#3794『マジすか学園4』 | 第7シーズン

第7シーズン

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新説『マジすか学園4』


#3794『アイドルに転職は難しい144 リョウの充実感』



ゆうゆは背後で、『はい、カットー!』と叫ぶスタッフの大声を聞いた。これで「KEYABINGO!」のドラマ撮影が終了だ。すると自分の横を走り去った路線バスが前方で停車し、しばらくすると欅坂6期生たちがゾロゾロと降り始めた。



路線バスの方でも、カメラに映り込まない座席に陣取っていたスタッフから『はい、カットー!』の合図が掛かり、撮影が終わった。リョウたち6期生10人は、小道具の旅行鞄を車内のスタッフに任せ、バスから降り始める。ただしその前に、急なオファーに対応してくれた運転手や乗客役のエキストラたちに、『お疲れさまでした。ありがとうございました』としっかりお礼を言う。


バスから降り、路側帯を反対方向に歩き始めると、ゆうゆ、瑠夏、成美の他、ベマーズの面々と途中で合流したので、『お疲れさまでしたー』と声を掛け合った。空はすっかり夕暮れの薄暗さだが、ドラマの話に合うように、あとでスタッフが映像処理してくれる。


やがてロケバスが到着したので、すぐに乗り込んだ。出来るだけ近場で、物語にふさわしいロケ地を探してくれたため、30分程走れば日テレに戻れる。着替えはそこで済ませ、あとはいつものスタジオで、ちゅ〜'Sデイズの歌収録を残すだけだ。ゆうゆはメインボーカルとして「フレンズ」を歌うので、リラックスしている他の出演者たちとは違い、まだ緊張状態の中にいる。


そんな中でリョウは、ロケバスでも路線バスと同じ窓際の席を確保した。刑事編はこれで第3弾だが、カチドキと2人で若手巡査として出演しているだけに、発生する事件の真っ只中で活躍するシーンが多くなるので、毎回とても満足だ。特に今回は自分主観の展開が多くあった。思えばまだ2日前の水曜日にシェリーのマンションにみんなが集まり、同席したSTUでんつのメンバーが考えてくれた設定から、さらに話を膨らませた物語が完成したことで、充実感に満たされている。


ただ水曜日の打ち合わせでは、途中で切り上げてマンションを出たため、残っていたベマーズの6人が詳しいストーリーやセリフを考えた。その中に、成美と瑠夏が倉庫の中で過剰な身体チェックを受けるという見せ場が加わっていた。あの2人がいざ本番になったらどんな反応を見せるのか注目していたが、目の前で行われたあのいかがわしい行為に耐えていたことに、リョウはかなりびっくりした。離れた座席に座る成美と瑠夏が、そのことで周りの何人かにいじられているようだ。すると瑠夏が『いい加減にしてください!』と怒り出したので、珍しいことがあるものだと思う。



瑠夏は佑美に言いたいことがある。

『イマドキさん。あのシーンですけど、カメラは後ろからしか撮らないので、ポーズだけでいいって話でしたけど、随分とるかの胸をもみくちゃにしてくれましたよね!』

成美が続く。

『あたしもコテに、思い切りやられたぞ!』

イマドキが言い訳する。

『カメラを止めずにやるっていうのが定番なんで、あのくらいしないと、るーちゃんの迫真の演技を導き出せないと思って。そのお陰でカットも出ずに大成功だったじゃない』

コテの方は、『成美の胸では物足りなかったー』と言い出し、成美を怒らせた。瑠夏が何て抗議しようか困っていると、ななまるが乗っかってくる。

『イマドキ、あんたは役得過ぎる。私もあの役やりたかった〜。今から私がるーちゃんに再現して、動画に上げようか〜』と言う始末なので、瑠夏は『いい加減にしてください!』と言い、プイと横を向いた。



やがてロケバスが日テレに戻った。ちゅ〜'Sデイズのゆうゆ、瑠夏、成美の3人は、急いで楽屋へと向かった。そこで歌衣装への着替えを済ませると、廊下を小走りで駆け抜け、いつものスタジオに入った。すると椅子に座って待っていた6期生とベマーズのみんなが立ち上がり、黄色いテープのところまで来てくれたので、代表してゆうゆが『お待たせしましたー』と挨拶し、スタジオライブの立ち位置に向かう。瑠夏と成美を従えたセンターポジションだ。



◇続く