#3497『マジすか学園4』 | 第7シーズン

第7シーズン

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新説『マジすか学園4』


#3497『君が隣にいてくれるだけで197 破綻の始まり』



「SF翼のない白雪姫(18/21話)」


<ブラックシープス>
白雪姫・みーおん(AKB48 向井地美音)
アツリーヌ(前田敦子)
さーなん(髙寺沙菜)
小林由依
今泉佑唯
守屋 茜
志田愛佳
平手友梨奈
長濱ねる
リョウ (北川綾巴)
カチドキ(堀 未央奈)
長沢菜々香
渡辺梨加
音 葉(町 音葉)
ユ キ(矢作有紀奈)
モ エ(矢作萌夏)

<うどん はた屋>
よこにゃん(SKE48 北川愛乃)
はたごん(SKE48 髙畑結希)
ちかこ(SKE48 松本慈子)
優莉奈(AKB48チーム8 行天優莉奈)

<シアターの従業員>
せなたん(AKB48 石綿星南)
ゆいり(AKB48 村山彩希)

<都会の人気アイドル>
ゆうゆ(大谷悠妃)


街で大人気になっている3D体感シアターに、人気アイドルのゆうゆがこっそりやって来た。

盗み見用のモニターが設置してあるプライベートルームで、ゆいりとせなたんと情報交換したあと、ゆうゆの興味は再び映像の盗み見に戻った。

ゆいりは『私ちょっとお店の方を覗いてくるー』と言って、プライベートルームから出て行った。せなたんはモニターから離れたソファーに深く座り直した。この仕事に携わって3週間以上経過した。最初の頃は自分もゆうゆと同じようにお客が見ている映像を盗み見ることに胸の高まりを覚えたが、今では飽きてしまってほとんど見ることもない。

このプロジェクトの戦略は、ゴーグルを着けて仮想現実の世界を好きなように行動するシステムをもっと簡略化し、個人が自宅で気軽に実践できないかということだが、それだけではない。その先にあるのは、過去に体験した楽しかった場面を脳の記憶から引き出し、仮想空間に再現するということだ。この懐古的だが斬新な試みは莫大な利益をもたらすだろうと、せなたんは上の人間に聞かされた。

そのための実験を重ねていたが、理由を知っている者が実験台になっても、正確な検証とは言い切れなかった。それに都会で利用者を対象にして密かに行うのでは、もし発覚して異常な反応が出てしまい、非難を浴びるような事態は絶対に避けたい。それなら何も知らず、生活のレベルが遅れている田舎で実験してみようということになった。田舎の住民たちは人体実験だと言ってもいい。一定の成果が上がればこのシアターはさっさと閉店し、田舎から引き揚げれば済む話だというのが関係者の認識だ。

せなたんはあとからこの内幕を聞かされて気後れしたが、もう後戻りできないので覚悟を決めている。だから現実と仮想空間の区別がつきにくくなるという現象が起きることは、想定内だった。ただ予想に反した点は、エスカレートした行動が犯罪に結びついてしまったことだ。それでももう少しこのまま状況を見守ろうと上からの指示が届いているので、シアターの営業を続けている。


それから数日が経過したある日のこと、日々綱渡り状態で続いていたプロジェクトが、ついに破綻へと向かう事件が発生した。

この日もシアターは常連となった客たちで賑わっていた。15席がフル稼働していることを確認したせなたんが、持ち場の椅子に座ってひと息ついた。この次は10分後にお客が2人入れ替わるだろうと頭に入っている。するとお客が座っているシートの方で、異常な物音がすることに気付いた。仮想現実をさまよっている客が大声で喋ったり、時には悲鳴を上げることには慣れっこだが、それとは違う種類のものだと直感で伝わった。

せなたんはすぐに席を立って駆け出した。フロントを見ているゆいりと合流して”現場”に着くと、ゴーグルを着けたままのお客が席を立って暴れている。それも複数だ。せなたんは次の対応が分からず、その場に立ち尽くしてしまう。さらには騒ぎに影響されたのか、他のお客が次々と立ち上がった。こんなことは初めてだ。もし仮想空間で暴れていたとしても、それは脳が反応した結果、手足が動いているように感じているだけで、実際に身体を動かすことはないと聞かされているし、これまでにこんなことは1度もなかった。


◇続く