員失踪したというものだった。ほんの小さなこの記事に蘭子は運命的なものを感じ取った。さらに蘭子の周りでドイツに関連するような出来事が多発する。さらに過去に解決したある事件がきっかけでフランスに招待される。蘭子は運命に導かれるかのようにフランスとドイツに向かうことになる。







感想(ややネタバレあり)


一言で感想を現すなら、待ってました蘭子という点です。第一部のドイツ編と第二部のフランス編では全く登場しなかった蘭子がようやく登場します。二部までの壮大なプロローグを終えどのようにして物語に関わるのかと思ってましたが表向きは集団失踪という形になっていたドイツ編の事件がきっかけになります。そこから蘭子がドイツやフランスに行くまでにはこれまでに解決した「地獄の奇術師」「聖アウスラ修道院の惨劇」「悪霊の館」での出来事が大きく関わってきます。そしてドイツ編の事件はある関係者の証言からフランス編の事件は主人公だったローラントの書いた日記を元に蘭子たちも何が起きたのかようやく判明します。それを受け蘭子がどのように事件を解決するか見ものとなります。まず蘭子たちは現場となる人狼城を探すところから始まりますが一筋縄ではいきません。手がかりを掴もうとするたびに犯人に先を越されてしまい手がかりが掴めません。しかし蘭子の方もとんでもない方法で探り当てようとします。読者の皆さんはドイツ編とフランス編を同時に読み直しながらだと蘭子と同じような感じで事件を読み進めていくことができます。








事件関係者紹介(ややネタバレあり)





アルフレッド・カール・シュペア


蘭子たちが参加するミステリー愛好会(犯罪研究会)の会員で年齢は69歳。ユダヤ系ドイツ人で第二次世界大戦中に迫害から逃れるため日本にやってきてその後一ツ橋大学の教授を務めていたが今は定年退職をしている。ロシア人の奥さんがいたが現在は亡くなっている。ちなみにそこに至るまでの馴れ初めには壮大なドラマがあった。

蘭子たちはドイツ語は挨拶程度しかできないので通訳や案内係を引き受けることになる。






グレゴール・フォン・ルーデンドルフ



ドイツのボン警察の殺人課主任警部で年齢は58歳。ドイツで起きた集団失踪事件の捜査を担当しており蘭子たちが捜査をしようとすると知った際は妨害しようとするが蘭子がボン警察が事件に関してどのような結論を出したかの推理を聞いて蘭子の能力を認めて協力者になる。






ローズ・バルデ



フランス編の主人公であるローラント・ゲルケンの婚約者。フランス編でも登場しローラントが青の狼城で起きる不幸に関して予言していた。蘭子たちが曽祖母のアンダルーシアの家に訪れた際に姿を現す。彼女曰く曽祖母のアンダルーシアは悪魔に殺されて自分もその悪魔に狙われ逃げているとのことだが詳しいことは本人にもわかっていない。蘭子たちが来ることを予言して彼女にローラントの書いた日記を手渡す。それにより蘭子はフランス編で起きた事件の概要を知ることになる。








ジャン・ロシュフォール


フランス外務省の高官で年齢は57歳。彼の娘のレイモンドはフランス編に登場したローラントの友人でパリ検察庁検事補のアンゼルム・テルセの妻。娘のレイモンドは怪しげな宗教団体に入れ込み多額の金を寄付して宗教団体壊滅後に姿を消してしまう。そのことにショックを受けたアンゼルムの精神が崩壊したことを受けて大変後悔をしている。