好きな本の紹介14 | コジコジハルのクロノスゲーム

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「人狼城の恐怖 第二部フランス編」二階堂黎人著
 
 
 
 

 

 

 

 

二階堂蘭子シリーズの長編第5作目の2部にあたる作品。前作のドイツ編ではドイツとフランスの国境沿いの山奥の渓谷に聳え立つ姿が同じの人狼城のうちドイツ側にある「銀の狼城」で起きた事件の話でしたが、ドイツ編と同じ日に反対側の「青の狼城」で起きた事件の話となっています。なおフランス編はドイツ編より先に読んでも問題ないと公式で書かれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

大まかなあらすじ

 

とあるアルザス人の上流階級のみが入ることのできる社交サロンのメンバーは青の狼城に住むグレゴール・フォン・シュライヒャー伯爵の支援を受けたことでそのお礼として青の狼城に訪れることになる。そのメンバーの1人で弁護士のローラント・ゲルケンは友人でパリ検察庁検事補のアンゼルム・テルセはサロンの内部で起きた不審な事件の背後には人狼と呼ばれるナチスが作り出した化け物が関連しているという。とんでもない話を聞いたローラントは人狼を追いかけるサロモン警部を引き連れサロンメンバーと青の狼城に向かうことに。それは人狼の仕業としか思えない奇妙な事件が発生するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

感想(ややネタバレあり)

 

一言で感想を現すとしたら、まあそうなるよなっといった印象。今回の中心人物はアルザス地方に住むアルザス人のみが入ることのできるサロンのメンバーとなっています。前作のドイツ編で起きた事件と全く同じ日にフランス側にあった青の狼城でも全く同じような惨劇が起きていたということです。ドイツ編では姿しか見せず中でどんなことが起きているのかわからない状態でしたが予想していた通りこっちでもとんでもない事件が起きていたわけです。ただドイツ編との違いとして主人公が人狼と呼ばれる存在を聞かされるという点があります。人狼とは一言で表すなら死んだ人に憑依して新しい肉体を見つけ次第新たに憑依するという化け物です。最初はその存在自体を疑っていた主人公も話を聞くにつれどんどん本気になってしまいます。ドイツ編とは違いフランス編では最初からとんでもない事態に巻き込まれるとわかった段階で訪れるわけですがそんな警戒もむなしく人狼の脅威が襲い掛かるわけです。結論から言いますとこの事件もドイツ編同様解決しませんし蘭子の登場もありませんのでこの話はプロローグ第2章と思っていただければいいです。ドイツ編と合わせると約1400ページに及ぶ長いプロローグの末3部からいよいよ物語が本番に入ります。読者の方はそれまでにドイツ編とフランス編で起きた事件の共通点と相違点をまとめてみるといいかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

事件関係者紹介(ややネタバレあり)

 

 

ローラント・ゲルケン

 

青の狼城に招かれたサロンのメンバーの1人で年齢は28歳。フランス編は彼目線で話が進むのでフランス編の主人公。職業は弁護士で同じく弁護士をしていた父親の跡を継いだ。父親の残した財産や母親の実家の資産が有りそれを同じサロンの理事を務める伯父のウージェヌ・シャピュイが管理している。友人のアンゼルムから人狼に関する話を聞かされ調査のためサロモン警部と同行することになる。劇中様々な場面で襲われる場面がありその都度大けがを負ってしまいさらに青の狼城の地下で発見された首なし死体を見たことで人狼の脅威におびえることになる。青の狼城に訪れてからの話は彼が恋人のローズに向けて書いた日記という形で語られていく。

 

 

 

 

 

ローズ・バルデ

 

ローラントの恋人で年齢は24歳。普段は曾祖母のヒルデガルドと共に生活をしている。父親はアルザス人で母親はジプシーであるが二人ともすでに他界している。彼女の家系はジプシーの占い師一家で曾祖母のヒルデガルドと双子の姉であるアンダールシアと共にそれなりに評判がある。ローラントとは相思相愛なのだがローラントの伯父からは親の身元に関することで結婚に反対されている。また曾祖母のヒルデガルドもローラントが気に入らない様子である。本人は占いの才能がないと言ってはいるが曾祖母のヒルデガルドの霊力を受け継いでおりローラントの身に起きる不吉な予言を感知している。

 

 

 

 

 

ガスパール・サロモン

 

パリ警察殺人課の警部で年齢は55歳。元々ドイツ人だったがかつてナチスに抵抗する運動を行っておりフランスに亡命した際帰化する。その際家族や多くの仲間を失った経験からナチスを激しく憎むようになる。かねてから人狼と呼ばれる化け物の捜査に当たっておりローラントに人狼の存在や彼の仕業と思われる事件に関する情報を教える。ローラントに人狼に関する情報を教える中彼とサロンのメンバーが青の狼城に訪れる情報をつかみ人狼がそれを機会にサロンのメンバーに化けドイツに逃亡する恐れがあるとにらみ青の狼城に同行することを決める。本来アルザス人でない彼はサロンのメンバーと青の狼城に同行することができないがローラントの伯父にお願いし同行することになる。

 

 

 

 

 

 

アラン・リシュアン

 

 

青の狼城の使用人で年齢は32歳。内科医でもあり青の狼城の城主の伯爵夫人であるナターリエの兄にあたる。高身長で青みかかったサングラスをかけるイケメン。劇中では青の狼城に訪れたサロンのメンバーの出迎えや案内などの世話を任されている。

サロンのメンバーのが青の狼城に訪れてからしばらくして地下の物置部屋に首が切断された状態で発見される。だが現場の物置部屋は手前の小部屋と共に内部から鍵がかけられており内部に人が隠れるスペースがないため完全なる密室状態だった。

 

 

 

 

 

ナターリエ・フォン・シュライヒャー

 

青の狼城の城主であるグレゴール・フォン・シュライヒャー伯爵の妻で年齢は26歳。アラン・リシュアンの妹にあたり伯爵とは30歳以上も年下ではあるが夫婦仲は良好な様子。見た目は下手したら10代といわれても違和感がないくらい若々しく妖精のようなかわいらしさがある。その一方で幼い見た目に反してかなり知的でどんな話でも柔軟に対応している。伯爵との間には8歳になるラインハルトという名の息子がいるが重度で珍しい皮膚病を患っており普段は顔を隠すため仮面をかぶっており日に当たらないように城内に籠った生活を送っているとのこと。

 

 

 

 

 

グレゴール・フォン・シュライヒャー

 

青の狼城の城主で年齢は61歳。サロンに対して多額の援助を行っているとのことだがその経歴に関することは不明で彼がアルザス人なという点だけ判明している。サロンのメンバーが青の狼城に訪れた初日は宝石に関する商売の関係で不在だったが仕事を終えた2日目の夜にサロンのメンバーの前に姿を現す。妻のナターリエとは親子といってもおかしくない年齢だがそれを感じさせないぐらい夫婦仲はよい様子。アランが死んだとわかった際は激しく動揺を見せる。