ホテルのレストランで食事をしていた。
「これからどうしようか」
そのとき私の電話が鳴った。
「おかあさん、僕何時に学校に行くんだっけ」
「2時よ、2時になったら電話するから」
「僕が帰ってくる頃にはお母さんも帰って来てる?」
あぁ、せっかくその気になったのにぃ。
「わからないわ、早く帰るようにするから、じゃぁね」
少しだけお母さんはお休みしたい。中途半端な細切れの時間をやりくりして逢う。そんなに簡単に自分のモードを切り替えられない。
納得し、計算して決めたことだけど辛いときがある。
「ごめんね」
たかしは微笑んだ。
「結局お姉ちゃんは一人で暮らすの?」
「うん」
「たかしは寂しくならない?心配じゃない?」
「別に」
「そう」
家からそう遠くない大学に入ったばかりの娘が学校の近くに一人暮らしをしたいらしい。
「doorだって一人で暮らしたかったでしょ」
「そうだけど」
私のときは親に対する反発や締め付けの厳しさがあった。たかしの娘の理由は何だろう。
上の娘が大学生になったのだからお弁当はもうひとつでいいんでしょ?と聞いたら彼女の希望で未だに2つ作っていると聞いた。その関係が良く理解できない。
「たかしのうちは2人になっちゃう、それでいいの?」
「うん」
「そうか」
そう言われたらそれ以上何も言えない。なにか基本的な感覚が違うのだろうと思う。
「door、2時だよ、電話しなきゃ」
別々の家庭、中途半端な時間、時に彼を非常に遠く感じる。マニュアルがほしくなるときがある。