春はまだ来ない | 秘密の扉

秘密の扉

ひと時の逢瀬の後、パパとお母さんはそれぞれの家庭に帰る 子ども達には秘密にして

繋がりながら泣き出してしまった。

「もっと一緒にいて」

「帰らないで」

その言葉が言えなくて、嗚咽と涙になってあふれ出す。




ふざけ合って笑い転げる私の声は

逢えない間に積もった情念とは裏腹だった。

思うように逢えないから気持ちだけが純化されていく。

「急いで帰らないとね」


コントロールしがたい想いの向こうに私の意志がある。

ふざけている私は気持ちとは裏腹。だけど私自身の意志。