新説『マジすか学園4』
#4110(4/7話)『そのアイドル、天然につき260 ライブを終えた充実感』
その道中、舞香が考える。このあと30分歩いて寮に戻ると、ラストの撮影が待っている。寮を出て別れの挨拶をするシーンだ。撮影としてだけでなく、実際にそこでみんなと別れることになっている。そのあと街に戻ってテレビ局のバスに乗り、今日の夜までに都会へ帰る。当初の大事な目的は、さーなん、ユキ、モエの3人から何かを引き出そうということだったが、結局実現できずに終わってしまった。それでもついさっきの路上ライブは自分でもとても満足する内容だったし、番組としても十分な撮れ高になったと思う。あとはラストの挨拶に臨むだけだ。
やがて一行が寮に着いた。舞香とせなたんの荷物は、事前にまとめて玄関先に置いてある。2人は急いで最初の服に着替え、リュックを背負って外に出た。その横で番組スタッフたちは撮影機材を運び出している。いよいよこのあとお別れのシーンを撮影する。
一方、この撮影を前にしてブラックシープスのみんなは、ある計画を練っていた。昨夜は舞香とせなたんがスタッフと共謀した騒動に巻き込まれ、寮の全員で救出に向かった。実際はアツリーヌが1人で片付けたみたいなものだったが、不幸中の幸いだったと言える。2人の無謀過ぎる行為が、最悪の結果を招いた可能性だってある。それも番組を盛り上げるためだと分かっているし、舞香とせなたんが謝ってくれたので、誰も根に持ってはいない。ただそんなにしてまで想定外のことを起こして番組を盛り上げたいのなら、こちらから仕掛けてやろうという話が盛り上がった。昨夜街から戻り、舞香とせなたんが個室に引き上げてから寮の全員がこっそり集まり、相談を始めた。最初は白雪姫とアツリーヌに話すと反対するのではないかとの意見もあったが、全員の足並みを揃えないことには失敗する可能性があるので、仲間に引き入れた。そして時間を掛けて話し合い、納得するいい案を導き出した。今朝になってやって来た音葉には、路上ライブの最中に茜が内容を伝えた。そして番組スタッフが所定の位置に立ち、今まさに撮影が始まろうとしている。
スタッフの合図が掛かり、舞香とせなたんがブラックシープスの16人に囲まれた。昨夜2人が寮を抜け出した一部始終は、放送しないことに決まった。2人が夜の山道を歩いて街にやって来て、あの怪しい店に入り込み、マジックミラーの向こうで男たちに物色されるという刺激的なシーンは撮れたが、そこで撮影が中断してしまった。アツリーヌが従業員たちを片付けた場面が撮れなかったので放送するには中途半端だし、スタッフたちは遠い都会に帰ってしまうが、この街で暮らすブラックシープスに迷惑が掛からないようにと配慮した結果だ。
◇続く