好きな本の紹介13 | コジコジハルのクロノスゲーム

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主に自作の逃走中を載せています。

 
 
「人狼城の恐怖 第一部ドイツ編」二階堂黎人著
 
 

 

 

 

 

 

二階堂蘭子シリーズの長編第5作目の1部に当たる作品。人狼城の恐怖は全4部作の構成になっていてその最初の作品になっています。ドイツとフランスの国境沿いの山奥の渓谷に聳え立つ姿が同じの人狼城と呼ばれる双子の建物のうちドイツにある「銀の狼城」を舞台とした怪奇事件の話です。

 

 

 

 

 

 

 

大まかなあらすじ

 

 

 

ドイツとフランスの国境沿いの山奥の渓谷に人狼城と呼ばれる誰にも知られていない古い城が存在していた。そんな中ドイツ側に建てられている「銀の狼城」にある企業が企画したツアーに招待された10人のドイツ人の客は招待される。最初は楽しいひと時を過ごしていたのだが1人の人物の死をきっかけに恐ろしい連続殺人の幕が上がる。

 

 

 

 

 

 

 

感想(ややネタバレあり)

 

一言で感想を現すなら、とんでもないツアーになってしまったなという思いが出ました。前述通りドイツ側にある人狼城は銀の狼城と呼ばれており外見は銀色に見えるからそう呼ばれてるとのこと。そこに招待されたのはある企業のアンケートに答えた人の中から抽選で選ばれた10人のドイツ人。このドイツ編に蘭子は一切登場せず参加者の1人が実質的な主人公を担っており彼視点で物語が進んでいきます。人狼城については本の中で間取りや外観などがやたら丁寧に描かれておりこれを覚えておくことが重要となります。結論だけ言うとこのドイツ編で起きた事件はこの話の中で解決はしません。いわばドイツ編はプロローグ的な話になるのですがページ数が650以上にもなる壮大なプロローグとなっています。できたら蘭子が登場する前に読者の方はドイツ編の登場人物たちの行動や何日に何が起きたかというのをメモするならして覚えておきましょう。また登場人物がドイツ人が多いこともあり誰が誰か忘れないように最初に書かれている登場人物の名前と役職もしっかりと覚えておきましょう。そうしないと自分のように真相が明らかになる前に重要な点を忘れかねないので。

 

 

 

 

 

 

事件関係者紹介(ややネタバレあり)

 

 

テオドール・レーゼ

 

ツアー参加者の1人で年齢は26歳。この物語は彼の視点で進行するのでドイツ編の主人公。普段は子供の頃からピアノを習っており賞を取るほどの腕前だった。ツアーに参加する少し前に音楽教師の職に就くことが決まってる。その一方で彼の住むボンでは少年少女が無惨に殺害される事件が相次いでおり彼は最初の事件で第一発見者となっていた。かなり人付き合いは苦手なようで基本的に他のツアーの参加者と距離を取っていたがその中の1人であるジャンヌに声をかけられる。最初は鬱陶しさを持っていたが人狼城で事件が起きるたびに距離が近くなりやがて恋に落ちる。

 

 

 

 

 

 

ジャンヌ・ゼーンハイム

 

ツアー参加者の1人で年齢は24歳。叔父であり銀行役員のヨハン・ゼーンハイムと共にツアーに参加した。かつてヨハンの息子と財産目的で結婚を求められたことがあったがその息子が交通事故で死んだことでヨハンに彼女の貰う財産目的で常に監視され命を狙われているとのこと。またツアーの日程中に命を落とすという占いの結果を受けツアー参加者であるテオドールに助けを求めるため交際を迫ろうとする。だが人狼城で起きた事件の際テオドールが犯人だと疑われた際も最後まで庇っておりその後テオドールと本気の恋に落ちる。

 

 

 

 

 

 

ヘルマン・フェラグード

 

ツアー参加者の1人で年齢は70歳。長い間ゲッティンゲン大学の教授を務めてきたが現在は職を退いている。かつてベルリンの壁が築かれた際壁を乗り越え東ドイツから西ドイツに亡命した過去がありそれにより多くの人にその名が知れ渡る。様々な分野の歴史に詳しく人狼城のことも以前から興味を持っており企業にお願いしてツアー参加者に選んでもらう。事件が起きた際最年長なだけあってその場を取り仕切ることになる。一方で銀の狼城を訪れた目的として城のどこかに「ロンギヌスの槍」を探す目的があった。

 

 

 

 

 

 

ペーター・アンベルク

 

銀の狼城で働く雑用係で年齢は32歳。かなり高身長でよく見ると整った顔をしているが泥で汚れており頬がやや腫れている。銀の狼城内で使用人の男は彼のみなので力仕事などを請け負っている。一方で銀の狼城の出入りをするための吊り橋の仕掛けを壊して始末場面もあった。

 

 

 

 

 

ヘレーネ・マリア・フォン・シュタウエル

 

銀の狼城の城主であるフリードリヒ・カール・フォン・シュタウエル伯爵の妻にあたり年齢は47歳。

40歳以上とは思えないほどの美貌の持ち主でツアー参加者が思わず息をのむほどのものである。だが一方でテオドール曰くその美貌にどこか人工的な部分が見られる。足が悪いのか普段は車椅子に乗って生活しており使用人の一人であるアリス・ラスカーが世話をしている。劇中夫が不在の間ツアー参加者の相手を行っており参加者との会話もかなりスムーズに行っていた。一方事件が起きるたび心を痛め部屋で休むことが多い。なお夫と共に彼女の詳しい身元は分かっていない。