#2400(26/27話)『マジすか学園4』 | 第7シーズン

第7シーズン

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新説『マジすか学園4』

#2400(26/27話)『坂道下剋上50 聖なる制裁』


「SF翼のない白雪姫(10/11話)」

<ブラックシープス>
守屋 茜
志田愛佳
今泉佑唯
小林由依
平手友梨奈
長濱ねる
リョウ (北川綾巴)
カチドキ(堀 未央奈)
長沢菜々香
渡辺梨加
白雪姫・みーおん(向井地美音)
アツリーヌ(前田敦子)
さーなん(高寺沙菜)
音 葉(町 音葉)
ユ キ(矢作有紀奈)
モ エ(矢作萌夏)

<ヒナターズ>
シ        ホ(加藤史帆)
きょんこ(齊藤京子)
みーぱん(佐々木美玲)
美        穂(渡邉美穂)


「平和の森公園」でライブを始めると、200年前にこの場所であった公開処刑が、時代を越えて再現されてしまった。その理由をさーなんから聞いたみんなだが、さーなんとモエの事情を知らないシホが、黙っていられなくなった。
『待って!さっきから聞いてるんだけど、いったいどういうこと?さーなんとモエは何者なの?』

ここまで話をしてしまったので、もはや隠す必要はないだろうと茜は判断する。
『モエとユキちゃんは200年前の戦争中に自ら死を選んだ子で、さーなんの方は詳しく知らないんだけど、何かの理由で1度死んで、3人とも甦ったんだよ!』
茜に続いて白雪姫が話す。さーなんのことについて、みんなに教える決断をした。
『さーなんは家ごと大雨の濁流にのみ込まれて、両親と一緒に命を落としたの。さーなんがいつも1人で歌っていた広場で私とアツリーヌがたまたま路上ライブをやって、それをきっかけにしてさーなんが甦ったの。この前オーロラの滝で起こった奇跡は、全部さーなんがやったんだよ!』
事実を知ったシホは『そんなことがあるの…』と絶句したものの、さーなんが不思議な力を持っていると薄々気付いていた美穂は、“思っていた通りだな”と、寮に来た最初の夜、二段ベッドで話したみーぱんに目で合図を送った。

ようやく事態が収まりかけた時、音葉があることに気付いた。
『モエの具合がおかしくなったのは、やっぱりあの子たちと関係してるってこと?』
愛佳がみんなの気持ちをストレートに代弁する。
『そうに決まってるじゃん。モエって以前、歌がうまいのは戦争中に友達と歌って励まし合ってたからだって言ってたじゃない。それなのにモエだけ敵の兵隊に襲われることもなかったし、その上未来で生き返ることが出来て、路上ライブでセンターに立ったんだよ!それに昨日はここで歌ったのに、友達の霊が来ていることに気付かなかったんだから、苦しめられてもしょうがないでしょ!』

愛佳が言うことはその通りだと思う音葉だが、納得出来ない点もある。
『 モエだけ敵の兵隊に襲われなかったかもしれないけど、それは見つかる前に、自分で命を絶ったからじゃない』
そう言った音葉は思い出す。寮の部屋にあるクローゼットから、モエの遺骨を集めた日のことを。音葉だけでなく、愛佳や他のみんなも忘れてはいない。そんな中、佑唯が冷静に言い出した。
『モエのことが心配だから、早く寮に帰ろうよ』

ベリカや菜々香が佑唯の提案を支持するように、壇上から階段を降り始めた。他の者も同じように動き出した時、平手が『あれを見て!』と言って空を指差した。まだ雲がかかってどんよりとしているが、そこにさっきの少女たちが浮かんでいるのが見える。ぼんやりとしているが、兵隊たちに処刑される前の姿なので、佑唯は少しホッとした。するべきことを終えたので、雲の上に帰るのかなと都合良く思ったが、その中に寮で寝ているはずのモエがいる。みんなもすぐに気付いたようで、届くはずもないのにモエの名前を何人かが呼んだ。

佑唯がよく見てみると、少女たちが嫌がるモエを無理やり連れ去ろうとしている。幸運にも今の世界で甦ったモエを、このまま留まらせることを許さないように見える。モエは必死に抵抗しているが、少女たちの人数が多いので、思い通りにならない。徐々に小さくなっていくその背中を見て、モエは本来いるべき場所に帰るのだろうと、佑唯はそんな気がした。ところがそこで意外な反応を示したのはリョウだ。
『さーなん!モエが嫌がってるから助けてやって!モエはこっちの世界でうちらと一緒に暮らしていたいに決まってるんだから!』

いきなり名指しされたさーなんが、困ってしまう。少女たちからモエを奪い返すことなんて出来ない。それでもモエのために何かしてあげようと考え、あることが頭に閃いたので行動に移す。
『モエを助ける方法があるかもしれない!みんな、私について来て!』
そう言ったあと、すぐに駆け出した。リョウはさーなんのあとを追った。さーなんの足の速さは人並み外れているが、さーなん以外の誰にも追い抜かれることなく、必死について行った。


◇続く