新説『マジすか学園4』
#4063『そのアイドル、天然につき213 ゆうゆとの再会』
カチドキ(堀 未央奈)
長沢菜々香
渡辺梨加
都会の新人アイドルを受け入れる当日になった。迎えに出るのは、リョウとカチドキ、茜と愛佳、白雪姫とアツリーヌ、それに「はた屋」の4人だ。
10人が街の中心部から離れた空き地のような場所で待っていると、約束した午後2時を少し過ぎた頃、この街では全く聞かれない走行音が遠くから鳴り響き、やがてテレビ局の大きなバスが到着した。10人は1度都会に行ってテレビの生放送に出演したことがあるので、こんなにも大きなバスを見ても、それ程の驚きはない。
バスが小さくクラクションを鳴らし、空き地の隅っこに停車したのを見て、みんながその付近に集まる。ドアが開いて最初に降りてきたのは、やはりゆうゆだ。長い髪をツインに束ね、上はテレビ局のロゴが入ったスタッフジャンバーを羽織り、下は膝までのハーフパンツスタイルだ。
ゆうゆは辺りを見回し、待ち受けている顔触れを確認すると、笑顔を浮かべて近付いてくる。まずはみんなの前に立つと、『こんにちはー。久し振りです。今回の件を引き受けてくれて、ありがとうございます!』と丁寧に言い、軽く頭を下げた。代表して返事をするのは白雪姫だ。
『こんにちは。急な話だから、最初ははたごんたちから聞いてびっくりして迷ったんだけど、みんなで話し合った結果、テレビ局の撮影に協力しようということにしたの』
ゆうゆがもう1度お礼を言う。
『ありがとうございます。本当に助かります。みんなのところに泊まらせてもらわないと、この企画の意味がないですから』
ゆうゆに続いて、前後のドアからテレビ局のスタッフが何人も降りてくる。さらにバスから荷物や撮影機材を手際良く運び出している。ここから先は車が通れない道なので、30分程徒歩で運搬しなくてはいけない。そこで白雪姫がゆうゆに確かめる。
『3泊4日だって聞いてるんだけど、それで良かったの?』
ゆうゆにしては珍しく、丁寧な口調を続ける。
『はい。そうなんですけど、3泊4日でいいですか?』
『いいけど、結構長いんだね』
『長いかなぁ〜。そのくらいは滞在しないと、田舎の…あっ、ここの暮らしに馴染むことは無理だと思って』
『言い直さなくても「田舎」でいいよ。都会から見たら、車もテレビもないくらいの田舎だから、そのためにわざわざ何日も泊まりにくるんでしょ』
『まぁ、そういうのもあるけどね』
最初は頼む側なので普段使わない敬語で喋っていたゆうゆが、徐々にいつものタメ口に戻っているじゃないかと白雪姫が思い始めたら、茜が会話に加わってくる。
◇続く