#2852『マジすか学園4』 | 第7シーズン

第7シーズン

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新説『マジすか学園4』

#2852『たとえ桜の花びらが散ったとしても…02 いじられる せなたん』


「SF翼のない白雪姫」の撮影が終わった。帰りのロケバスで「はた屋」 の4人とゆうゆがお喋りしていると、有紀奈が会話に加わった。そこで今度は、優莉奈が有紀奈に質問をぶつける。

『それより有紀奈ちゃんこそ、このドラマだけじゃなくて、もっと観たいってファンの声が多いのに、何でテレビに出なくなっちゃったの?前はシャチホコセブンの番組にも出てたでしょ』
有紀奈が思い出すような目をする。
『あー。あの頃は萌夏を1人で名古屋に行かせると、かおたんが専属契約を結べって迫ってくるから、私がついて行って目を光らせてたからね』
『じゃあ、最近は何でついて行かないの?』
『最近はかおたんがうるさくないからよ。今はもっと新しい子に目が行ってるんじゃないの。ここにいるゆうゆとか、あとは番組に出始めたるーちゃんとかもいるし』
優莉奈が矛先を変えてみる。
『それは分かるけど、妹の萌夏はどうなってるの?すちーずとしては活動してるけど、それ以外はさっぱりじゃないっ。ゆりなたち、萌夏にはずっと期待してるんだけど』
ここまで口が滑らかだった有紀奈が初めて言いにくそうにしていると、萌夏がどこからか近付いて来た。

『萌夏がどうとかって聞こえたけど、何の噂をしてるのー』
有紀奈が困っていそうなので、ちかこが対応する。
『萌夏が相変わらずあざといなぁって、噂してたとこ』
萌夏がほっぺたを膨らませる。
『あざといんじゃなくて、あざとカワイイって言ってよ』
『あざとカワイイならいいの?』
『カワイイが付いてるから、許してやるよ』
『何か生意気やん』
ちかこが捕まえようとするので、萌夏がよこにゃんとはたごんの間に無理やり割り込んだため、大騒ぎになった。


一方、ゆいりとせなたんの周りには、今週も欅坂6期生の何人かが座っている。先週の帰りに初めて同乗し、同い年だと分かった茜が、ゆいりに話し掛ける。
『ゆいりの王女っぷりはハマってたよね。下から観ていて、本物かと思っちゃうくらいだもん。脚本が届いて3、4日くらいしかなかったでしょ。よくそれで役作りできたよね』
ゆいりが照れくさそうに言う。
『ホント?ありがとー。何とかして王女っぽい雰囲気を出そうとして頑張ったんで、そう言ってもらえると嬉しい♪』

ここで疑問を口にするのは由依だ。
『でもさぁ、本当の王女はゆいりじゃなくて、せなたんだったってことでしょ?ゆいりは影武者だって、ゆうゆが言ってたけど』
みんなが黙って考えていると、愛佳が言い切る。
『こんなにも真剣になることないじゃん。あーいう曖昧な終わり方はよくあるパターンだし、2人とも消えていなくなっちゃった上に、最後は妄想っぽいエンディングだけど、SFってタイトルなんだから何でもありで楽だよねー』
大きな声で喋る愛佳に、茜が注意する。
『ほらーっ。そんなこと言ってると、監督に聞こえて怒られるよ!』

愛佳が肩をすくめると、今度はねるがせなたんに向かって言う。
『私は今回の影の主役は、せなたんだと思うな』
愛佳が『影かよーっ』と突っ込むが、ねるは構わず続ける。
『せなたんの演技があったから、最後にゆいりが影武者だって意外性が際立つし、可能ならせなたんの王女の演技も観たかったなー』
さらに平手が加わる。
『でも国の名前がチェスナッツ王国なんだから、勘のいい視聴者はせなたんが王女だって、すぐに気付くんじゃないのか』
茜がすぐに指摘する。
『あー、それってせなたんがクリっぽいって言ってるのと同じじゃん』
平手が構わず補足する。
『丸っこくて可愛いという意味だけど』
そう言われてシュンとするせなたんを見て、またも愛佳が突っ込む。
『せなたんが嫌がってるw つうかこの会話、行きのバスでもあっただろー』
茜が『そうだったねー。せなたんを見てると、なぜかこの流れになっちゃうんだよなぁ~』とおどけるので、みんなが笑った。



◇続く