星4、0 ウォンカーワイの片思いのつばさ


予告



1995年
 音楽フランキーチャン、ロエルAガルシア
撮影クリストファードイル
脚本監督ウォンカーワイ


ウォンカーワイ4Kレストア上映。シネウインド2本目。「恋する惑星」に続き見てきた。2本梯子する方もチラホラといらっしゃった。

「天使の翼」は、DVD所持。サントラもブーオフにてワンコイン購入。結構きいてるサントラ。劇中歌「only you」が好き。予告編もかなり好き(上記添付)
ちなみに4K版の予告は、 複数作品まとめてあってがっくり。

内容は、全く忘却。「恋する惑星」見てから発売された気がする。ビデオで見て以来。何度かシーンごとに見た感じ。
よく記憶していたのは、まさしくアレ!

金城武が豚をマッサージする

これのみ。4K上映が決まり、その前に前は5分ほどDVDでのぞき見はした。
サントラは、ケース破損して、2枚目の新調ケース。

シネウインドにて12月下旬梯子2本目見てきた。

4K版チラシ、DVD、サントラ

「恋する惑星」の後だと、かなり悲しい感じの 話に見えた。またポスターのカレンモクの激しいキスシーンなんて!あったんだあと思い キュンとなった。

本作やはり本当に

脚本がない

らしく撮影前のメモや口頭指示のエチュードのようなものを切り取っている。

なんで、脚本の整合性やら起承転結やら意味やらなんて探ろうとしたら

全然面白くない 

で終わる映画。

いやどのウォンカーワイもそうなんだが、ウォンカーワイはそういうものにまるで興味はない。

「今すぐ抱きしめたい」を見たとき、あまりにも普通の刑事映画でびっくりした。
さながらデビッドリンチの「エレファント・マン」のように。フィルモグラフィからしたら異質の普通さなのだ。

今回上映された「2046」でキムタクが 思っきし、反旗をひるがえし、順応できなかったのは、有名な話。ここでもしウォンカーワイを喜ばせる事が出来たら、もう少しハリウッドに近づけたのにと個人的に思ってます。キムタクさん、演劇経験薄いのもあり。だから今なんだけどね、、。

それを踏まえると、特典映像でも言ってたんだが、まず画像ありき、クリストファードイルの映像で決めるのが、さながら優先事項のよう。あとは、叙情的に感情的にとことん振り切るエチュード、アドリブを画面上でとことんやらしているかのように見えた。

カレンモクの娼婦のくだりは、まさにそうで、刹那的なさみしさとレオンライとのやりとりのつかず離れず噛みつくふたり。カレンモクの絶叫するような泣きと雨になんだか切ない気持ちになった。

金城武のこのシーンの退屈さ加減必見
白黒だけど、画面に雨だれのような雫が垂れていて、金城武だけ動きまくる 1、2分。固定画面で魅せる。

金城武、本作では勝手に店を開店する悪い人
「恋する惑星」とは逆だとウォンカーワイ。そして言葉をたち、 パントマイムのような演技を要求したそうだ。
本作では、わりとコメディっぽたい演技。殴られたり、金髪になったり、豚をもんだり(笑)忙しい。

父といわれるオジサンをハンディカムで撮り繰り返し見るというシーンがある。
この父が実際のホテルの支配人をスカウトし、出演させたそう。そんな程度の素人をかなりの尺で魅せる。そういう映画だ。

この父の寝床を執拗にビデオにおさめたり、
殴られたり、
まさしく金城武は、遊んで、一方的な行動ばかり行い、時に流れるナレーションは、その行動を説明したりしなかったりで 展開。

ウォンカーワイは、劇中の動作にまるで意味づけさえ拒否してる感がある。

我々意味、論理で生きる脳味噌と真逆をいき、クリストファードイルの個展映像とフランキーチャンの音楽をフルの尺できかせる映画といっても過言じゃない。

しかも「恋する惑星」に比べて、心象風景は悲しい感じ、だから天使の翼なんかもしれない。
ふわふわしてて、つかみどころなく、意味もつかめない。 


本作のミシェルリー。
パートナーに尽くす、
清潔にする、
自慰する、
そして孤独を貫く。 あと可愛い。めちゃくちゃボンテージファッションだ。

この二人のシーンもなに話してるかあまり描かず、ジュークボックスの歌に託したりする。 一見、恋に発展しそうだが、そうじゃない。 ビジネスパートナーであり、パンヤオ《友》なのだ。さみしさを感じた。
両者一方的、コミュニケーションも思っきし片思いなのだ。

そう、本作はディスコミュニケーションの話であるといえる。

このバイクのドイルの早送りのようなシーンがめちゃくちゃ美しいのよ!何度かリフレインされる。
二人のシーンは、未公開カットシーンでは、このバイクのシーンの後、ガソリンスタンドでキスしててこれは確かに見たくないかもと思った。

劇中でも重要なダイアローグ、あたたかさの台詞をサラッとはさみ、映画はおわる。だから、良い。チューなんかみたくない。

長いエスカレーター

本作は、ガンアクションもいちお見せ場なは、なってるが、本作みると痛くもかゆさもない。ガンを構え
引きがねひき
うたれたら
倒れてる
動作を魅させられてるだけのような
スカスカな 風のような銃撃。

そんなもんにウォンカーワイは、まるで興味なくまあそんな職業もあるけど的 無意味痛み無し銃撃を魅せる。
 
横にジョン・ウーのガンアクションを想起すると輪郭ははっきりしてくる。ガンアクションという動作もこんなに意味ないんだと思った。



誰もいない競技場で
絶叫しても耳がきこえない金城武のように

つばさがもげたさみしい所作と所在をいったりきたりする片思いの天使達が交錯する「天使の翼」という映画に見えてきた。

本当にみた瞬間から忘れそうな映画だけど、時に俳優達の表情や動作がどこまでも印象的な瞬間があり、魅了がある。金城武の笑い顔に魅了される映画だ。
それがあるかないか、それがウォンカーワイだ!



さて
ウォンカーワイの天使の片思い
 
なんだかようやく
好きになれそうな映画になった。

泣き叫ぶカレンモクをみて
股に手をまさぐるミシェルリーをみて
死んだふりで気を引く金城武をみて(好きな子の前でやる感じに似ている)