高里椎奈 / 講談社ノベルス


 最近再読ばかりでなんですが、一度読んだ本の内容なんて半年もあれば簡単に忘却してしまう脳の持ち主なので許してあげてください。

 思いついたときに読まないとどうしても新しい方に手が伸びてしまうからなぁ…。


 薬屋を経営しながら、妖怪雑務相談所として探偵紛いの依頼も受ける妖怪ミステリ、シリーズ八作目。

 薬店構成員は本来、店主の深山木秋(毒舌美少年)、秋の補佐役の座木(穏やか長身青年)、助手見習いのリベザル(がんばる赤毛少年)の三人なのですが、今作は少し過去に遡って、リベザルがまだ秋に拾われる前。秋が火冬と名乗り、座木が高校生として人間社会デビューしたころのお話です。


 なにが良いって、シリーズ中あれだけ穏やかで冷静で、秋が悪乗りすれば柔らかくたしなめ、リベザルが困窮すればアドバイスし、とオトナな雰囲気のある座木が 高 校 生 という点。

 人間社会への不慣れさゆえに困惑し、火冬の冷たい態度に当惑する姿はそう見られたものではありません。ああもうかわいい。この巻で私は彼の呼び方が「座木さん」から「座木くん」になりましたもの…。


《呵責の想いと空転する涙は、味わい尽くし果てた時、しゃぼんとなって泡消えた》

 儚げな帯文に心惹かれつつ、救いのあるラストはなかなかに爽やかです。次は『白兎』か、『金糸雀』にしようか。『双樹』も良いかもしれないなぁ(うずうず)


高里椎奈 蒼い千鳥 花霞に泳ぐ―薬屋探偵妖綺談