#2850(7/7話)『マジすか学園4』 | 第7シーズン

第7シーズン

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新説『マジすか学園4』

#2850(7/7話)『私は私の道を行くだけ150 リピートされた現実』(終)


「SF翼のない白雪姫(最終話)」

<ブラックシープス>
  【ライブ班】
さーなん(髙寺沙菜)
ユ キ(矢作有紀奈)
モ エ(矢作萌夏)
アツリーヌ(前田敦子)
守屋 茜
小林由依
リョウ(北川綾巴)
音 葉(町 音葉)

  【見守り班】
白雪姫・みーおん(向井地美音)
今泉佑唯
志田愛佳
平手友梨奈
長濱ねる
長沢菜々香
渡辺梨加
カチドキ(堀 未央奈)

<チェスナッツ王国>
ゆいり(AKB48 村山彩希)
せなたん(AKB48 石綿星南)

<都会のアイドル>
ゆうゆ(SKE48 大谷悠妃)

<うどん はた屋>
よこにゃん(SKE48 北川愛乃)
はたごん(SKE48 髙畑結希)
ちかこ(SKE48 松本慈子)
優莉奈(AKB48チーム8 行天優莉奈)


せなたんの悲痛な叫びで、さーなんにユキとモエは護衛たちから解放されたが、場の空気は張り詰めたままだ。そんな中、突然ゆうゆの可愛い声が響き渡った。

『茶番はもうやめたら!ゆうは都会に帰って調べたの。チェスナッツ王国の王女はゆいりなんかじゃない!本当はせなたんだって!ゆいりはただの影武者だよねっ。それにもう1つ分かった!チェスナッツ王国は今から400年前、よその国に侵略されて滅んだ国じゃない!この世に未練がある気持ちは分かるけど、いつまでもさまよってみんなに迷惑掛けてないで、自分たちがいるべき場所に帰ってよ!』

ゆうゆの言葉に愕然とする白雪姫だが、嘘ではないだろうと思う。とんでもない事実が発覚し、ゆいりとせなたんはどう出るのだろうと注目したら、2人の姿が白くぼやけ始めて見えにくくなり、最後には霧のように蒸発してしまった。護衛たちもいつの間にかいなくなっている。

いったい何が起きたのだろうと、白雪姫は目を瞑って擦ってみた。再び目を開けると、そこには別世界が広がっている。2日前に見た光景だ。ステージの上に取り付けられた看板を見て思い出した。チェスナッツ王国の王女を祝う祝典の最中なのだと。そんなことがはっきりしてくると同時に、ついさっきまでの記憶がどんどんと失われていく。とても重要な局面に立たされていた気がするのに、こんなことがあるのかと信じられない気持ちだ。


白雪姫が我を失っているうちに、祝典は児童たちとゆいりの交流が終わり、ステージの端に設けられた階段を使って児童たちが降りていくのを、笑顔のゆいりが見守っている。そんな矢先、ステージの上から大きな看板が危険な角度で落下し始めた。真下にいるのはゆいりのお世話をしている女の子で、全く気付いていない。少し離れた場所に立つゆいりは、看板の落下にいち早く気付き、ためらいもなく駆け出した。

ところが事情を知らない女の子が足をもつれさせ、転んでしまった。これで安全な場所に誘導することを諦めたゆいりは、自分が盾になることを選択した。ゆいりの背中に、看板が危険な角度で落下してくる。

白雪姫は思わず目を瞑りかけたが、看板がゆいりを直撃する瞬間、僅かに向きを変え、誰もいない場所に落ちた。立ち上がったゆいりがせなたんを抱き起こすと、観衆から大きな拍手が起こった。看板は関係者がすぐに片付け、祝典はフィナーレへと向かう。

白雪姫はさーなんの側に行き、小さな声で聞いてみる。
『今のって、もしかしてさーなんがやったんじゃないの?』
さーなんが笑みを浮かべる。
『そう。よく分かったね。ステージに瞬間移動して助けようかと思ったんだけど、そんなことしたらどうやって助けたんだって、あとでしつこく聞かれそうじゃない。トラブルの元だよ。だから看板が落ちる場所をちょっとだけ動かしたの』
納得する白雪姫。
『さすがさーなん。でもこれがきっかけで王女に会って話が出来たかもしれないし、もったいなかったね』
『あっ、そっかー。でもまぁ、しょうがないよ。だけどどうなるか、想像だけでもしてみようかな…』
そしてさーなんが目を閉じた。

白雪姫がステージに目をやると、いよいよ祝典が終わるようで、ゆいりが手を振って別れを告げている。周りの観衆が『ゆいりさーん!』などと声援を送っているので、白雪姫も便乗して『ゆいりさーん!!』と大きな声で叫んでみた。するとゆいりがこちらを向き、笑顔で応えてくれた。そしてステージ裏に姿を消した。


祝典が終わり、ブラックシープスのみんなが人混みに紛れながら歩いていると、後ろから走って追い掛けてくる子がいた。祝典を観ている間に、いつの間にかはぐれてしまったゆうゆだ。
『待ってよー。今日はみんなにお知らせすることがあるの~』

キャップを目深に被り、白いマスクで鼻から下を隠しているゆうゆを見て、白雪姫はついさっき衝撃的な出来事を知らされたような気がするものの、実際にそんな事実は何もなかったのだと頭の中で確認した。

ゆうゆが息を切らして立ち止まったので、白雪姫たちもその場で話を聞く。
『ゆうは都会の人気番組でMCをしてるんだけど、今度の企画でブラックシープスのみんなをゲストに呼ぼうかって案が浮上してて、まぁ、ゆうが提案したんだけどね。来てくれないかなー』

ゆうゆからの朗報に、みんなは歓声を上げた。白雪姫も、もちろんそうした。気を良くしたゆうゆが続ける。
『みんなって、前に都会で路上ライブをしたよね。その時の評判がとても良くって、もう1度観たいってリクエストが結構あるんだよね~』

白雪姫が思い出す。これまで都会には2度出向いてライブを敢行した。1度目は野外音楽堂で怪しげなライブを行っていたルシファー8を蹴散らし、ステージに立って爪痕を残した。それがきっかけになり、2度目は都会の大物プロデューサーに招待されたが、実際はヒナターズとライブ対決をやらされた上に、両者をシャッフルし、1つの新しいユニットを作ると知らされたので、口論から乱闘になった。さーなんが秘密の力を発揮し、プロデューサーとその部下たちを客席に吹き飛ばしたあと、ヒナターズとのジョイントライブで盛り上げた。どちらも都会の片隅で起こった出来事に過ぎないが、人気番組へのゲスト出演が実現したら、それらをはるかに上回るビッグニュースで、宣伝効果は抜群だ。

『じゃあ、決まりだね♪近いうちにスケジュールを知らせるから頼んだよ!』
そう言ってくれるゆうゆに、ブラックシープスのみんなは、感謝の気持ちでいっぱいだ。白雪姫がふと見たら、ゆうゆの後ろにいる「はた屋」の4人がショボンとしている。ゆうゆもそれに気付いて声を掛ける。
『ごめーん。先に言っておけば良かった。ゆうがお薦めするうどんのおいしいお店として、はたごんとよこにゃんとちかこちゃんと優莉奈ちゃんにも出てもらいたいんだけど』
はたごんが、『もー💨それを早く言ってよ~』とボヤくので、みんなが一斉に笑い出した。


「SF翼のない白雪姫」

                  <終>