#2302『マジすか学園4』 | 第7シーズン

第7シーズン

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新説『マジすか学園4』

#2302『坂道に吹く風02 意外な意気投合』


ドラマの撮影を終え、ヒナターズの4人も同じロケバスに乗っている。来月にメジャーデビューを控えるヒナターズが新メンバーを募集しているとのことで、事務所に所属していないのは誰かと渡邉美穂に聞かれたさーなん。
『音葉と萌夏ちゃんと有紀奈ちゃんってとこかな』
そう答えたが、少し離れた席から抗議に出る者がいた。
『さーなん!私のことを忘れてる!ひどいなぁ~』
声の主は前田敦子だったので、みんなの視線が一斉に向けられた。そこでさーなんがすぐにフォローする。
『あー、ごめんなさい💦あっちゃんは、もうアイドルには興味ないのかなって思ってた。だって今からアイドル活動なんてしないよね…』
さーなんの発言を聞いて、この中で前田との付き合いが一番長い美音が、黙っていられない。
『さーなんは知らないんだなぁ~。あっちゃんはアイドルのこと、凄く詳しいんだよ。それにさーなんが現れる前だけど、私とあっちゃんでオイラーズの番組にゲスト出演して、オイラーズのメンバーと一緒にテレビで歌ったんだから。それに“白雪姫とアツリーヌ”でMステにも出たし、さーなんが乱入してたじゃない』
美音が言う通りだと思うさーなん。あとは前田本人に振ってみる。
『そうだったぁー。だったらあっちゃん、応募してみれば?』
みんなの視線を浴びて前田が答える。


『えー、でも私が応募したら、みんなに悪くない?だって私ってば、常にセンター固定でしょ。そういうのはもう若い子に譲りたいんだよねー』
前田がとぼけて言っているのか、それともマジなのかみんなが判断に困っている時、果敢にも発言したのは前田とは対照的に最年少の萌夏だ。
『私、さっきの撮影でもあっちゃんのライブでの動きをずっと目で追ってたんだけど、あの身のこなしは只者じゃないなって思ってた。実際のケンカも強いし、憧れちゃうなぁー』
前田がこれで恥ずかしそうになる。
『ありがとー。でも萌夏だって相当なものだよ。後ろから萌夏のことを見てたけど、センターの背中をしてたもん』
聞き返す萌夏。
『センターの背中?』
『そう。どっしりとした安定感があって、任せてられるなぁって思えるんだよね』
『ホントー!?嬉しい♪私、これからセンターに立てるかなぁ』
『私がいろいろアドバイスしてあげようか!?』
『いいのー?よろしくお願いします!』
『うん、分かった!』

意外な2人が意気投合したと思ったら、萌夏が席を立った。前田の隣が空いていると思って座ろうとしたが、小柄な美音がいることに気付いてためらうと、すぐに美音が隣を譲ってくれたので、萌夏がペコリと頭を下げて前田の隣に座った。

そのあとはヒナターズの4人を中心にして話が盛り上がった。感じのいい4人ではあるが、次回の撮影では寮までやって来て再会しそうだし、それどころかヒナターズがレギュラーになり、ドラマの主題歌が「翼はいらない」からヒナターズのデビュー曲になって売り出しに一役買うことになるのかなと、欅坂6期生たちは口には出さないが気になってしまう車中だった。


やがてロケバスが東京駅の駐車エリアに着いた。ここでロケバスから降りて名古屋へ向かうリニア新幹線に乗るのは、シャチホコセブンを兼任しているリョウ(北川綾巴)とカチドキ(堀 未央奈)の2人と、2週続けてゲスト出演する萌夏だけだ。リョウたちが荷物を持って席を立つと、小林由依が声を掛けてきた。
『私と今泉は7週続けてシャチホコセブンの番組に出てたんだけど、今週は出ないからあんたたちだけで大丈夫?』
リョウが強がる。
『大丈夫に決まってるだろー。その前はあたしとカチドキの2人だけで行ってたんだから』
由依が辛口で言ってくる。
『そっかぁ。元々あんまり出番がないから、心配することないか』
『うるせーなぁ。いつもはおまえたちに出番を譲ってやってただけだ』
『えっ、そうだったの!?』
反応したメンバーの笑い声が聞こえたが、早く降りるようスタッフに言われたので、リョウは仕方なく降り口に向かった。3人を降ろして、ロケバスは再び走り出した。


◇続く