#2375『マジすか学園4』 | 第7シーズン

第7シーズン

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新説『マジすか学園4』

#2375『坂道下剋上25 さまよう少女たち』


すちーずの7人、萌夏(矢作萌夏)・ユナ(小畑優奈)・桜花(末永桜花)・亜柚香(上村亜柚香)・愛理(水野愛理)・のじのじ(野島樺乃)・初夏(歌田初夏)が、「オアシス21」の「銀河の広場」で開催中の「VRスペースアドベンチャー 宇宙人との遭遇」に参加している。

どこかの星に降り立ち、損傷したロケットを見ていた亜柚香は、突然仲間の悲鳴を聞いた。慌てて振り向くと、今度は自分も悲鳴を上げた。真っ赤な炎が竜巻のようになってこちらに向かって来る。巻き込まれてしまったら、炎に包まれたまま吹き飛ばされそうだ。VRだと分かっている亜柚香だが、頬をつねって痛かったのだから、あんな火の中に放り込まれたら平気でいられるはずがないと思い、一目散に逃げ出した。他のみんなも走り出したようで、冷静だった桜花もその中にいる。

差し迫った恐怖から逃れるため、みんなは必死に走った。炎の竜巻からは何とか逃げ切れたようだが、先頭を走っていた初夏が『うわ~!』と言いながら立ち止まったので、後続の者たちがぶつからないようにつんのめった。亜柚香は初夏の隣に並んでみて、その原因を突き止めた。1m程先に地割れが発生しているからだ。ギリギリまで近付いて下を覗き込んだが、底の方は真っ暗闇に包まれて何も見えないので、身体が自然と身震いした。安全な向こう側へはかなりの距離があるため、飛び移ることは不可能だ。どうしようかと考えていたら、桜花が視野に入った。どこで見つけたのか手に大きな石を持っているので、亜柚香は次の行動を予測した。そして桜花はその通りの動きをした。

大きな石を地割れの底へ放り投げた桜花は、石が地底まで落ちていったことを確認したあと、振り向いてみんなに説明を始めた。
『う~ん。仮想空間だと石が底まで落下するということは有り得ないんだけどな。人間がここに転落するとどうなるんだろう?誰か試しに落ちてみてくれない?脳が反応しているだけで、身体が傷付くなんてことはないはずだから』

そんなことを言い出す桜花と、亜柚香は目が合った。指名されてはたまらないので、自分から口を開く。
『身体は傷付かなくても、怖い思いをするのは確実でしょ。そんなの嫌だよ。そうだ!愛理ちゃんがやってみたら?AIロボットだから、どんな攻撃をされても平気のはずだよね』
亜柚香のムチャぶりに、愛理が抗議する。
『愛理だってそんなの嫌だっ。ここに来たいって言った自分がやればー』
『アタシにはムリだってー。そうだ!ユナって、前に桜花ちゃんのミラクルトリップで最後まで生き残ったでしょ。あの時の調子でやってみてよ』
すぐにユナが言い返す。
『崖から落ちないよう必死だったのに、なんでわざわざ落ちなきゃいけないのー。それより、こんなの無視しちゃえばいいじゃん!』
亜柚香が冷静になって考えてみる。
『まぁ、確かにそうだよね。よし、そうしよう!』

ユナと亜柚香が出した結論に、桜花も納得するしかない。もうこれ以上は関わらず、地割れに沿って、みんなは行く当てもなくトボトボと歩き始めた。


◇続く