花札勝負をするに当たって、「月見で一杯」と「花見で一杯」の役の取り扱いはどうしたら良いのだろうと考えていた。私が覚えた時はこの2つの役はなかった。こいこいのルールは様々ある。2枚で役が成立してしまうこの二つは9月の種札が取れるかどうかに掛かっている。点数も高いし、戦略がまるで違ってくる。
遊びでも真剣にやらないと詰まらない。
ところがたかしに相談したところ、そもそも役が良くわかっていないことが発覚してしまった。
「たかしは花札初心者なんだな」
「DSだと取れるものをガイドしてくれるから点が高そうなのを選んでる」
「月ごとに何の札があるとか、例えば12月はかす3枚に、光札1枚。一月は光札1枚に短札が一枚ってそれぞれ違うから、全部頭に入ってないと。簡単だからやればすぐに覚えられるよ」
「なんだかよく知ってるな、ところでdoorはいつ花札覚えたんだ?」
「中学の頃かなぁ」
「お父さんに教わったの?」
「中学生の頃同級生に教わった」
「なんだかすごい中学生だなぁ、doorの過去はなんだかすごそうだ」
「別に凄くも無いよ」
「僕の知らないdoorがいっぱいいるんだなーって」
「聞きたければ話すけど」
「知りたいような知りたくないような、複雑な気分だ」
「知りたいときに知りたいことを聞けば?」
「でもきっとちょっと聞いたら、全部聞きたくなっちゃうだろうし」
「いつでも話すよ、飲みながらでも。どっから話せば良いか分からないから話してないだけで」
「それはいいかもね」
たかしも私と同じところで足踏みしている。好きだから相手のことを知りたい。でもそこから出て来るものを全て受け入れられるのかどうか。
目の前のその人を愛してる。その人を構成しているのはその人の過去。
思ったより高いハードル。つまみ出すより包んでしまった方が賢いのかもしれない。二枚で成立してしまう役だってあるのだから。