新説『マジすか学園４』
＃2087『あともう少しの勇気があれば…37 ショッカクからの提案』
謎の力が身について動揺した亜柚香だったが、アンダー16連合のたまり場を訪れ、横山・山田・郁海らと交流を深めることが出来た。横山たちのダンスレッスンを間近で見学し、満足して帰路に就いた。
同じ木曜日の午後。埼玉県にあるオイラーズが拠点にしているライブハウスのレッスン場に、みなるんとみずほを除くメンバーが集まっている。生放送を２日後に控え、ピース(木崎ゆりあ)が予定している番組内容をみんなに伝える。
『と言うことで、今週は奈和ちゃんとディーヴァおだえりの歌唱力対決がメインになってるから。奈和ちゃんが出るとまたハプニングが起きそうなんだけど、いざとなったらみんな頼んだよ。あと前半は、私が声を掛けたゆななって子が来てくれるから、よろしくね』
床に座って聞いているメンバーの中で、ショッカク(加藤玲奈)が挙手した。
『はぁーい！ちょっと待って。私が前に提案した劇団れなっちってどうなってるの？』
ピースはそんな話があったことを忘れていたが、誤魔化すしかない。
『あー、それだけど、どうせやるなら大々的に発表したいよね。でも奈和ちゃんがディーヴァおだえりに噛みついたことが先週からの流れなんで、旬なネタを先にやっておかなきゃ。劇団れなっちは、きちんと告知してからスタートさせた方がいいよ』
『ふぅーん。そうなんだ。私が座長だから忘れないでよ！でも実は他にもまだアイデアがあるんだ♪』
『何…(；・∀・)』
『スカイダイビングに挑戦して、アピールするんだよ！』
『えっ、だってうちらの番組は生放送だよ』
『スカイダイビングのとこだけロケしてくればいいじゃん』
『そんなこと言って、スカイダイビングなんて出来るの？』
ショッカクが決意を語る。
『オイラーズや番組のためなら、スカイダイビングくらいやるよ！』
『ショッカクがやる気を見せても、他のみんながやれないって言うんなら意味ないよ』
ショッカクが不安そうな表情になったので、仲の良いすだち(市川美織)がすぐに名乗り出た。
『あー、私もスカイダイビングをやらせてもらいます！』
すだちがショッカクに乗っかることは分かっている。ピースは残ったメンバーの反応を待ったが、パル・名無し・メッシ・小耳・なんてね・ミユ・リオンは賛同しないので、この話題を切り上げることにする。
『２人だけでは無理っぽいよね。でもロケはやりたいなぁー。よく考えたら今まで１度もやったことないよね。どっか行きたいなぁ』
すぐにショッカクが、『私１人でいいから、グアムに行かせてくれないかなぁ。私の行動をスタジオにいるみんなが、クイズ形式で当てるの！』と言い出したが、ピースはそれを無視したあと、『みんなも何か考えといてよ』と言って締めくくった。
結局ショッカクは今回も劇団れなっちを諦めた。土曜日に生放送される冠番組で得るギャラは、グループの存続にとても重要だ。欅坂６期生が出なくなってからは、ピースが人気になりそうなゲストを番組に呼んで視聴率を稼いでくれていることはよく分かっているので、ピースが言うことは聞こうとショッカクは思っている。
ショッカクの提案は何とかやり過ごせたなと思うピースだが、今度はなんてね(木本花音)から質問が来た。
『前半に出るゆななって誰なんだ？なんで今日の打ち合わせに来てないんだー』
ピースがここは自信をもって説明する。
『ゆななは錦糸町道場の菅原と仲良しで、プロレスの練習を見学してる時に私がスカウトした地下アイドルの子。メッシとリオンもいたよ。めっちゃ可愛い子だし、菅原とペアで出してあげたら人気になるんじゃないかって』
『へぇ、そうなんだ。ピースがスカウトしたんなら安心だな。可愛い子を見る目は確かだから』
『よろしく頼むよ。ゆななと菅原は、スケジュールが合わなくて土曜日当日しか来れないけど。じゃあ、打ち合わせを続けようか』
やりたいようにやらせてくれるメンバーのみんなに対し、ピースは心の中で感謝するばかりだ。
◇続く