昨日の出来事 | 秘密の扉

秘密の扉

ひと時の逢瀬の後、パパとお母さんはそれぞれの家庭に帰る 子ども達には秘密にして

ダメだ!
不安で眠れない。たかしとの連絡が取れなくてパニック寸前だ。
日付が変わりそうだったので、私はぬるま湯で精神安定剤を飲みくだした。
午前中で仕事納めの彼と、定時に終わってから納会の私。昨日たかしに逢った時に無理させてしまったのかしら。


いつものようにお昼休みの簡単なメールのあと連絡が途絶えた。

普段そんなことはイチイチ気にしない。手が離せない、忙しいこともある。しかし10時のメッセの時間になっても連絡も無いというのは少し異常だった。電話をしてもコール音から留守番電話に切り替わるだけ。
インフルエンザにでもなったのだろうか、事故にでも遭ってしまったのだろうか。いろんな想像が頭を駆け巡ってもう二度と逢えないような気持ちになってしまった。


冷静に考えて、一番ありそうな可能性は夕食の後、爆睡しているのだろう。
あんまり慌てず騒がずに寝てしまえば明日の朝、「ごめ~ん、寝てた~」というメールか電話が入ってくるはずだ。夕方私が送ったメールの返事が返ってこないというのが不安感を募らせる。

「心配してる。何時でもいいからメールでも電話でもしてね」
そうメールした。


電話を持ったまま入浴して仕方なく布団に入る。そろそろ寝なくてはならない…明日の予定に差し支える。
昨日何かまずいことでもしちゃったのかしら。あるいは怒らせるようなことでも…
何度も何度も思い返して、あれが原因かしら、これが原因かしらと些細なことをあげつらってみる。
だけど昼過ぎのメールではいつもどおりだった。昼までは。


付けっぱなしだったPCからメール到着の音がして、慌てて確認すると件名「うわーっ」というメールが来ていた。

「ごめーん
爆睡してたー

これから電話するから待っててー」


続いて電話が鳴ってたかしの声が耳に飛び込んできた。
「ごっめ~ん、寝てたぁ、夕飯も食べないでずっと寝てた~」
「あぁ、良かった、もしかしたら事故にでもあったか、病気にでもなったか心配してたの」
「心配するよねぇ」
「生きてて良かった~」
「ホントごめ~ん」


ガクガクと脚が震えそうだった。クラクラとめまいがしそうだった。さっきまでは。
改めて想う、たかし、私こんなにも…